数学2 常用対数 問題 11 解説

方針・初手
「2以外の素因数を持たない自然数」「2と5以外の素因数を持たない自然数」は、それぞれ $2^n$、$2^a 5^b$($n, a, b$ は非負整数)と表せることに着目する。 桁数に関する条件を常用対数($\log_{10}$)を用いた不等式に翻訳し、条件を満たす整数の個数を絞り込むのが基本方針となる。 (2) は $2^a 5^b$ を $10$ の累乗をくくりだして変形するか、対数不等式を $a-b$ の条件として整理することで見通しよく解くことができる。
解法1
(1)
「2以外の素因数を持たない自然数」は、$2^n$($n$ は非負整数)と表すことができる。 ($n=0$ のときの $2^0=1$ も、素因数を持たないため「2以外の素因数を持たない」という条件を満たす。)
$2^n$ が100桁以下の自然数である条件は、
$$2^n < 10^{100}$$
両辺の常用対数をとると、
$$n \log_{10} 2 < 100$$
$$n < \frac{100}{\log_{10} 2}$$
ここで、問題文の条件 $0.3010 < \log_{10} 2 < 0.3011$ より、
$$\frac{100}{0.3011} < \frac{100}{\log_{10} 2} < \frac{100}{0.3010}$$
各辺を計算すると、
$$\frac{100}{0.3011} = 332.11\dots$$
$$\frac{100}{0.3010} = 332.22\dots$$
よって、
$$332.1 < \frac{100}{\log_{10} 2} < 332.3$$
これを満たす非負整数 $n$ は、$n = 0, 1, 2, \dots, 332$ の 333 個である。 したがって、求める自然数の個数は 333 個。
(2)
「2と5以外の素因数を持たない自然数」は、$2^a 5^b$($a, b$ は非負整数)と表すことができる。 これが100桁の自然数であるから、
$$10^{99} \le 2^a 5^b < 10^{100}$$
$a$ と $b$ の大小関係によって場合分けを行う。
(i) $a \ge b$ のとき
$2^a 5^b = 2^{a-b} \cdot 10^b$ と変形できる。 $k = a-b$ とおくと、$k$ は非負整数であり、
$$10^{99} \le 2^k \cdot 10^b < 10^{100}$$
各辺を $10^b$ で割ると、
$$10^{99-b} \le 2^k < 10^{100-b}$$
これは、$2^k$ が $100-b$ 桁の自然数であることを意味する。 $b \ge 0$ より $100-b \le 100$ であるから、$2^k$ は100桁以下の自然数である。 (1) の結果より、100桁以下の $2^k$ は $k = 0, 1, \dots, 332$ に対して 333 個存在する。 また、任意の $k$ に対して $2^k$ の桁数は一意に定まるため、$100-b$ の値、すなわち $b$ の値もただ1つに定まる。 このとき $b \ge 0$ であり、$a = k + b \ge b \ge 0$ も満たされる。 したがって、対応する $(a, b)$ の組は 333 個存在する。
(ii) $a < b$ のとき
$2^a 5^b = 5^{b-a} \cdot 10^a$ と変形できる。 $j = b-a$ とおくと、$j$ は正の整数であり、
$$10^{99} \le 5^j \cdot 10^a < 10^{100}$$
各辺を $10^a$ で割ると、
$$10^{99-a} \le 5^j < 10^{100-a}$$
これは、$5^j$ が $100-a$ 桁の自然数であることを意味する。 $a \ge 0$ より $100-a \le 100$ であるから、$5^j$ は100桁以下の自然数である。 $5^j$ が100桁以下となる条件は、
$$5^j < 10^{100}$$
常用対数をとると、
$$j \log_{10} 5 < 100 \implies j < \frac{100}{\log_{10} 5}$$
ここで、$\log_{10} 5 = 1 - \log_{10} 2$ であるから、
$$1 - 0.3011 < \log_{10} 5 < 1 - 0.3010$$
$$0.6989 < \log_{10} 5 < 0.6990$$
ゆえに、
$$\frac{100}{0.6990} < \frac{100}{\log_{10} 5} < \frac{100}{0.6989}$$
各辺を計算すると、
$$\frac{100}{0.6990} = 143.06\dots$$
$$\frac{100}{0.6989} = 143.08\dots$$
よって、
$$143.0 < \frac{100}{\log_{10} 5} < 143.1$$
これを満たす正の整数 $j$ は、$j = 1, 2, \dots, 143$ の 143 個存在する。 (i)と同様に、各 $j$ に対して $5^j$ の桁数が一意に定まるため、$a$ の値もただ1つに定まる。 このとき $a \ge 0$ が満たされ、$b = j + a > a \ge 0$ も満たされる。 したがって、対応する $(a, b)$ の組は 143 個存在する。
(i) と (ii) は互いに排反であるから、求める自然数の個数は、
$$333 + 143 = 476$$
個である。
解法2
(2) の別解
100桁の自然数で、2と5以外の素因数を持たないものは $2^a 5^b$($a, b$ は非負整数)と表される。 条件より、
$$10^{99} \le 2^a 5^b < 10^{100}$$
両辺の常用対数をとると、
$$99 \le a \log_{10} 2 + b \log_{10} 5 < 100$$
$\log_{10} 5 = 1 - \log_{10} 2$ を代入して整理する。
$$99 \le a \log_{10} 2 + b (1 - \log_{10} 2) < 100$$
$$99 \le b + (a - b) \log_{10} 2 < 100$$
ここで、$x = a - b$ とおくと、$x$ は整数であり、
$$99 - x \log_{10} 2 \le b < 100 - x \log_{10} 2$$
区間 $[99 - x \log_{10} 2, 100 - x \log_{10} 2)$ は幅が 1 の左閉右開区間である。 したがって、任意の整数 $x$ に対して、この区間に含まれる整数 $b$ は必ずただ1つ存在する。 その $b$ に対して $a = x + b$ とすれば、整数 $a$ もただ1つ定まる。 ゆえに、与式を満たす $(a, b)$ の組の個数は、条件 $a \ge 0$ かつ $b \ge 0$ を満たす整数 $x$ の個数に等しい。
$b \ge 0$ となる条件は、区間の右端が正であることである。
$$100 - x \log_{10} 2 > 0 \implies x < \frac{100}{\log_{10} 2}$$
一方、$a \ge 0$ となる条件を考える。 対数不等式に $b = a - x$ を代入すると、
$$99 \le a \log_{10} 2 + (a - x) \log_{10} 5 < 100$$
$$99 \le a (\log_{10} 2 + \log_{10} 5) - x \log_{10} 5 < 100$$
$\log_{10} 2 + \log_{10} 5 = 1$ より、
$$99 + x \log_{10} 5 \le a < 100 + x \log_{10} 5$$
ここでも区間の幅は 1 であり、$a \ge 0$ となる条件は、区間の右端が正であることである。
$$100 + x \log_{10} 5 > 0 \implies x > -\frac{100}{\log_{10} 5}$$
以上より、$x$ の満たすべき条件は、
$$-\frac{100}{\log_{10} 5} < x < \frac{100}{\log_{10} 2}$$
解法1での計算と同様に、
$$\frac{100}{\log_{10} 2} = 332.1\dots$$
$$\frac{100}{\log_{10} 5} = 143.0\dots$$
よって、
$$-143.0\dots < x < 332.1\dots$$
これを満たす整数 $x$ は、$-143 \le x \le 332$ の範囲にある。 その個数は、
$$332 - (-143) + 1 = 476$$
個である。
解説
- 「2以外の素因数を持たない」という条件について、自然数 $1$ は素因数を持たないため、この条件を論理的に満たします($2^0$ に対応)。受験数学においても、$2^n$($n \ge 0$)として扱うのが標準的です。
- 解法1は、$2^a 5^b$ という数を、$2$ と $5$ の指数の大小に応じて $10$ の累乗をくくりだし、「$2^k$ または $5^j$ の桁数」という1変数の問題に帰着させる定石を用いています。論理的にも直感的にも分かりやすい手法です。
- 解法2は、幅1の半開区間 $[Y, Y+1)$ には必ず1つの整数が含まれるという性質を利用し、連立不等式を代数的に処理する手法です。計算量が少なく、スマートな解法と言えます。
答え
(1) 333 個
(2) 476 個
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