数学2 円と直線 問題 21 解説

方針・初手
円の中心と直線の距離(点と直線の距離公式)を用いて弦の長さを求めるか、円と直線の連立方程式から解と係数の関係を利用して弦の長さを求めるアプローチが考えられる。 (1)では、三角形の面積の公式 $S = \frac{1}{2}ab\sin\theta$ を用いると、面積が最大になる図形的な条件(直角二等辺三角形になること)がすぐにわかる。 (3)では、(1)の幾何的条件から逆算する方法と、(2)で求めた弦の長さを用いて面積 $S$ を $m$ の式で表し、微分で最大値を求める方法がある。
解法1
(1)
円の方程式 $(x-1)^2 + (y-1)^2 = 1$ より、中心を $\text{C}(1,1)$、半径を $r=1$ とする。 円上の点 $\text{A}, \text{B}$ と中心 $\text{C}$ を結んでできる $\triangle\text{ABC}$ において、$\text{CA} = \text{CB} = 1$ である。 $\angle\text{ACB} = \theta$ ($0 < \theta < \pi$) とおくと、$\triangle\text{ABC}$ の面積 $S$ は次のように表される。
$$S = \frac{1}{2} \text{CA} \cdot \text{CB} \sin \angle\text{ACB} = \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot \sin \theta = \frac{1}{2} \sin \theta$$
$\sin \theta$ は $\theta = \frac{\pi}{2}$ のとき最大値 $1$ をとる。 したがって、$S$ の最大値は $\frac{1}{2}$ であり、そのときの $\angle\text{ACB}$ の大きさは $\frac{\pi}{2}$ である。
(2)
中心 $\text{C}(1,1)$ から直線 $y = mx$ すなわち $mx - y = 0$ に下ろした垂線の足を $\text{H}$ とする。 点と直線の距離の公式より、線分 $\text{CH}$ の長さ $d$ は
$$d = \frac{|m \cdot 1 - 1|}{\sqrt{m^2 + (-1)^2}} = \frac{|m-1|}{\sqrt{m^2+1}}$$
$m > 1$ であるから $m - 1 > 0$ となり、$d = \frac{m-1}{\sqrt{m^2+1}}$ である。 直角三角形 $\text{CAH}$ において、三平方の定理より
$$\text{AH}^2 = \text{CA}^2 - \text{CH}^2 = 1^2 - d^2 = 1 - \left( \frac{m-1}{\sqrt{m^2+1}} \right)^2$$
$$\text{AH}^2 = \frac{m^2+1 - (m^2-2m+1)}{m^2+1} = \frac{2m}{m^2+1}$$
$\text{AH} > 0$ より $\text{AH} = \sqrt{\frac{2m}{m^2+1}}$ である。 弦 $\text{AB}$ の長さは $\text{AH}$ の $2$ 倍であるから、
$$\text{AB} = 2\text{AH} = 2\sqrt{\frac{2m}{m^2+1}}$$
(3)
(1)より、$S$ が最大となるのは $\angle\text{ACB} = \frac{\pi}{2}$ のときである。 このとき、$\triangle\text{ABC}$ は $\text{CA} = \text{CB} = 1$ の直角二等辺三角形となるため、三平方の定理より斜辺 $\text{AB}$ の長さは
$$\text{AB} = \sqrt{1^2 + 1^2} = \sqrt{2}$$
となる。(2)で求めた $\text{AB}$ の長さをこれに等置すると、
$$2\sqrt{\frac{2m}{m^2+1}} = \sqrt{2}$$
両辺を $2$ 乗して整理する。
$$4 \cdot \frac{2m}{m^2+1} = 2$$
$$\frac{4m}{m^2+1} = 1$$
$$m^2 - 4m + 1 = 0$$
この2次方程式を解くと、
$$m = \frac{4 \pm \sqrt{16-4}}{2} = 2 \pm \sqrt{3}$$
条件 $m > 1$ を満たすかどうかを確認する。 $1 < \sqrt{3} < 2$ より、 $2 + \sqrt{3} > 3 > 1$ であり、条件を満たす。 $2 - \sqrt{3} < 2 - 1 = 1$ であり、条件を満たさない。
したがって、求める $m$ の値は $m = 2 + \sqrt{3}$ である。
解法2
(2)と(3)について、別のアプローチをとる。
(2)
円と直線の交点の座標を求めるために、2つの式を連立する。
$$\begin{cases} (x-1)^2 + (y-1)^2 = 1 \\ y = mx \end{cases}$$
$y = mx$ を円の方程式に代入する。
$$(x-1)^2 + (mx-1)^2 = 1$$
展開して整理する。
$$x^2 - 2x + 1 + m^2x^2 - 2mx + 1 = 1$$
$$(m^2+1)x^2 - 2(m+1)x + 1 = 0$$
交点 $\text{A}, \text{B}$ の $x$ 座標をそれぞれ $\alpha, \beta$ とすると、これらは上記2次方程式の2つの実数解である。解と係数の関係より、
$$\alpha + \beta = \frac{2(m+1)}{m^2+1}, \quad \alpha\beta = \frac{1}{m^2+1}$$
点 $\text{A}(\alpha, m\alpha), \text{B}(\beta, m\beta)$ の距離 $\text{AB}$ の2乗は、
$$\text{AB}^2 = (\beta - \alpha)^2 + (m\beta - m\alpha)^2 = (1+m^2)(\beta - \alpha)^2$$
ここで、$(\beta - \alpha)^2$ は次のように計算できる。
$$(\beta - \alpha)^2 = (\alpha + \beta)^2 - 4\alpha\beta$$
$$= \left( \frac{2(m+1)}{m^2+1} \right)^2 - \frac{4}{m^2+1}$$
$$= \frac{4(m^2+2m+1) - 4(m^2+1)}{(m^2+1)^2} = \frac{8m}{(m^2+1)^2}$$
したがって、
$$\text{AB}^2 = (m^2+1) \cdot \frac{8m}{(m^2+1)^2} = \frac{8m}{m^2+1}$$
$\text{AB} > 0$ より、$\text{AB} = \sqrt{\frac{8m}{m^2+1}} = 2\sqrt{\frac{2m}{m^2+1}}$ となる。
(3)
(2)の結果を用い、$\triangle\text{ABC}$ の面積 $S$ を底辺 $\text{AB}$ と高さ $d$ から求める。 中心 $\text{C}(1,1)$ から直線 $mx - y = 0$ までの距離 $d$ は $d = \frac{m-1}{\sqrt{m^2+1}}$ であるから、
$$S(m) = \frac{1}{2} \text{AB} \cdot d = \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{\frac{2m}{m^2+1}} \cdot \frac{m-1}{\sqrt{m^2+1}} = \frac{\sqrt{2m}(m-1)}{m^2+1}$$
この関数 $S(m)$ の $m > 1$ における最大値を微分を用いて求める。
$$S'(m) = \sqrt{2} \cdot \frac{ \left( \frac{1}{2\sqrt{m}}(m-1) + \sqrt{m} \right)(m^2+1) - \sqrt{m}(m-1) \cdot 2m }{(m^2+1)^2}$$
分子を整理するため、全体に $2\sqrt{m}$ を掛けて考える。
$$S'(m) = \frac{\sqrt{2}}{2\sqrt{m}(m^2+1)^2} \left\{ ( (m-1) + 2m )(m^2+1) - 2m \cdot 2m(m-1) \right\}$$
$$= \frac{1}{\sqrt{2m}(m^2+1)^2} \left\{ (3m-1)(m^2+1) - 4m^2(m-1) \right\}$$
$$= \frac{1}{\sqrt{2m}(m^2+1)^2} \left\{ 3m^3 + 3m - m^2 - 1 - 4m^3 + 4m^2 \right\}$$
$$= \frac{1}{\sqrt{2m}(m^2+1)^2} ( -m^3 + 3m^2 + 3m - 1 )$$
分子の多項式を因数分解する。
$$-m^3 + 3m^2 + 3m - 1 = -(m^3+1) + 3m(m+1) = -(m+1)(m^2-m+1) + 3m(m+1)$$
$$= (m+1)(-m^2+m-1+3m) = -(m+1)(m^2-4m+1)$$
$m > 1$ より $m+1 > 0$、$\frac{1}{\sqrt{2m}(m^2+1)^2} > 0$ であるから、$S'(m) = 0$ となるのは $m^2 - 4m + 1 = 0$ のときである。 これを解くと $m = 2 \pm \sqrt{3}$ となる。 $m > 1$ より $m = 2 + \sqrt{3}$ であり、このとき $S'(m)$ の符号は正から負へと変化するため、$S(m)$ は極大かつ最大となる。 よって、最大値をとるときの $m$ の値は $m = 2 + \sqrt{3}$ である。
解説
(1) では、三角形の面積の公式として $S = \frac{1}{2}ab\sin\theta$ を選択できるかが鍵である。これにより、複雑な計算をせずに面積が最大になる図形的な条件(直角二等辺三角形になること)が分かる。 (2) で弦の長さを求める際は、円と直線の連立方程式から解と係数の関係を用いる(解法2)よりも、円の中心から直線に下ろした垂線の長さ(点と直線の距離公式)と三平方の定理を用いる(解法1)ほうが、計算量が少なくミスを防ぎやすい。 (3) は、(1)で求めた図形的な条件($\text{AB} = \sqrt{2}$)を(2)の式に代入して逆算するのが最も鮮やかな方法である(解法1)。解法2のように面積を $m$ の関数として立式し微分して最大値を求める方法は、計算力は要求されるものの、図形的な閃きに依存しない汎用性の高いアプローチである。
答え
(1) 最大値: $\frac{1}{2}$
$\angle\text{ACB}$ の大きさ: $\frac{\pi}{2}$
(2) $\text{AB} = 2\sqrt{\frac{2m}{m^2+1}}$
(3) $m = 2 + \sqrt{3}$
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