数学2 距離 問題 9 解説

方針・初手
(1) は正三角形の幾何的性質から点 $\text{C}$ の座標を $a, b$ を用いて表すことが第一歩である。線分 $\text{AB}$ の中点と、$\text{AB}$ に垂直なベクトルを利用すると簡潔に求まる。(2) は面積を $s$ で表した上で、$s$ のとりうる値の範囲を求める問題に帰着させる。実数 $a, b$ が存在するための条件(実数条件)に注意して $s$ の不等式を立式する。
解法1
(1)
$\text{A}(a, 0)$、$\text{B}(0, b)$ について、線分 $\text{AB}$ の中点を $\text{M}$ とすると、
$$\text{M}\left(\frac{a}{2}, \frac{b}{2}\right)$$
である。ベクトル $\vec{\text{AB}} = (-a, b)$ に垂直で、長さが $\vec{\text{AB}}$ と等しいベクトルの $1$ つを $\vec{n} = (b, a)$ とする。正三角形 $\text{ABC}$ において、点 $\text{C}$ は直線 $\text{AB}$ に関して対称な $2$ つの位置のいずれかをとる。$\text{CM} \perp \text{AB}$ であり、高さは $\text{MC} = \frac{\sqrt{3}}{2}\text{AB}$ であるから、
$$\vec{\text{MC}} = \pm \frac{\sqrt{3}}{2}\vec{n} = \left(\pm \frac{\sqrt{3}}{2}b, \pm \frac{\sqrt{3}}{2}a\right) \quad (\text{複号同順})$$
と表せる。したがって、点 $\text{C}$ の位置ベクトル $\vec{\text{OC}}$ は、
$$\begin{aligned} \vec{\text{OC}} &= \vec{\text{OM}} + \vec{\text{MC}} \\ &= \left(\frac{a}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}b, \frac{b}{2} \pm \frac{\sqrt{3}}{2}a\right) \quad (\text{複号同順}) \end{aligned}$$
となる。ここで $\text{OC} = 1$ より $\text{OC}^2 = 1$ であるから、
$$\left(\frac{a \pm \sqrt{3}b}{2}\right)^2 + \left(\frac{b \pm \sqrt{3}a}{2}\right)^2 = 1$$
展開して整理すると、
$$\frac{a^2 \pm 2\sqrt{3}ab + 3b^2}{4} + \frac{b^2 \pm 2\sqrt{3}ab + 3a^2}{4} = 1$$
$$4a^2 + 4b^2 \pm 4\sqrt{3}ab = 4$$
$$a^2 + b^2 \pm \sqrt{3}ab = 1$$
$s = a^2 + b^2$、$t = ab$ を代入して、
$$s \pm \sqrt{3}t = 1$$
$$s - 1 = \mp \sqrt{3}t$$
両辺を $2$ 乗して、
$$(s - 1)^2 = 3t^2$$
これが求める $s$ と $t$ の関係式である。
(2)
$\triangle\text{ABC}$ は $1$ 辺の長さが $\text{AB} = \sqrt{a^2+b^2} = \sqrt{s}$ の正三角形であるから、その面積 $S$ は、
$$S = \frac{1}{2} \cdot s \cdot \sin\frac{\pi}{3} = \frac{\sqrt{3}}{4}s$$
と表される。よって、$S$ のとりうる値の範囲を求めるためには、$s$ のとりうる値の範囲を求めればよい。
$a, b$ は $X$ についての $2$ 次方程式 $X^2 - (a+b)X + ab = 0$ の $2$ つの解である。ここで、
$$(a+b)^2 = a^2+b^2+2ab = s+2t$$
である。実数 $a, b$ が存在するための条件は、$(a+b)^2 \ge 0$ かつ $2$ 次方程式の判別式 $D \ge 0$ となることである。
$$s+2t \ge 0$$
$$D = (a+b)^2 - 4ab = s+2t - 4t = s-2t \ge 0$$
これらをまとめると、$s \ge 2|t|$ となる。(このとき $s \ge 0$ であるが、$s=0$ とすると $t=0$ となり (1) の関係式を満たさないため、$s > 0$ である。)
両辺は $0$ 以上であるから $2$ 乗して、
$$s^2 \ge 4t^2$$
(1) の結果より $t^2 = \frac{1}{3}(s-1)^2$ を代入すると、
$$s^2 \ge \frac{4}{3}(s-1)^2$$
$$3s^2 \ge 4(s^2 - 2s + 1)$$
$$s^2 - 8s + 4 \le 0$$
これを解いて、
$$4 - 2\sqrt{3} \le s \le 4 + 2\sqrt{3}$$
このとき $s > 0$ を満たしており、実数 $a, b$ は確かに存在する。 したがって、面積 $S$ のとりうる値の範囲は、
$$\frac{\sqrt{3}}{4}(4 - 2\sqrt{3}) \le S \le \frac{\sqrt{3}}{4}(4 + 2\sqrt{3})$$
$$\sqrt{3} - \frac{3}{2} \le S \le \sqrt{3} + \frac{3}{2}$$
解法2
(1) までは解法1と同じである。(2) の別解を示す。
(2)
$s = a^2+b^2$ において、$a, b$ を極座標表示して $a = r\cos\theta$、$b = r\sin\theta$ ($r \ge 0, 0 \le \theta < 2\pi$)とおく。
$$s = r^2\cos^2\theta + r^2\sin^2\theta = r^2$$
$$t = r\cos\theta \cdot r\sin\theta = r^2\sin\theta\cos\theta = \frac{s}{2}\sin2\theta$$
これを (1) で求めた関係式 $(s-1)^2 = 3t^2$ に代入すると、
$$(s-1)^2 = 3\left(\frac{s}{2}\sin2\theta\right)^2 = \frac{3}{4}s^2\sin^22\theta$$
ここで $s=0$ とすると、上式は $1=0$ となり不適であるため $s > 0$ である。両辺を $\frac{3}{4}s^2$ で割ると、
$$\sin^22\theta = \frac{4(s-1)^2}{3s^2}$$
実数 $\theta$ が存在するための条件は $0 \le \sin^22\theta \le 1$ である。左側の不等式 $0 \le \frac{4(s-1)^2}{3s^2}$ は常に成り立つため、右側の不等式を解く。
$$\frac{4(s-1)^2}{3s^2} \le 1$$
$$4(s^2 - 2s + 1) \le 3s^2$$
$$s^2 - 8s + 4 \le 0$$
これを解いて、
$$4 - 2\sqrt{3} \le s \le 4 + 2\sqrt{3}$$
$\triangle\text{ABC}$ の面積 $S$ は $S = \frac{\sqrt{3}}{4}s$ であるから、
$$\frac{\sqrt{3}}{4}(4 - 2\sqrt{3}) \le S \le \frac{\sqrt{3}}{4}(4 + 2\sqrt{3})$$
$$\sqrt{3} - \frac{3}{2} \le S \le \sqrt{3} + \frac{3}{2}$$
解説
(1) は正三角形の頂点の座標をいかにして求めるかが問われている。解法のようにベクトルを用いた垂直条件や中点を利用するアプローチのほか、複素数平面における回転を用いることでも簡潔に導出できる。 (2) は「見かけ上の文字を減らして実数条件に帰着させる」という、軌跡や値域を求める問題の典型的な手法が求められる。解法1のように対称式 $s, t$ の関係から判別式を利用して実数 $a, b$ の存在条件を導くのが王道であるが、解法2のように $a^2+b^2=s$ という形に着目して三角関数を用いたパラメータ表示に持ち込むと、処理の見通しが良くなる。
答え
(1) $(s - 1)^2 = 3t^2$
(2) $\sqrt{3} - \frac{3}{2} \le \triangle\text{ABC}\text{の面積} \le \sqrt{3} + \frac{3}{2}$
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