数学2 軌跡 問題 13 解説

方針・初手
(1)は、与えられた2つの直線の方程式を連立して解き、交点 $\text{P}$ の座標を $m, t$ を用いて表す。
(2)以降は、2つのアプローチが考えられる。 1つは、直線の式から定点と直交性を見抜く幾何的なアプローチである。直線 $\ell_1$ と $\ell_2$ がそれぞれ定点を通り、かつ直交していることに気づけば、円周角の定理の逆から点 $\text{P}$ の軌跡が円になることがわかり、見通しよく解くことができる。 もう1つは、(1)で求めた $\text{P}$ の座標を用いて代数的に計算するアプローチである。三角形の外接円の方程式を設定し、そこに座標を代入して中心と半径を求める。
解法1
(1) 直線 $\ell_1, \ell_2$ の方程式はそれぞれ以下の通りである。
$$\ell_1 : x + my = mt$$
$$\ell_2 : mx - y = m$$
$m \times \ell_1 - \ell_2$ より、
$$(m^2 + 1)y = m^2 t - m$$
$m$ は正の実数であるから $m^2 + 1 \neq 0$ であり、
$$y = \frac{m(mt - 1)}{m^2 + 1}$$
また、$\ell_1 + m \times \ell_2$ より、
$$(m^2 + 1)x = m^2 + mt$$
$$x = \frac{m(m + t)}{m^2 + 1}$$
よって、点 $\text{P}$ の座標は以下のようになる。
$$\text{P} \left( \frac{m(m + t)}{m^2 + 1}, \frac{m(mt - 1)}{m^2 + 1} \right)$$
(2) 直線 $\ell_1$ は $y = -\frac{1}{m}x + t$ より、定点 $\text{B}(0, t)$ を通る。 直線 $\ell_2$ は $y = m(x - 1)$ より、定点 $\text{A}(1, 0)$ を通る。 また、$\ell_1$ の傾きは $-\frac{1}{m}$、$\ell_2$ の傾きは $m$ であり、それらの積は $-\frac{1}{m} \cdot m = -1$ となるため、$\ell_1 \perp \ell_2$ である。 したがって、交点 $\text{P}$ は線分 $\text{AB}$ を直径とする円周上にある。
さらに、原点 $\text{O}(0, 0)$ についても、点 $\text{A}, \text{B}$ はそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸上の点であるから $\angle \text{AOB} = 90^\circ$ であり、点 $\text{O}$ も線分 $\text{AB}$ を直径とする円周上にある。 ゆえに、4点 $\text{O}, \text{A}, \text{P}, \text{B}$ は同一円周上にあり、三角形 $\text{OAP}$ の外接円はこの円に他ならない。 よって、求める外接円の直径は線分 $\text{AB}$ の長さに等しく、以下のようになる。
$$\text{AB} = \sqrt{(1 - 0)^2 + (0 - t)^2} = \sqrt{t^2 + 1}$$
(3) (1) の結果において、$m, t$ は正の実数であり $mt > 1$ であるから、点 $\text{P}$ の $y$ 座標は $\frac{m(mt - 1)}{m^2 + 1} > 0$ となる。 したがって、点 $\text{P}$ と点 $\text{B}(0, t)$ はともに $x$ 軸の上側にあり、弦 $\text{OA}$ ($x$ 軸)に関して同じ側にある。 (2) より 4点 $\text{O}, \text{A}, \text{P}, \text{B}$ は同一円周上にあるため、円周角の定理より以下の等式が成り立つ。
$$\angle \text{OPA} = \angle \text{OBA}$$
直角三角形 $\text{OAB}$ において $\text{OA} = 1, \text{OB} = t$ であり、$\angle \text{OBA}$ の大きさは $t$ のみによって決まる($\tan \angle \text{OBA} = \frac{1}{t}$)。 よって、$\angle \text{OPA}$ の大きさは $m$ に依存せず、一定である。
解法2
(1) 解法1と同じため省略する。
(2) 三角形 $\text{OAP}$ の外接円の方程式を $x^2 + y^2 + cx + dy + e = 0$ とおく。 原点 $\text{O}(0, 0)$ を通るから $e = 0$ である。 点 $\text{A}(1, 0)$ を通るから $1^2 + 0^2 + c \cdot 1 + 0 = 0$ より $c = -1$ である。 したがって、外接円の方程式は $x^2 - x + y^2 + dy = 0$ と表せる。 この円が点 $\text{P}(X, Y)$ を通るとして、(1)で求めた座標を用いて $X^2 + Y^2$ を計算する。
$$\begin{aligned} X^2 + Y^2 &= \left\{ \frac{m(m+t)}{m^2+1} \right\}^2 + \left\{ \frac{m(mt-1)}{m^2+1} \right\}^2 \\ &= \frac{m^2 \{ (m^2 + 2mt + t^2) + (m^2 t^2 - 2mt + 1) \}}{(m^2+1)^2} \\ &= \frac{m^2 (m^2 + t^2 + m^2 t^2 + 1)}{(m^2+1)^2} \\ &= \frac{m^2 (m^2+1)(t^2+1)}{(m^2+1)^2} \\ &= \frac{m^2(t^2+1)}{m^2+1} \end{aligned}$$
これを用いて $X^2 - X + Y^2$ を計算する。
$$\begin{aligned} X^2 - X + Y^2 &= \frac{m^2(t^2+1)}{m^2+1} - \frac{m(m+t)}{m^2+1} \\ &= \frac{m^2 t^2 + m^2 - m^2 - mt}{m^2+1} \\ &= \frac{mt(mt - 1)}{m^2+1} \end{aligned}$$
一方、$Y = \frac{m(mt-1)}{m^2+1}$ であるから、上記の式は $tY$ に等しい。 すなわち、点 $\text{P}$ の座標は $X^2 - X + Y^2 - tY = 0$ を満たす。 ゆえに、外接円の方程式において $d = -t$ であり、円の方程式は以下のようになる。
$$x^2 - x + y^2 - ty = 0$$
これを平方完成すると、
$$\left( x - \frac{1}{2} \right)^2 + \left( y - \frac{t}{2} \right)^2 = \frac{t^2 + 1}{4}$$
よって、外接円の半径は $\frac{\sqrt{t^2+1}}{2}$ であり、直径は $\sqrt{t^2+1}$ である。
(3) 三角形 $\text{OAP}$ において、正弦定理を用いる。
$$\frac{\text{OA}}{\sin \angle \text{OPA}} = (\text{外接円の直径})$$
$\text{OA} = 1$ であり、(2) より外接円の直径は $\sqrt{t^2 + 1}$ であるから、
$$\sin \angle \text{OPA} = \frac{1}{\sqrt{t^2 + 1}}$$
$mt > 1, m > 0$ より点 $\text{P}$ の $y$ 座標は正であるから、弦 $\text{OA}$ に対して点 $\text{P}$ は常に上側($y>0$ の領域)に存在する。 したがって、円周上の点 $\text{P}$ の位置が変化しても、弦 $\text{OA}$ に対する円周角 $\angle \text{OPA}$ は鋭角・鈍角の反転を起こすことなく一定の値をとる。 正弦の値が $t$ のみで決まり $m$ に依存しないため、$\angle \text{OPA}$ の大きさは $m$ によらず一定である。
解説
図形と方程式の分野における典型的な融合問題である。 直線の式にパラメーターが含まれる場合、まず「定点を通るか」を確認することが定石となる。本問では直交性も明らかであるため、解法1のように図形的性質(円周角の定理の逆)を利用すると、(2)以降の計算量が劇的に削減される。 一方、図形的性質に気づけなかった場合でも、解法2のように愚直に座標と方程式を処理すれば正答にたどり着くことができる。このように、代数的手法と幾何的手法の両方を引き出しとして持っておくことが望ましい。
答え
(1)
$$\text{P} \left( \frac{m(m + t)}{m^2 + 1}, \frac{m(mt - 1)}{m^2 + 1} \right)$$
(2)
$$\sqrt{t^2 + 1}$$
(3) 解説に示した通り、$\angle \text{OPA}$ は $\triangle \text{OAB}$ (あるいは同一の正弦の値)において $t$ のみによって定まる角に等しいため、$m$ によらず一定であることが示された。
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





