数学2 軌跡 問題 19 解説

方針・初手
(1) は、円と直線が異なる2点で交わる条件を立式する。円の中心と直線の距離と半径の大小関係を用いるのが簡明である。連立して判別式を用いてもよい。
(2) は、中点の座標をパラメータ $a$ で表し、$a$ を消去して軌跡の方程式を求める代数的手法(解と係数の関係の利用)と、円の弦の中点に関する幾何学的性質を用いる図形的手法の2つが考えられる。(1) で求めた $a$ の範囲による軌跡の限界(定義域)に注意する。
解法1
(1) 直線の方程式は $y = a(x - 5)$ より、$ax - y - 5a = 0$ と表せる。 円 $x^2 + y^2 = 9$ の中心 $(0, 0)$ とこの直線の距離を $d$ とすると、円と直線が異なる2点で交わるための条件は $d < 3$ である。 点と直線の距離の公式より、
$$d = \frac{|a \cdot 0 - 0 - 5a|}{\sqrt{a^2 + (-1)^2}} = \frac{|-5a|}{\sqrt{a^2 + 1}}$$
これが $3$ より小さいので、
$$\frac{|-5a|}{\sqrt{a^2 + 1}} < 3$$
両辺はともに正であるから、2乗して整理する。
$$\frac{25a^2}{a^2 + 1} < 9$$
$$25a^2 < 9(a^2 + 1)$$
$$16a^2 < 9$$
$$a^2 < \frac{9}{16}$$
これを解いて、
$$-\frac{3}{4} < a < \frac{3}{4}$$
(2) 円 $x^2 + y^2 = 9$ と直線 $y = a(x - 5)$ の交点 $\text{P}, \text{Q}$ の $x$ 座標を $\alpha, \beta$ とする。 $y$ を消去して、
$$x^2 + \{a(x - 5)\}^2 = 9$$
$$(a^2 + 1)x^2 - 10a^2x + 25a^2 - 9 = 0$$
この $x$ についての2次方程式の異なる2つの実数解が $\alpha, \beta$ である。 解と係数の関係より、
$$\alpha + \beta = \frac{10a^2}{a^2 + 1}$$
中点 $\text{M}$ の座標を $(X, Y)$ とおくと、
$$X = \frac{\alpha + \beta}{2} = \frac{5a^2}{a^2 + 1}$$
また、$\text{M}$ は直線 $y = a(x - 5)$ 上の点であるから、
$$Y = a(X - 5)$$
ここで $X$ を変形すると、
$$X = \frac{5(a^2 + 1) - 5}{a^2 + 1} = 5 - \frac{5}{a^2 + 1}$$
(1) より $a$ の範囲は $-\frac{3}{4} < a < \frac{3}{4}$ であるから、$0 \le a^2 < \frac{9}{16}$。 したがって、
$$1 \le a^2 + 1 < \frac{25}{16}$$
各辺の逆数をとり、正の数なので順序が入れ替わる。
$$\frac{16}{25} < \frac{1}{a^2 + 1} \le 1$$
$-5$ を掛けて、
$$-5 \le -\frac{5}{a^2 + 1} < -\frac{16}{5}$$
各辺に $5$ を加えて、
$$0 \le 5 - \frac{5}{a^2 + 1} < \frac{9}{5}$$
よって、$X$ のとり得る値の範囲は、
$$0 \le X < \frac{9}{5}$$
次に $X$ と $Y$ の関係式を求める。 $X < \frac{9}{5}$ より $X \neq 5$ であるから、$Y = a(X - 5)$ より、
$$a = \frac{Y}{X - 5}$$
これを $X = \frac{5a^2}{a^2 + 1}$ に代入して $a$ を消去する。
$$X = \frac{5 \left( \frac{Y}{X - 5} \right)^2}{\left( \frac{Y}{X - 5} \right)^2 + 1}$$
分母分子に $(X - 5)^2$ を掛けて、
$$X = \frac{5Y^2}{Y^2 + (X - 5)^2}$$
分母を払って、
$$X \{ Y^2 + (X - 5)^2 \} = 5Y^2$$
$$XY^2 + X(X - 5)^2 - 5Y^2 = 0$$
$$(X - 5)Y^2 + X(X - 5)^2 = 0$$
$X - 5 \neq 0$ であるから、両辺を $X - 5$ で割って、
$$Y^2 + X(X - 5) = 0$$
$$X^2 - 5X + Y^2 = 0$$
平方完成して、
$$\left( X - \frac{5}{2} \right)^2 + Y^2 = \frac{25}{4}$$
したがって、求める軌跡は円 $\left( x - \frac{5}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{25}{4}$ の $0 \le x < \frac{9}{5}$ の部分である。
解法2
(2)の別解
円 $x^2 + y^2 = 9$ の中心を $\text{O}(0, 0)$、直線 $y = a(x - 5)$ が必ず通る定点を $\text{A}(5, 0)$ とする。 直線が円の中心 $\text{O}$ を通るとき、すなわち $a = 0$ のとき、弦は直径となりその中点 $\text{M}$ は原点 $\text{O}(0, 0)$ に一致する。 直線が円の中心 $\text{O}$ を通らないとき($a \neq 0$ のとき)、弦 $\text{PQ}$ の中点 $\text{M}$ は、中心 $\text{O}$ から弦に下ろした垂線の足である。 したがって、$\text{OM} \perp \text{AM}$ となるから、$\angle{\text{OMA}} = 90^\circ$ が成り立つ。
これは $a = 0$ のときの $\text{M} = \text{O}$ も含めて、点 $\text{M}$ が線分 $\text{OA}$ を直径とする円周上にあることを示している。 線分 $\text{OA}$ を直径とする円は、中心が $\left( \frac{5}{2}, 0 \right)$、半径が $\frac{5}{2}$ の円であるから、その方程式は
$$\left( x - \frac{5}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{25}{4}$$
となる。これを展開すると
$$x^2 + y^2 = 5x$$
となる。 また、点 $\text{M}$ は円 $x^2 + y^2 = 9$ と直線が交わってできる弦の中点であるから、点 $\text{M}$ は必ず円 $x^2 + y^2 = 9$ の内部に存在する。 よって、
$$x^2 + y^2 < 9$$
が成り立つ。 ここに $x^2 + y^2 = 5x$ を代入して、
$$5x < 9$$
$$x < \frac{9}{5}$$
さらに、(1) より直線の傾き $a$ は区間 $\left( -\frac{3}{4}, \frac{3}{4} \right)$ を連続的に動くため、点 $\text{M}$ も円周上を連続して動く。 $x^2 + y^2 = 5x$ より $x = \frac{x^2 + y^2}{5} \ge 0$ であり、$a=0$ のとき最小値 $x=0$ をとる。 よって、点 $\text{M}$ の存在範囲は $0 \le x < \frac{9}{5}$ となる。
以上から、求める軌跡は円 $\left( x - \frac{5}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{25}{4}$ の $0 \le x < \frac{9}{5}$ の部分である。
解説
(1) は基本的な円と直線の共有点条件である。点と直線の距離を用いる方が、連立して判別式を計算するよりも圧倒的に計算量が少なくミスを防ぎやすい。
(2) は軌跡の標準的な問題である。代数的に解と係数の関係を用いてパラメータを消去する方法は、計算力と式変形の工夫が求められる。 一方、幾何学的に「円の弦の中点は、中心から弦に下ろした垂線の足である」という性質を利用すると、直角 $\text{OM} \perp \text{AM}$ が見え、線分を直径とする円という結果が直ちに得られる。 ただし図形的解法の場合でも、存在範囲(限界)の確認を怠らないようにしたい。本問では「中点が元の円の内部にある」という条件を不等式で処理すると鮮やかに範囲を特定できる。
答え
(1)
$$-\frac{3}{4} < a < \frac{3}{4}$$
(2)
円 $\left( x - \frac{5}{2} \right)^2 + y^2 = \frac{25}{4}$ の $0 \le x < \frac{9}{5}$ の部分
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





