数学2 点と直線の距離 問題 1 解説

方針・初手
点と直線の距離の公式を導出する誘導付きの問題である。直線 $l$ の法線ベクトルや方向ベクトルに注目して直線 $m$ の方程式を立てる。交点 $\text{P}$ の座標を直接求めるのではなく、誘導に従い $X-x_0$ と $Y-y_0$ をかたまりとして扱うことで、計算を見通しよく進めることができる。
解法1
直線 $l: ax+by+c=0$ の法線ベクトルは $\vec{n} = (a, b)$ である。
直線 $m$ は $l$ に垂直であるから、$m$ の方向ベクトルは $l$ の法線ベクトル $\vec{n} = (a, b)$ に平行である。 したがって、点 $\text{A}(x_0, y_0)$ を通る直線 $m$ 上の任意の点 $(x, y)$ について、ベクトル $(x-x_0, y-y_0)$ は $(a, b)$ に平行となる。 これにより、
$$b(x-x_0) - a(y-y_0) = 0$$
$$b(x-x_0) = a(y-y_0)$$
が成り立つ。よって、[ア] は $a$ である。
点 $\text{P}(X, Y)$ は直線 $l$ と直線 $m$ の交点であるから、
$$aX + bY + c = 0 \quad \cdots ①$$
$$b(X-x_0) = a(Y-y_0) \quad \cdots ②$$
がともに成り立つ。 ②より、比例式を用いて、
$$\frac{X-x_0}{a} = \frac{Y-y_0}{b} = k \quad (k \text{ は実数})$$
とおける($a=0$ または $b=0$ の場合も、$X-x_0 = ak, Y-y_0 = bk$ として一般性を失わない)。 これより、
$$X = x_0 + ak$$
$$Y = y_0 + bk$$
となる。これらを①に代入すると、
$$a(x_0 + ak) + b(y_0 + bk) + c = 0$$
$$(a^2 + b^2)k + ax_0 + by_0 + c = 0$$
直線 $l$ の方程式より $a=0$ かつ $b=0$ ではないため $a^2+b^2 \neq 0$ であり、
$$k = -\frac{ax_0 + by_0 + c}{a^2 + b^2}$$
となる。したがって、
$$X-x_0 = ak = -\frac{a(ax_0 + by_0 + c)}{a^2 + b^2}$$
$$Y-y_0 = bk = -\frac{b(ax_0 + by_0 + c)}{a^2 + b^2}$$
これらがそれぞれ [イ]、[ウ] である。
点 $\text{A}$ と点 $\text{P}$ の間の距離 $\text{AP}$ は、
$$\text{AP} = \sqrt{(X-x_0)^2 + (Y-y_0)^2}$$
であるから、先ほど求めた $X-x_0$ と $Y-y_0$ を代入して計算すると、
$$\text{AP} = \sqrt{(ak)^2 + (bk)^2}$$
$$\text{AP} = \sqrt{a^2 + b^2} |k|$$
$$\text{AP} = \sqrt{a^2 + b^2} \left| -\frac{ax_0 + by_0 + c}{a^2 + b^2} \right|$$
$$\text{AP} = \frac{|ax_0 + by_0 + c|}{\sqrt{a^2 + b^2}}$$
となる。これが [エ] である。
解説
教科書で扱われる「点と直線の距離の公式」の導出そのものである。 交点の座標 $(X, Y)$ を直接求めるのではなく、$X-x_0$ と $Y-y_0$ をひとかたまりとして扱うことで、計算量を大幅に減らす工夫がなされている。これは、2点間の距離を求める際にも $(X-x_0)^2 + (Y-y_0)^2$ の形でそのまま利用できるため、非常に合理的な手法である。また、比例式を $=k$ とおく処理はベクトルの実数倍や媒介変数表示と本質的に同じであり、図形と方程式の分野で頻出のテクニックである。
答え
[ア] $a$
[イ] $-\frac{a(ax_0+by_0+c)}{a^2+b^2}$
[ウ] $-\frac{b(ax_0+by_0+c)}{a^2+b^2}$
[エ] $\frac{|ax_0+by_0+c|}{\sqrt{a^2+b^2}}$
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