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数学2 点と直線の距離 問題 2 解説

数学2 点と直線の距離 問題 2 解説

方針・初手

点と直線の距離の公式を用いて条件式を立式し、代数的に処理する方針が確実である。または、直線 $l$ と $x$ 軸のなす角に注目して図形的に考察する方針も有効である。いずれにせよ、直線 $l$ の方程式を適切に設定し、場合分けを丁寧に行うことが求められる。

解法1

代数的に処理する。

(1)

直線 $l$ が $y$ 軸と平行であると仮定し、背理法を用いる。

このとき、$l$ の方程式は実数 $k$ を用いて $x = k$ とおける。点 $A(1, 0)$、点 $B(-1, 0)$ と $l$ の距離 $d_A, d_B$ はそれぞれ

$$d_A = |1 - k|, \quad d_B = |-1 - k| = |k + 1|$$

となる。条件より、距離の和は $d_A + d_B = 1$ であるから

$$|1 - k| + |k + 1| = 1$$

ここで、絶対値の三角不等式 $|x| + |y| \ge |x + y|$ を用いると

$$|1 - k| + |k + 1| \ge |(1 - k) + (k + 1)| = 2$$

となり、$1 \ge 2$ という矛盾が生じる。 したがって、$l$ は $y$ 軸と平行ではない。

(2)

(1) より、$l$ は $y$ 軸と平行ではないため、その方程式を $y = mx + n$、すなわち $mx - y + n = 0$ とおける。

点A、点Bと $l$ の距離 $d_A, d_B$ はそれぞれ

$$d_A = \frac{|m + n|}{\sqrt{m^2 + 1}}, \quad d_B = \frac{|-m + n|}{\sqrt{m^2 + 1}}$$

である。$d_A + d_B = 1$ より

$$\frac{|m + n| + |-m + n|}{\sqrt{m^2 + 1}} = 1$$

分母を払うと

$$|m + n| + |n - m| = \sqrt{m^2 + 1}$$

直線 $l$ が線分ABと交わる(端点を含む)ための条件は、点Aと点Bが直線 $l$ に関して反対側にあるか、少なくとも一方が $l$ 上にあることである。 関数 $f(x,y) = mx - y + n$ とすると、$f(1,0)f(-1,0) \le 0$ が成り立つので

$$(m + n)(-m + n) \le 0$$

$$n^2 - m^2 \le 0$$

$$|n| \le |m|$$

この条件のもとでは、$m+n$ と $n-m$ は、一方が $0$ 以上で他方が $0$ 以下である。 ゆえに、距離の式における絶対値の和は、中身の差の絶対値として計算できる。

$$|m + n| + |n - m| = |(m + n) - (n - m)| = |2m| = 2|m|$$

したがって、距離の条件式は

$$2|m| = \sqrt{m^2 + 1}$$

となる。両辺は正であるため2乗して

$$4m^2 = m^2 + 1$$

$$3m^2 = 1$$

$$m = \pm \frac{1}{\sqrt{3}}$$

直線 $l$ の傾きは $m$ であるから、求める傾きは $\pm \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。

(3)

直線 $l$ が線分ABと交わらないための条件は、点Aと点Bが直線 $l$ に関して同じ側にあることである。 すなわち、$f(1,0)f(-1,0) > 0$ より

$$(m + n)(-m + n) > 0$$

$$n^2 - m^2 > 0$$

$$|n| > |m|$$

この条件のもとでは、$m+n$ と $n-m$ は同符号であるから、絶対値の和は、中身の和の絶対値として計算できる。

$$|m + n| + |n - m| = |(m + n) + (n - m)| = |2n| = 2|n|$$

したがって、距離の条件式は

$$2|n| = \sqrt{m^2 + 1}$$

となる。 ここで、$l$ と原点 $O(0,0)$ の距離 $d_O$ は点と直線の距離の公式より

$$d_O = \frac{|n|}{\sqrt{m^2 + 1}}$$

である。$\sqrt{m^2 + 1} = 2|n|$ であり、条件 $|n| > |m| \ge 0$ より $n \ne 0$ であるから

$$d_O = \frac{|n|}{2|n|} = \frac{1}{2}$$

よって、$l$ と原点との距離は $\frac{1}{2}$ である。

解法2

図形的に考察する。点A、Bから直線 $l$ に下ろした垂線の足をそれぞれ $H_A, H_B$ とし、$d_A = AH_A, d_B = BH_B$ とする。

(1)

直線 $l$ が $y$ 軸と平行であると仮定する。このとき $l$ は線分ABに垂直である。

$l$ と $x$ 軸の交点を $H$ とすると、点A、Bから $l$ への距離はそれぞれ $d_A = AH, d_B = BH$ となる。 図形的に考えると、点Hが数直線上($x$ 軸上)のどこにあっても、$AH + BH$ は線分ABの長さ以上になる。すなわち

$$d_A + d_B = AH + BH \ge AB = 2$$

これは、距離の和が $1$ であることに矛盾する。 よって、$l$ は $y$ 軸と平行ではない。

(2)

直線 $l$ が線分ABと交わるとき、その交点を $P$ とし、$l$ と $x$ 軸のなす角を $\theta\ (0 < \theta < \pi)$ とする。

点PがA、Bと一致しない場合、直角三角形 $\triangle APH_A$ と $\triangle BPH_B$ に着目すると

$$d_A = AP \sin \theta, \quad d_B = BP \sin \theta$$

である。Pは線分AB上にあるため、$AP + BP = AB = 2$ が成り立つ。 よって、距離の和は

$$d_A + d_B = (AP + BP) \sin \theta = 2 \sin \theta$$

$d_A + d_B = 1$ であるから

$$2 \sin \theta = 1$$

$$\sin \theta = \frac{1}{2}$$

$0 < \theta < \pi$ の範囲で解くと、$\theta = \frac{\pi}{6}, \frac{5\pi}{6}$ となる。(PがAまたはBと一致する場合も同様に $\theta$ はこれらの値となる。) $l$ は $y$ 軸と平行ではないので、傾き $m$ は $\tan \theta$ で表される。

$$m = \tan \frac{\pi}{6} = \frac{1}{\sqrt{3}}, \quad m = \tan \frac{5\pi}{6} = -\frac{1}{\sqrt{3}}$$

したがって、求める傾きは $\pm \frac{1}{\sqrt{3}}$ である。

(3)

直線 $l$ が線分ABと交わらないときを考える。

原点 $O(0,0)$ は線分ABの中点である。AとBは直線 $l$ に関して同じ側にあるため、台形または長方形の性質(中点連結定理)から、中点Oから $l$ までの距離 $d_O$ は、両端点から $l$ までの距離の平均に等しい。

$$d_O = \frac{d_A + d_B}{2}$$

条件より $d_A + d_B = 1$ であるから

$$d_O = \frac{1}{2}$$

よって、$l$ と原点との距離は $\frac{1}{2}$ である。

解説

点と直線の距離の公式を利用した代数的な処理と、直線と $x$ 軸のなす角に注目した幾何的な処理の2つのアプローチが考えられる。 解法1の代数的な処理では、交わる・交わらないという幾何的条件を式の符号(絶対値のはずし方)に正しく翻訳できるかがポイントになる。 解法2の幾何的な解法では、図形的な意味を考えることで計算量が大幅に減り、見通しよく解答を導くことができる。

答え

(1) 矛盾を示すことで証明(本文参照)

(2) $\pm \frac{1}{\sqrt{3}}$

(3) $\frac{1}{2}$

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