数学2 領域 問題 10 解説

方針・初手
(1) は絶対値を含む不等式の表す領域を図示する問題である。絶対値の性質から対称性に着目するとよい。$x \geqq 0, y \geqq 0$ の第1象限における領域を特定し、それを $x$ 軸、$y$ 軸、原点に関して対称移動させる方針をとる。
(2) は(1)で求めた領域内に、確率的に決まる座標 $(x,y)$ が含まれる確率を求める問題である。$a_n$ はさいころの目であるため、$x, y$ は整数値をとる。したがって、(1)の領域に含まれる「格子点($x$ 座標も $y$ 座標も整数である点)」をすべて洗い出すことが第一歩となる。その後、$x, y$ がそれらの値をとる確率をそれぞれ計算し、独立試行の確率として求める。
解法1
(1) 与えられた不等式は以下の通りである。
$$(|x|-2)^2 + (|y|-2)^2 \leqq 1$$
まず、$x \geqq 0$ かつ $y \geqq 0$ の場合(第1象限および境界上)を考える。このとき $|x|=x, |y|=y$ であるから、不等式は次のようになる。
$$(x-2)^2 + (y-2)^2 \leqq 1$$
これは、点 $(2,2)$ を中心とする半径 $1$ の円の内部および境界を表す。
次に、元の不等式において $x$ を $-x$ に置き換えても、 $y$ を $-y$ に置き換えても式は同値である。このことから、求める領域は $x$ 軸に関しても $y$ 軸に関しても対称であることがわかる。
したがって、不等式が表す領域は、第1象限における領域を $x$ 軸、$y$ 軸、原点に関してそれぞれ対称移動した図形全体となる。
図示する領域は、以下の $4$ 点を中心とする半径 $1$ の円の内部および境界である。
$$(2,2), (-2,2), (-2,-2), (2,-2)$$
(図示の詳細は省略するが、$xy$ 平面の各象限に1つずつ半径1の円が描かれる形となる。)
(2) $a_n$ はさいころの目であるから $1$ から $6$ までの整数をとる。 したがって、$x = a_1 - a_2$ および $y = a_3 - a_4$ は整数である。 点 $(x,y)$ が(1)の領域に含まれるためには、領域内の格子点(座標がともに整数である点)である必要がある。
まず、第1象限にある領域 $(x-2)^2 + (y-2)^2 \leqq 1$ に含まれる格子点を求める。 $x, y$ は整数より $x-2, y-2$ も整数であるから、平方数の和が $1$ 以下となるのは以下のいずれかの場合に限られる。
(i) $(x-2)^2 = 0$ かつ $(y-2)^2 = 0$ このとき、$(x, y) = (2, 2)$ である。
(ii) $(x-2)^2 = 1$ かつ $(y-2)^2 = 0$ $x-2 = \pm 1$ より $x = 3, 1$ であるから、$(x, y) = (3, 2), (1, 2)$ である。
(iii) $(x-2)^2 = 0$ かつ $(y-2)^2 = 1$ $y-2 = \pm 1$ より $y = 3, 1$ であるから、$(x, y) = (2, 3), (2, 1)$ である。
以上より、第1象限の領域に含まれる格子点は以下の $5$ 個である。
$$(2,2), (3,2), (1,2), (2,3), (2,1)$$
次に、$x = a_1 - a_2$ が各値をとる確率を求める。さいころを $2$ 回投げたときの目の出方は $36$ 通りである。 $x = 1$ となるのは、$(a_1, a_2) = (2,1), (3,2), (4,3), (5,4), (6,5)$ の $5$ 通りであり、確率は $\frac{5}{36}$ である。 $x = 2$ となるのは、$(a_1, a_2) = (3,1), (4,2), (5,3), (6,4)$ の $4$ 通りであり、確率は $\frac{4}{36}$ である。 $x = 3$ となるのは、$(a_1, a_2) = (4,1), (5,2), (6,3)$ の $3$ 通りであり、確率は $\frac{3}{36}$ である。
$y = a_3 - a_4$ の分布も $x$ と全く同じである。また、$x$ と $y$ は互いに独立である。 点 $(x,y)$ が第1象限の格子点のいずれかに一致する確率 $P_1$ は、和の法則と積の法則より次のように計算できる。
$$\begin{aligned} P_1 &= P(x=2, y=2) + P(x=3, y=2) + P(x=1, y=2) + P(x=2, y=3) + P(x=2, y=1) \\ &= P(x=2)P(y=2) + P(x=3)P(y=2) + P(x=1)P(y=2) + P(x=2)P(y=3) + P(x=2)P(y=1) \\ &= \frac{4}{36} \cdot \frac{4}{36} + \frac{3}{36} \cdot \frac{4}{36} + \frac{5}{36} \cdot \frac{4}{36} + \frac{4}{36} \cdot \frac{3}{36} + \frac{4}{36} \cdot \frac{5}{36} \\ &= \frac{16 + 12 + 20 + 12 + 20}{1296} \\ &= \frac{80}{1296} \\ &= \frac{5}{81} \end{aligned}$$
(1)で見たように領域は $x$ 軸、$y$ 軸に関して対称である。また、$x = a_1 - a_2$ の分布は対称($x = -k$ となる確率と $x = k$ となる確率は等しい)であるため、点 $(x,y)$ が第2象限、第3象限、第4象限のいずれかの領域内の格子点に一致する確率は、それぞれ $P_1$ と等しい。
したがって、点 $(x,y)$ が領域内に含まれる確率 $P$ は、これら $4$ つの象限の確率の和となる。
$$P = 4 \times P_1 = 4 \times \frac{5}{81} = \frac{20}{81}$$
解説
(1)の絶対値を含む図形問題は、対称性を利用して第1象限だけを先に考えるのが定石である。$|x|$ を含む式は $y$ 軸対称、$|y|$ を含む式は $x$ 軸対称であることを念頭に置けば、素早く正確に図示できる。
(2)は図形と確率の融合問題である。連続的な領域が与えられているが、座標が離散的な整数値しかとらないことに気付けば、領域内の「格子点」をピックアップする問題に帰着する。計算においては、すべての象限について確率を愚直に求めるのではなく、領域の対称性と確率分布の対称性(さいころの目の差の分布は正負対称であること)を利用することで、計算量を大幅に減らすことができる。
答え
(1) 中心が $(2,2), (-2,2), (-2,-2), (2,-2)$ で半径が $1$ の $4$ つの円の内部および境界(図示略)
(2) $\frac{20}{81}$
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