数学2 領域 問題 14 解説

方針・初手
三角関数の値域と「すべての(任意の)~について成り立つ」という絶対不等式の条件を組み合わせた問題である。 「任意の角 $\theta$ について $f(\theta) \leqq k$ が成り立つ」という条件は、「$f(\theta)$ の最大値 $\leqq k$」と同値である。 同様に、「任意の角 $\theta$ について $k \leqq f(\theta)$ が成り立つ」という条件は、「$k \leqq f(\theta)$ の最小値」と同値である。
(1) では、変数が $\theta$ ひとつであるため、三角関数の合成を用いて $x\cos\theta + y\sin\theta$ の最大値と最小値を $x, y$ で表す。 (2) では、$\alpha$ と $\beta$ が独立に動くため、それぞれの項の最大値と最小値を個別に考えて足し合わせることで全体の最大値・最小値が得られる。
解法1
(1)
$f(\theta) = x\cos\theta + y\sin\theta$ とおく。
$x = y = 0$ のとき、$f(\theta) = 0$ であり、不等式は $-2 \leqq 0 \leqq 1$ となり条件を満たす。このとき $\sqrt{x^2+y^2} = 0$ である。 $x, y$ の少なくとも一方が $0$ でないとき、三角関数の合成により、
$$f(\theta) = \sqrt{x^2+y^2}\sin(\theta + \phi)$$
と表せる。ただし、$\phi$ は $\cos\phi = \frac{y}{\sqrt{x^2+y^2}}, \sin\phi = \frac{x}{\sqrt{x^2+y^2}}$ を満たす角である。
$\theta$ は任意の角をとるので、$\sin(\theta + \phi)$ は $-1$ から $1$ のすべての実数値をとる。 したがって、$f(\theta)$ のとり得る値の範囲は、
$$-\sqrt{x^2+y^2} \leqq f(\theta) \leqq \sqrt{x^2+y^2}$$
となる(この式は $x=y=0$ のときも成立する)。 与えられた不等式 $-2 \leqq f(\theta) \leqq y+1$ が任意の $\theta$ に対して成り立つための条件は、
$$\begin{cases} -2 \leqq -\sqrt{x^2+y^2} \\ \sqrt{x^2+y^2} \leqq y+1 \end{cases}$$
すなわち、
$$\begin{cases} \sqrt{x^2+y^2} \leqq 2 \quad \cdots \text{①} \\ \sqrt{x^2+y^2} \leqq y+1 \quad \cdots \text{②} \end{cases}$$
である。
①より、両辺はともに負ではないので2乗して、
$$x^2+y^2 \leqq 4 \quad \cdots \text{①}'$$
を得る。
②より、$\sqrt{x^2+y^2} \geqq 0$ であるから、$y+1 \geqq 0$ すなわち $y \geqq -1$ が必要である。 この条件のもとで両辺を2乗すると、
$$x^2+y^2 \leqq (y+1)^2$$
$$x^2+y^2 \leqq y^2+2y+1$$
$$x^2 \leqq 2y+1$$
$$y \geqq \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \quad \cdots \text{②}'$$
を得る。($y \geqq \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \geqq -\frac{1}{2}$ より、$y \geqq -1$ は自動的に満たされる。)
以上より、求める領域は①'かつ②'、すなわち
$$\begin{cases} x^2+y^2 \leqq 4 \\ y \geqq \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \end{cases}$$
の表す領域である。
境界線の交点を求める。$x^2 = 2y+1$ を $x^2+y^2=4$ に代入して、
$$2y+1+y^2 = 4$$
$$y^2+2y-3 = 0$$
$$(y+3)(y-1) = 0$$
$y \geqq -1$ より $y=1$。このとき $x^2 = 3$ より $x = \pm\sqrt{3}$。 よって交点は $(\pm\sqrt{3}, 1)$ である。
領域の面積 $S_1$ を求める。 求める面積は、円 $x^2+y^2=4$ と直線 $y=1$ で囲まれた部分(上側の弓形)の面積と、直線 $y=1$ と放物線 $y = \frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}$ で囲まれた部分の面積の和として計算できる。
円 $x^2+y^2=4$ と直線 $y=1$ で囲まれた領域($y \geqq 1$)の面積: 原点 $\mathrm{O}$ と交点 $\mathrm{A}(-\sqrt{3}, 1), \mathrm{B}(\sqrt{3}, 1)$ を結ぶと、三角形 $\mathrm{OAB}$ は $\mathrm{OA}=\mathrm{OB}=2, \mathrm{AB}=2\sqrt{3}$ であり、$\angle\mathrm{AOB} = \frac{2}{3}\pi$ の二等辺三角形となる。 弓形部分の面積は、扇形から三角形の面積を引いて、
$$\frac{1}{2} \cdot 2^2 \cdot \frac{2}{3}\pi - \frac{1}{2} \cdot 2\sqrt{3} \cdot 1 = \frac{4}{3}\pi - \sqrt{3}$$
直線 $y=1$ と放物線 $y = \frac{1}{2}x^2-\frac{1}{2}$ で囲まれた領域の面積:
$$\int_{-\sqrt{3}}^{\sqrt{3}} \left\{ 1 - \left( \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2} \right) \right\} dx = -\frac{1}{2} \int_{-\sqrt{3}}^{\sqrt{3}} (x^2 - 3) dx$$
$$= -\frac{1}{2} \int_{-\sqrt{3}}^{\sqrt{3}} (x+\sqrt{3})(x-\sqrt{3}) dx$$
$$= -\frac{1}{2} \left\{ -\frac{1}{6} (\sqrt{3} - (-\sqrt{3}))^3 \right\} = \frac{1}{12} (2\sqrt{3})^3 = 2\sqrt{3}$$
したがって、求める面積 $S_1$ は、
$$S_1 = \left( \frac{4}{3}\pi - \sqrt{3} \right) + 2\sqrt{3} = \frac{4}{3}\pi + \sqrt{3}$$
(2)
$g(\alpha, \beta) = x^2\cos\alpha + y\sin\beta$ とおく。 $\alpha, \beta$ は独立に任意の角をとる。
$-1 \leqq \cos\alpha \leqq 1$ であり、$x^2 \geqq 0$ であるから、
$$-x^2 \leqq x^2\cos\alpha \leqq x^2$$
また、$-1 \leqq \sin\beta \leqq 1$ であり、
$$-|y| \leqq y\sin\beta \leqq |y|$$
($y$ の正負にかかわらず、最大値は $|y|$、最小値は $-|y|$ となる。)
これらは独立に動くので、足し合わせることで $g(\alpha, \beta)$ のとり得る値の範囲は、
$$-x^2 - |y| \leqq g(\alpha, \beta) \leqq x^2 + |y|$$
となる。 与えられた不等式 $-1 \leqq g(\alpha, \beta) \leqq 1$ が任意の $\alpha, \beta$ に対して成り立つための条件は、
$$\begin{cases} -1 \leqq -x^2 - |y| \\ x^2 + |y| \leqq 1 \end{cases}$$
であり、両者は全く同じ不等式 $x^2 + |y| \leqq 1$ に帰着する。 すなわち、$|y| \leqq -x^2 + 1$ である。 この不等式が解をもつためには $-x^2 + 1 \geqq 0$ すなわち $-1 \leqq x \leqq 1$ が必要である。 このとき絶対値を外して、
$$x^2 - 1 \leqq y \leqq -x^2 + 1$$
を得る。
この領域は $x$ 軸および $y$ 軸に関して対称である。 求める面積 $S_2$ は、上側の放物線から下側の放物線を引いて積分すればよく、
$$S_2 = \int_{-1}^{1} \left\{ (-x^2 + 1) - (x^2 - 1) \right\} dx$$
$$= -2 \int_{-1}^{1} (x^2 - 1) dx$$
$$= -2 \int_{-1}^{1} (x+1)(x-1) dx$$
$$= -2 \left\{ -\frac{1}{6} (1 - (-1))^3 \right\} = \frac{1}{3} \cdot 2^3 = \frac{8}{3}$$
解説
「任意の~に対して成り立つ」条件を処理する典型問題である。 (1) では、変数が $\theta$ ひとつであるため、三角関数の合成を用いて一つのサインカーブの最大値・最小値を考える。ルートを外すために両辺を2乗して同値変形する際、「両辺がともに0以上であること」の確認($y+1 \geqq 0$)を忘れないように注意したい。 (2) では、変数が $\alpha, \beta$ と独立しているため、それぞれの項の最大値・最小値を個別に考えて足し合わせればよい。ここを (1) のように無理に合成しようとすると計算が破綻する。変数が従属か独立かを見極めることが非常に重要である。
答え
(1)
図示: 中心が原点、半径が $2$ の円 $x^2+y^2 \leqq 4$ の内部と、放物線 $y \geqq \frac{1}{2}x^2 - \frac{1}{2}$ の上側の共通部分(境界を含む)
面積: $\frac{4}{3}\pi + \sqrt{3}$
(2)
図示: 2つの放物線 $y = -x^2 + 1$ と $y = x^2 - 1$ で囲まれた部分(境界を含む)
面積: $\frac{8}{3}$
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