数学2 領域 問題 16 解説

方針・初手
直線の方程式を $t$ についての2次方程式とみなし、方程式の実数解の条件に帰着させて考える。 (1)は、点 $(x, y)$ を固定したときに $t$ の2次方程式がただ1つの実数解(重解)を持つ条件を求める。 (2)は、点 $(x, y)$ を通る直線が存在するための条件、すなわち $t$ の2次方程式が指定された範囲に実数解を持つ条件を考える(逆像法)。別解として、$x$ を固定して $t$ を動かしたときの $y$ のとり得る値の範囲を求める手法(順像法)も有効である。
解法1
(1)
与えられた直線の方程式を $t$ について整理すると、以下のようになる。
$$t^2 - 2xt + y = 0 \quad \cdots (*)$$
点 $(x, y)$ を通る直線 $l_t$ がただ1つであるための条件は、$t$ についての2次方程式 $(*)$ がただ1つの実数解を持つことである。 したがって、方程式 $(*)$ の判別式を $D$ とすると、$D = 0$ となればよい。
$$\frac{D}{4} = x^2 - y = 0$$
これを整理して、求める点 $\mathrm{P}$ の軌跡の方程式は以下のようになる。
$$y = x^2$$
(2)
$t$ が $|t| \geqq 1$ の範囲を動くとき、直線 $l_t$ が通る点 $(x, y)$ の条件は、方程式 $(*)$ が $|t| \geqq 1$ の範囲に少なくとも1つの実数解を持つことである。 $f(t) = t^2 - 2xt + y$ とおくと、以下のように平方完成できる。
$$f(t) = (t - x)^2 - x^2 + y$$
この放物線の軸は直線 $t = x$ である。軸の位置によって場合分けを行う。
(i) $x \leqq -1$ または $1 \leqq x$ のとき
軸 $t = x$ が $|t| \geqq 1$ の範囲にある。 したがって、方程式 $(*)$ が実数解を持てば、頂点の位置関係から少なくとも1つの解は必ず $|t| \geqq 1$ の範囲に含まれる。 実数解を持つ条件は $D \geqq 0$ であるから、以下のようになる。
$$x^2 - y \geqq 0 \iff y \leqq x^2$$
(ii) $-1 < x < 1$ のとき
軸 $t = x$ が $-1 < t < 1$ の範囲にある。 このとき、少なくとも1つの解が $|t| \geqq 1$ の範囲に含まれるための条件は、大きい方の解が $1$ 以上になるか、または小さい方の解が $-1$ 以下になることである。 これは、$f(1) \leqq 0$ または $f(-1) \leqq 0$ となることと同値である。
$f(1) \leqq 0$ のとき
$$1 - 2x + y \leqq 0 \iff y \leqq 2x - 1$$
$f(-1) \leqq 0$ のとき
$$1 + 2x + y \leqq 0 \iff y \leqq -2x - 1$$
したがって、求める条件は $y \leqq 2x - 1$ または $y \leqq -2x - 1$ である。
以上 (i), (ii) より、求める領域はこれらを合わせた範囲となる。
解法2
(2)の別解(順像法)
$x$ を任意の実数として固定し、$t$ の関数として $y$ のとり得る値の範囲を考える。
$$y = -t^2 + 2xt \quad (|t| \geqq 1)$$
$g(t) = -t^2 + 2xt$ とおくと、以下のように平方完成できる。
$$g(t) = -(t - x)^2 + x^2$$
この放物線は上に凸であり、軸は $t = x$、頂点は $(x, x^2)$ である。 $t$ の変域が $t \leqq -1, 1 \leqq t$ であることに注意して、軸の位置で場合分けし $y$ の最大値を求める。
(i) $x \leqq -1$ のとき
頂点 $t = x$ は変域 $t \leqq -1$ に含まれるため、$y$ は $t = x$ のとき最大値 $x^2$ をとる。 したがって、とり得る値の範囲は以下のようになる。
$$y \leqq x^2$$
(ii) $-1 < x < 1$ のとき
頂点 $t = x$ は変域 $|t| \geqq 1$ に含まれない。 関数 $g(t)$ は $t \leqq -1$ において単調増加、$1 \leqq t$ において単調減少であるから、最大値の候補は $g(-1)$ または $g(1)$ である。
$$\begin{aligned} g(-1) &= -2x - 1 \\ g(1) &= 2x - 1 \end{aligned}$$
両者の大小関係を比較する。$g(1) - g(-1) = 4x$ である。
(ア) $0 \leqq x < 1$ のとき $g(1) \geqq g(-1)$ となるため、最大値は $2x - 1$ である。 したがって、$y \leqq 2x - 1$ となる。
(イ) $-1 < x < 0$ のとき $g(-1) > g(1)$ となるため、最大値は $-2x - 1$ である。 したがって、$y \leqq -2x - 1$ となる。
(iii) $1 \leqq x$ のとき
頂点 $t = x$ は変域 $1 \leqq t$ に含まれるため、$y$ は $t = x$ のとき最大値 $x^2$ をとる。 したがって、とり得る値の範囲は以下のようになる。
$$y \leqq x^2$$
以上 (i), (ii), (iii) より、求める領域が定まる。
解説
直線の通過領域を求める典型問題である。 解法1のように「ある点を通るような $t$ が存在するか(逆像法)」と考えるアプローチは、2次方程式の解の配置問題に帰着できるため見通しが良い。 一方、解法2のように「$x$ を固定して $y$ の値域を求める(順像法、ファクシミリの原理)」アプローチも、変数が分離しやすく最大・最小の問題として直感的に処理できるため強力である。どちらの手法もマスターしておきたい。
答え
(1) $y = x^2$
(2) 求める領域は、以下の不等式を満たす点 $(x, y)$ の集合である。
$x \leqq -1$ または $1 \leqq x$ のとき、$y \leqq x^2$
$-1 < x \leqq 0$ のとき、$y \leqq -2x - 1$
$0 < x < 1$ のとき、$y \leqq 2x - 1$
図示すると、放物線 $y = x^2$ の $x \leqq -1$ および $1 \leqq x$ の部分と、直線 $y = -2x - 1$ の $-1 < x \leqq 0$ の部分、直線 $y = 2x - 1$ の $0 < x < 1$ の部分を境界とし、それらの下側の領域となる(境界線をすべて含む)。境界線は点 $(1, 1), (-1, 1)$ でなめらかに接続し、直線同士は点 $(0, -1)$ で交わる。
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