数学2 領域 問題 18 解説

方針・初手
点 $\text{P}, \text{Q}$ の座標を設定し、線分 $\text{PQ}$ 上の点 $(x, y)$ をベクトル方程式(媒介変数表示)で表す。 条件 $\text{OP} + \text{OQ} = \sqrt{2}$ から、設定した文字の満たすべき関係式を導く。 点 $(x, y)$ が線分 $\text{PQ}$ 上に存在する条件を「パラメータが存在する条件(逆像法)」として捉え直す方針が、全問を通じて最も見通しがよい。 (1) では直線の方程式を立てて2次関数の最大・最小に帰着させる順像法も有効であるため、解法2として併記する。
解法1
点 $\text{P}$ は直線 $y=x$ 上にあるので $\text{P}(p, p)$ とおく。 点 $\text{Q}$ は直線 $y=-x$ 上にあるので $\text{Q}(q, -q)$ とおく。 $\text{OP} = \sqrt{p^2+p^2} = \sqrt{2}|p|$、$\text{OQ} = \sqrt{q^2+(-q)^2} = \sqrt{2}|q|$ であるから、条件 $\text{OP} + \text{OQ} = \sqrt{2}$ より
$$\sqrt{2}|p| + \sqrt{2}|q| = \sqrt{2} \iff |p| + |q| = 1 \quad \cdots (*)$$
線分 $\text{PQ}$ 上の点 $\text{R}(x, y)$ は、実数 $t \ (0 \leqq t \leqq 1)$ を用いて
$$\begin{cases} x = (1-t)p + tq \\ y = (1-t)p - tq \end{cases}$$
と表せる。これを $p, q$ について解くと、
$$(1-t)p = \frac{x+y}{2}, \quad tq = \frac{x-y}{2}$$
となる。 点 $(x, y)$ が領域 $S$ に属する条件は、$(*)$ を満たす実数 $p, q$ と $0 \leqq t \leqq 1$ を満たす実数 $t$ が存在することである。 $t=0$ のとき、$x=y=p$ となり、$(*)$ を満たす $q$ が存在するための条件は $|p| \leqq 1 \implies |x| \leqq 1$ かつ $x=y$ である。 $t=1$ のとき、$x=-y=q$ となり、$(*)$ を満たす $p$ が存在するための条件は $|q| \leqq 1 \implies |x| \leqq 1$ かつ $x=-y$ である。 $0 < t < 1$ のとき、$p = \frac{x+y}{2(1-t)}$ と $q = \frac{x-y}{2t}$ を $(*)$ に代入して
$$\frac{|x+y|}{2(1-t)} + \frac{|x-y|}{2t} = 1 \quad \cdots (**)$$
ここで、コーシー・シュワルツの不等式より
$$\left( \frac{|x+y|}{2(1-t)} + \frac{|x-y|}{2t} \right) \{ (1-t) + t \} \geqq \left( \sqrt{\frac{|x+y|}{2}} + \sqrt{\frac{|x-y|}{2}} \right)^2$$
左辺の第2因数は $1$ であるから、
$$\frac{|x+y|}{2(1-t)} + \frac{|x-y|}{2t} \geqq \frac{1}{2} \left( \sqrt{|x+y|} + \sqrt{|x-y|} \right)^2$$
等号は $\frac{\sqrt{|x+y|}}{1-t} = \frac{\sqrt{|x-y|}}{t}$ すなわち $t = \frac{\sqrt{|x-y|}}{\sqrt{|x+y|} + \sqrt{|x-y|}}$ のときに成立し、この $t$ は常に $0 < t < 1$ を満たす範囲に存在する。 したがって、$()$ を満たす $t \ (0 < t < 1)$ が存在するための必要十分条件は
$$\frac{1}{2} \left( \sqrt{|x+y|} + \sqrt{|x-y|} \right)^2 \leqq 1 \iff \sqrt{|x+y|} + \sqrt{|x-y|} \leqq \sqrt{2} \quad \cdots (***)$$
この条件式は $t=0, 1$ の場合も包含している。これが領域 $S$ を表す不等式である。
(1) 直線 $x=a$ 上の点 $(a, y)$ が $S$ に含まれるような $y$ の最大値を求める。 領域 $S$ を表す不等式 $(***)$ は $x, y$ それぞれの符号反転に対して不変であるため、領域は $x$ 軸および $y$ 軸に関して対称である。ゆえに、$y$ の最大値は $y \geqq |a|$ の範囲で考えればよい。 $(***)$ に $x=a$ を代入し、$y \geqq |a|$ の条件のもとで絶対値を外すと $a+y \geqq 0, y-a \geqq 0$ より
$$\sqrt{y+a} + \sqrt{y-a} \leqq \sqrt{2}$$
両辺ともに正であるから2乗して
$$(y+a) + (y-a) + 2\sqrt{y^2-a^2} \leqq 2$$
$$2y + 2\sqrt{y^2-a^2} \leqq 2 \iff \sqrt{y^2-a^2} \leqq 1-y$$
これより $1-y \geqq 0 \implies y \leqq 1$ が必要であり、両辺をさらに2乗して
$$y^2 - a^2 \leqq (1-y)^2 = 1 - 2y + y^2$$
$$2y \leqq a^2 + 1 \implies y \leqq \frac{a^2+1}{2}$$
$y = \frac{a^2+1}{2}$ は、$-1 \leqq a \leqq 1$ のもとで $y \geqq |a|$ および $y \leqq 1$ を満たしている。 したがって、求める最大値は $\frac{a^2+1}{2}$ である。
(2) (1) での議論から、$y \geqq |x|$ のとき、領域 $S$ の条件は $y \leqq \frac{x^2+1}{2}$ となることがわかる。 領域 $S$ は $x$ 軸、$y$ 軸、$y=x$、$y=-x$ のいずれに関しても対称であるため、全体としては以下の連立不等式で表される。
$$\begin{cases} |y| \leqq \frac{x^2+1}{2} \\ |x| \leqq \frac{y^2+1}{2} \end{cases}$$
(3) 領域 $S$ の対称性から、第1象限のうち $y \geqq x$ を満たす部分(すなわち $0 \leqq x \leqq 1$ かつ $x \leqq y \leqq \frac{x^2+1}{2}$)の面積を求め、それを $8$ 倍すれば $S$ 全体の面積となる。 求める面積を $A$ とすると、
$$A = 8 \int_{0}^{1} \left( \frac{x^2+1}{2} - x \right) dx$$
$$A = 8 \int_{0}^{1} \frac{1}{2} (x-1)^2 dx$$
$$A = 4 \left[ \frac{1}{3} (x-1)^3 \right]_{0}^{1} = 4 \left( 0 - \left( -\frac{1}{3} \right) \right) = \frac{4}{3}$$
解法2
(1) について、直線の通過領域(包絡線)の考え方を用いる別解を示す。
(1) 点 $\text{P}(p, p)$,$\text{Q}(q, -q)$ とおく。条件より $|p|+|q|=1$ である。 $p \geqq 0, q \leqq 0$ の場合を考える。このとき $p - q = 1 \implies q = p-1$ ($0 \leqq p \leqq 1$) である。 線分 $\text{PQ}$ の端点は $(p, p)$ と $(p-1, 1-p)$ となる。 この2点を通る直線の方程式は、傾きが $\frac{(1-p)-p}{(p-1)-p} = 2p-1$ であるから
$$y - p = (2p-1)(x - p) \implies y = (2p-1)x - 2p^2 + 2p$$
$$\iff 2p^2 - 2(x+1)p + x+y = 0 \quad \cdots (\text{A})$$
直線 $x=a$ 上の点 $(a, y)$ が線分 $\text{PQ}$ 上にあるための条件は、(A) において $x=a$ とした方程式
$$2p^2 - 2(a+1)p + a+y = 0$$
を満たす実数 $p$ が、端点の $x$ 座標の間 $p-1 \leqq a \leqq p \implies a \leqq p \leqq a+1$ に存在し、かつ $0 \leqq p \leqq 1$ を満たすことである。 上式を $y$ について解くと
$$y = -2p^2 + 2(a+1)p - a = -2 \left( p - \frac{a+1}{2} \right)^2 + \frac{a^2+1}{2}$$
$-1 \leqq a \leqq 1$ より、頂点を与える $p = \frac{a+1}{2}$ は $0 \leqq p \leqq 1$ かつ $a \leqq p \leqq a+1$ を常に満たす。 したがって、$y$ は $p = \frac{a+1}{2}$ のとき最大値 $\frac{a^2+1}{2}$ をとる。 $p, q$ の符号が他の組み合わせの場合も同様に調べられるが、対称性から最大値はこれを上回らない。 よって求める最大値は $\frac{a^2+1}{2}$ である。
解説
点 $\text{P}$ と $\text{Q}$ が独立に動くように見えるが、長さの和が一定という条件から自由度は1つ減っている。線分上の点を媒介変数で表現し、「それが存在する条件」として捉え直す「逆像法(存在条件の追求)」が非常に強力な武器になる問題である。 解法1のように、$x, y$ の条件式を導く過程でコーシー・シュワルツの不等式を用いると、絶対値を含む煩雑な条件処理を一気に解決でき、飛躍的に見通しが良くなる。 一方で、解法2の「順像法」を用いて素直に解き進めることも十分に可能であり、実戦的にはこちらを選んだ受験生も多かったと思われる。その場合、包絡線を求める要領で2次関数の最大・最小に帰着させるのが定石となる。 (3) は領域の対称性を最大限に活用し、積分計算の負担を最小限に留めるのが鉄則である。
答え
(1)
$$\frac{a^2+1}{2}$$
(2)
$$|y| \leqq \frac{x^2+1}{2} \text{ かつ } |x| \leqq \frac{y^2+1}{2}$$
(または $\sqrt{|x+y|} + \sqrt{|x-y|} \leqq \sqrt{2}$)
(3)
$$\frac{4}{3}$$
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