数学2 領域 問題 20 解説

方針・初手
直線と放物線が「交わる」という条件は、2つの方程式から $y$ を消去した2次方程式が実数解をもつ条件として処理できる。 一方、直線と絶対値を含む折れ線のグラフが「交わらない」という条件は、グラフの上下関係として捉える。折れ線のグラフは下に凸であり、両端で無限大に発散するため、直線と交わらないためには直線が常に折れ線の下側にある必要がある。すべての $x$ に対して(折れ線)$>$(直線)となるような $p, q$ の条件を求め、得られた不等式が表す領域を図示して面積を計算する。
解法1
直線 $y = px+q$ が $y = x^2-x$ のグラフと交わる条件を求める。 2式から $y$ を消去して整理すると、
$$x^2 - (p+1)x - q = 0$$
これが実数解をもてばよいので、判別式を $D$ とすると $D \ge 0$ である。
$$D = (p+1)^2 + 4q \ge 0$$
よって、
$$q \ge -\frac{1}{4}(p+1)^2 \quad \cdots \text{(1)}$$
次に、直線 $y = px+q$ が $y = |x| + |x-1| + 1$ のグラフと交わらない条件を考える。 $f(x) = |x| + |x-1| + 1$ とおく。絶対値を外して $f(x)$ を整理すると、
(i) $x < 0$ のとき $f(x) = -x - (x-1) + 1 = -2x + 2$
(ii) $0 \le x < 1$ のとき $f(x) = x - (x-1) + 1 = 2$
(iii) $x \ge 1$ のとき $f(x) = x + x - 1 + 1 = 2x$
$y = f(x)$ のグラフは下に凸の折れ線であり、$x \to \pm\infty$ で $f(x) \to \infty$ となる。 直線 $y = px+q$ がこのグラフと交わらないための必要十分条件は、すべての実数 $x$ において直線が折れ線の下側にあること、すなわち
$$px + q < f(x)$$
が常に成り立つことである。これを $f(x) - px - q > 0$ とみて、$g(x) = f(x) - px - q$ が常に正となる条件を求める。
(ア) $x < 0$ の範囲 $g(x) = -(p+2)x + 2 - q$ これが $x \to -\infty$ で負に発散しないためには、傾き $-(p+2) \le 0$ すなわち $p \ge -2$ が必要である。このとき $g(x)$ は単調減少(または定数)となり、$x < 0$ における下限は $x \to 0$ のときの値 $2-q$ である。
(イ) $x \ge 1$ の範囲 $g(x) = (2-p)x - q$ これが $x \to \infty$ で負に発散しないためには、傾き $2-p \ge 0$ すなわち $p \le 2$ が必要である。このとき $g(x)$ は単調増加(または定数)となり、$x \ge 1$ における最小値は $x=1$ のときの値 $2-p-q$ である。
(ウ) $0 \le x < 1$ の範囲 $g(x) = -px + 2 - q$ これは線分であり、最小値は端点 $x=0$ または $x=1$ でとる。
以上より、すべての $x$ で $g(x) > 0$ となるための条件は、$-2 \le p \le 2$ かつ $x=0, 1$ において $g(x) > 0$ となることである。 $g(0) = 2-q > 0$ より、
$$q < 2 \quad \cdots \text{(2)}$$
$g(1) = 2-p-q > 0$ より、
$$q < -p+2 \quad \cdots \text{(3)}$$
さらに、傾きの条件より、
$$-2 \le p \le 2 \quad \cdots \text{(4)}$$
求める領域 $D$ は、不等式(1)かつ(2)かつ(3)かつ(4)を満たす $(p,q)$ の集合である。 $pq$ 平面において、境界となるのは放物線 $q = -\frac{1}{4}(p+1)^2$ と、直線 $q=2$ および $q=-p+2$ である。 $-2 \le p \le 2$ において、$q=2$ と $q=-p+2$ は $p=0$ で交わる。 また、放物線の頂点は $(-1, 0)$ であり、$-2 \le p \le 2$ の範囲で常に放物線は $q=2$ および $q=-p+2$ の下側に位置する。
したがって、領域 $D$ は横軸を $p$ 軸、縦軸を $q$ 軸としたとき、以下の境界線に囲まれた部分となる。 ・下側の境界:放物線 $q = -\frac{1}{4}(p+1)^2 \quad (-2 \le p \le 2)$ ・上側の境界:線分 $q=2 \quad (-2 \le p \le 0)$ および 線分 $q=-p+2 \quad (0 < p \le 2)$ (境界線の包含について:放物線上の点は含み、上側の折れ線上の点は含まない。左右の端である $p=-2, 2$ 上の境界線については、放物線側の端点を含み折れ線側の端点を含まない線分として含まれる。)
求める面積 $S$ は、上の境界から下の境界を引いて積分すればよい。
$$S = \int_{-2}^{0} \left\{ 2 - \left( -\frac{1}{4}(p+1)^2 \right) \right\} dp + \int_{0}^{2} \left\{ (-p+2) - \left( -\frac{1}{4}(p+1)^2 \right) \right\} dp$$
$$S = \int_{-2}^{0} 2 \, dp + \int_{0}^{2} (-p+2) \, dp + \int_{-2}^{2} \frac{1}{4}(p+1)^2 \, dp$$
それぞれの定積分を計算する。
$$\int_{-2}^{0} 2 \, dp = [2p]_{-2}^{0} = 4$$
$$\int_{0}^{2} (-p+2) \, dp = \left[ -\frac{1}{2}p^2 + 2p \right]_{0}^{2} = -2 + 4 = 2$$
$$\int_{-2}^{2} \frac{1}{4}(p+1)^2 \, dp = \left[ \frac{1}{12}(p+1)^3 \right]_{-2}^{2} = \frac{1}{12}(27 - (-1)) = \frac{28}{12} = \frac{7}{3}$$
これらを足し合わせて、
$$S = 4 + 2 + \frac{7}{3} = \frac{25}{3}$$
解説
放物線と直線が交わる条件は判別式を用いて容易に処理できるが、絶対値関数との非交差条件の処理が本問の核心である。 絶対値を含む関数 $f(x)$ のグラフの形状(下に凸な折れ線)を把握し、直線がそれと交わらないためには「常に直線が下にある」しかないことを見抜く必要がある。 不等式 $px+q < f(x)$ がすべての $x$ で成り立つ条件を考える際、$x \to \pm\infty$ の極限から直線の傾き $p$ の範囲が $-2 \le p \le 2$ に制限されることに気づけるかが重要なポイントとなる。 領域の図示においては、$p$ 軸を横軸、$q$ 軸を縦軸として丁寧に境界線の上下関係を調べれば、あとは基本的な定積分計算に帰着する。
答え
$(p,q)$ の範囲は、$pq$ 平面において不等式 $q \ge -\frac{1}{4}(p+1)^2$、$q < 2$、$q < -p+2$、$-2 \le p \le 2$ を満たす領域である(図示の詳細は解答本文を参照)。
面積は $\frac{25}{3}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





