数学2 領域 問題 29 解説

方針・初手
まずは与えられた連立不等式を整理し、領域 $D$ を図示するための準備をする。各不等式が表す図形(円と直線)の交点を求め、領域の境界を明確にする。 次に、与えられた曲線の式を平方完成し、どのような図形か(中心が直線上を動き、半径が一定の円)を把握する。この動く円が領域 $D$ と共有点をもつための条件を、図形的な接条件から考える。その際、求めた接点が領域 $D$ の境界の範囲内に実際に存在するかどうかを必ず確認する。
解法1
与えられた連立不等式を変形すると、以下のようになる。
$$\begin{aligned} (x-3)^2 + y^2 &\leqq 4 \\ y &\leqq -x+5 \end{aligned}$$
これは、中心が $(3,0)$、半径が $2$ の円の内部および周と、直線 $y = -x+5$ の左下側の部分の共通部分を表す。 境界となる円と直線の交点を求めるため、方程式を連立する。
$$\begin{aligned} (x-3)^2 + (-x+5)^2 &= 4 \\ x^2 - 6x + 9 + x^2 - 10x + 25 &= 4 \\ 2x^2 - 16x + 30 &= 0 \\ x^2 - 8x + 15 &= 0 \\ (x-3)(x-5) &= 0 \end{aligned}$$
これを解いて $x = 3, 5$ を得る。対応する $y$ の値はそれぞれ $y=2, 0$ となる。 したがって、交点は $(3,2)$ と $(5,0)$ である。 領域 $D$ は、これら2点を結ぶ線分を含む直線 $y = -x+5$ の左下側にあり、かつ円 $(x-3)^2 + y^2 \leqq 4$ の内部にある部分である(境界線をすべて含む)。図示すると、円の一部が直線によって切り取られた弓形のような形状から、残りの大きな部分をとった領域となる。
次に、曲線 $x^2+y^2-2ax-2y+a^2=0$ を平方完成する。
$$(x-a)^2 + (y-1)^2 = 1$$
これは、中心が $P(a, 1)$、半径が $1$ の円を表す。これを円 $C$ とする。 中心 $P(a, 1)$ は直線 $y=1$ 上を動く。 円 $C$ が領域 $D$ と共有点をもつような実数 $a$ の範囲を考える。
(i) $a$ が最大となる場合
$a$ の値が大きくなるほど、円 $C$ は右方向へ移動する。円 $C$ が領域 $D$ と共有点をもつ限界は、円 $C$ が領域 $D$ の右側の境界、すなわち直線 $x+y-5=0$ に接するときである。 円 $C$ と直線 $x+y-5=0$ が接する条件は、円の中心 $(a, 1)$ と直線の距離が半径 $1$ に等しいことである。
$$\frac{|a+1-5|}{\sqrt{1^2+1^2}} = 1$$
$$|a-4| = \sqrt{2}$$
これを解いて $a = 4 \pm \sqrt{2}$ を得る。右側で接するのは $a = 4+\sqrt{2}$ のときである。 このときの接点が領域 $D$ に含まれるか(境界である線分上にあるか)を確認する。 接点は、中心 $(4+\sqrt{2}, 1)$ を通り直線 $x+y-5=0$ に垂直な直線と、接線との交点である。 垂線の方程式は傾きが $1$ であるから、
$$y - 1 = 1 \cdot (x - (4+\sqrt{2}))$$
$$x - y = 3 + \sqrt{2}$$
これと $x+y=5$ を連立して解くと、接点の $x$ 座標は以下のようになる。
$$x = 4 + \frac{\sqrt{2}}{2}$$
領域 $D$ の右側境界となる線分の $x$ 座標の範囲は $3 \leqq x \leqq 5$ である。 $1 < \sqrt{2} < 2$ より $0.5 < \frac{\sqrt{2}}{2} < 1$ であるから、$4.5 < 4 + \frac{\sqrt{2}}{2} < 5$ となり、範囲を満たす。 したがって、接点は領域 $D$ の境界上に存在するため、$a$ の最大値は $4+\sqrt{2}$ である。
(ii) $a$ が最小となる場合
$a$ の値が小さくなるほど、円 $C$ は左方向へ移動する。円 $C$ が領域 $D$ と共有点をもつ限界は、円 $C$ が領域 $D$ の左側の境界、すなわち円 $(x-3)^2+y^2=4$ に外接するときである。 2つの円が外接する条件は、中心間の距離が半径の和 $2+1=3$ に等しいことである。
$$\sqrt{(a-3)^2 + (1-0)^2} = 3$$
両辺を2乗して整理する。
$$(a-3)^2 + 1 = 9$$
$$(a-3)^2 = 8$$
これを解いて $a = 3 \pm 2\sqrt{2}$ を得る。左側で外接するのは $a = 3-2\sqrt{2}$ のときである。 このときの接点が領域 $D$ に含まれるかを確認する。 接点は、中心 $(3-2\sqrt{2}, 1)$ と円 $(x-3)^2+y^2=4$ の中心 $(3,0)$ を結ぶ線分を $1:2$ に内分する点である。 接点の座標 $(X, Y)$ は以下のようになる。
$$\begin{aligned} X &= \frac{2(3-2\sqrt{2}) + 1 \cdot 3}{1+2} = 3 - \frac{4\sqrt{2}}{3} \\ Y &= \frac{2 \cdot 1 + 1 \cdot 0}{1+2} = \frac{2}{3} \end{aligned}$$
この点が領域 $D$ の条件 $x+y \leqq 5$ を満たすか調べる。
$$X + Y = 3 - \frac{4\sqrt{2}}{3} + \frac{2}{3} = \frac{11-4\sqrt{2}}{3}$$
ここで $4\sqrt{2} = \sqrt{32} > \sqrt{25} = 5$ であるから、
$$\frac{11-4\sqrt{2}}{3} < \frac{11-5}{3} = 2 < 5$$
したがって、$X+Y \leqq 5$ を満たすため、接点は領域 $D$ の境界上に存在する。 よって、$a$ の最小値は $3-2\sqrt{2}$ である。
解説
図形と方程式の分野における、領域と動く図形の共有点条件を問う標準的な問題である。 動く図形が円である場合、共有点をもつ限界は「境界と接するとき」または「境界の端点を通るとき」のいずれかになる。本問では、図形的に接する場合を考え、そのときの接点が実際に領域の境界の範囲内(線分や円弧の上)に存在するかどうかを検証する手順が重要である。接点が領域の条件を満たさずはみ出してしまう場合は、境界の端点を通るときが最大・最小の候補となるため、この確認を省略してはならない。
答え
最大値: $4+\sqrt{2}$
最小値: $3-2\sqrt{2}$
自分の記録
誤りを報告
問題文の写しミス、解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。





