数学2 領域 問題 38 解説

方針・初手
領域の通過範囲を求める問題である。直線 $x = k$ で切断して $y$ のとりうる範囲を調べる、「ファクシミリの原理(順像法)」を用いる。まず $x$ を固定し、$y$ を変数 $a$ の関数とみなして、与えられた $a$ の範囲における $y$ の最大値と最小値を求める。これにより各 $x$ に対する領域の上端と下端の曲線が求まるため、領域 $A$ の全体像を把握できる。
解法1
(1)
与えられた3次関数の式 $y = x^3 - 2ax + a^2$ に $x = \frac{1}{2}$ を代入する。
$$y = \left(\frac{1}{2}\right)^3 - 2a \cdot \frac{1}{2} + a^2$$
$$y = a^2 - a + \frac{1}{8}$$
これを $a$ の関数 $f(a)$ とおく。
$$f(a) = \left(a - \frac{1}{2}\right)^2 - \frac{1}{8}$$
$a$ は $0 \leqq a \leqq 1$ の範囲を動く。この区間において、$f(a)$ は $a = \frac{1}{2}$ のとき最小値 $-\frac{1}{8}$ をとり、$a = 0, 1$ のとき最大値 $\frac{1}{8}$ をとる。したがって、$y$ 座標のとりうる範囲は以下のようになる。
$$-\frac{1}{8} \leqq y \leqq \frac{1}{8}$$
(2)
$x$ を $0 \leqq x \leqq 1$ の実数として固定し、$y$ を $a$ の関数 $g(a)$ とみなす。
$$g(a) = a^2 - 2xa + x^3$$
$$g(a) = (a - x)^2 - x^2 + x^3$$
$g(a)$ は $a$ についての2次関数であり、下に凸の放物線で、軸は $a = x$ である。$0 \leqq x \leqq 1$ であるから、軸 $a = x$ は $a$ の定義域 $0 \leqq a \leqq 1$ の中に常にある。
したがって、$g(a)$ の最小値は頂点の $y$ 座標であり、以下のようになる。
$$g(x) = x^3 - x^2$$
これが各 $x$ における領域 $A$ の下端となる。領域 $A$ に属する点の $y$ 座標の最小値を求めるには、さらにこの下端の関数 $h(x) = x^3 - x^2$ の $0 \leqq x \leqq 1$ における最小値を求めればよい。
$$h'(x) = 3x^2 - 2x = x(3x - 2)$$
$0 \leqq x \leqq 1$ の範囲で $h'(x) = 0$ となるのは $x = 0, \frac{2}{3}$ のときである。増減表をかくと(ここでは省略するが)、$x = \frac{2}{3}$ で極小かつ最小となることがわかる。
$$h\left(\frac{2}{3}\right) = \left(\frac{2}{3}\right)^3 - \left(\frac{2}{3}\right)^2 = \frac{8}{27} - \frac{4}{9} = -\frac{4}{27}$$
よって、$y$ 座標の最小値は $-\frac{4}{27}$ である。
(3)
領域 $A$ の面積を求めるために、各 $x$ ($0 \leqq x \leqq 1$) における $g(a)$ の最大値を調べ、領域 $A$ の上端を決定する。
$g(a)$ の定義域の両端における値は以下の通りである。
$$g(0) = x^3$$
$$g(1) = 1 - 2x + x^3$$
この大小を比較するために差をとる。
$$g(1) - g(0) = 1 - 2x$$
したがって、$1 - 2x \geqq 0$ すなわち $0 \leqq x \leqq \frac{1}{2}$ のときは $g(1) \geqq g(0)$ となり、最大値は $x^3 - 2x + 1$ である。 一方、$1 - 2x < 0$ すなわち $\frac{1}{2} < x \leqq 1$ のときは $g(1) < g(0)$ となり、最大値は $x^3$ である。
以上より、領域 $A$ は次のように図示される(上端は $x = \frac{1}{2}$ で切り替わり、下端は $y = x^3 - x^2$)。領域 $A$ の面積を $S$ とすると、次のように積分で求められる。
$$S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} \left\{ (x^3 - 2x + 1) - (x^3 - x^2) \right\} dx + \int_{\frac{1}{2}}^{1} \left\{ x^3 - (x^3 - x^2) \right\} dx$$
$$S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} (x^2 - 2x + 1) dx + \int_{\frac{1}{2}}^{1} x^2 dx$$
$$S = \int_{0}^{\frac{1}{2}} (x - 1)^2 dx + \int_{\frac{1}{2}}^{1} x^2 dx$$
定積分を計算する。
$$S = \left[ \frac{(x - 1)^3}{3} \right]_{0}^{\frac{1}{2}} + \left[ \frac{x^3}{3} \right]_{\frac{1}{2}}^{1}$$
$$S = \frac{1}{3} \left\{ \left(-\frac{1}{2}\right)^3 - (-1)^3 \right\} + \frac{1}{3} \left( 1^3 - \left(\frac{1}{2}\right)^3 \right)$$
$$S = \frac{1}{3} \left( -\frac{1}{8} + 1 \right) + \frac{1}{3} \left( 1 - \frac{1}{8} \right)$$
$$S = \frac{1}{3} \cdot \frac{7}{8} + \frac{1}{3} \cdot \frac{7}{8} = \frac{7}{24} + \frac{7}{24} = \frac{7}{12}$$
解説
変数が動くことによってできる領域の通過範囲を求める問題である。本問のように $x, y, a$ の関係式が与えられ、$a$ の動く範囲が指定されている場合は、まず $x$ を固定して考える「順像法(ファクシミリの原理)」を用いるのが定石である。$a$ の2次方程式が指定された区間に解をもつ条件を考える「逆像法」でも解くことができるが、本問は $a$ についての関数とみたときに頂点の $x$ 座標(軸)が常に定義域内にあるため、順像法による最大・最小の計算が非常に平易である。(1) は $x$ を固定する考え方の誘導になっている。
答え
(1) $-\frac{1}{8} \leqq y \leqq \frac{1}{8}$
(2) $-\frac{4}{27}$
(3) $\frac{7}{12}$
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