数学2 領域 問題 39 解説

方針・初手
- (1)は、折り返した弧が属する円の中心と半径を特定する。元の円と折り返し後の円の方程式を引き算し、2円の交点を通る直線として弦PQの方程式を導出する。
- (2)は、(1)で求めた直線の方程式を $t$ の方程式とみなし、$t$ が $-1 \leqq t \leqq 1$ に実数解をもつための $(x, y)$ の条件を求める。その領域と半円の共通部分が、求める弦PQの通過領域となる。
解法1
(1)
元の半円の弧ABは、円 $x^2 + y^2 = 1$ の $y \geqq 0$ の部分である。 弦PQを折り目として折り返した弧は、元の円と同じ半径 $1$ をもつ円の一部となる。 この新しい円は、$x$ 軸に接点 $(t, 0)$ で接し、かつ上に凸な弧として折り返されているため、その中心は接点から $y$ 軸の正の方向に $1$ だけ進んだ点 $(t, 1)$ である。 よって、折り返した弧が属する円の方程式は
$$(x - t)^2 + (y - 1)^2 = 1$$
と表される。展開して整理すると、
$$x^2 + y^2 - 2tx - 2y + t^2 = 0 \quad \cdots \text{①}$$
となる。元の円の方程式は
$$x^2 + y^2 = 1 \quad \cdots \text{②}$$
であり、弦PQはこれら2円の共通弦であるから、直線PQの方程式は①と②から $x^2 + y^2$ を消去することで得られる。②を①に代入して、
$$1 - 2tx - 2y + t^2 = 0$$
$$2tx + 2y - t^2 - 1 = 0$$
ゆえに、求める直線PQの方程式は
$$y = -tx + \frac{t^2 + 1}{2}$$
である。
(2)
直線PQの方程式を $t$ について整理すると、
$$t^2 - 2xt + 1 - 2y = 0 \quad \cdots \text{③}$$
となる。弦PQが通過する領域は、半円 $x^2 + y^2 \leqq 1 \ (y \geqq 0)$ 内の点 $(x, y)$ のうち、方程式③を満たす実数 $t$ が $-1 \leqq t \leqq 1$ の範囲に少なくとも1つ存在するような点 $(x, y)$ の集合である。
$f(t) = t^2 - 2xt + 1 - 2y$ とおくと、
$$f(t) = (t - x)^2 - x^2 - 2y + 1$$
であり、$y = f(t)$ のグラフは軸が $t = x$ の下に凸な放物線である。 半円内の点 $(x, y)$ を考えるため、$x$ の範囲は $-1 \leqq x \leqq 1$ である。 このとき、軸 $t = x$ は区間 $-1 \leqq t \leqq 1$ の内部または境界にある。 方程式 $f(t) = 0$ が $-1 \leqq t \leqq 1$ に少なくとも1つの実数解をもつ条件は、
$$\begin{cases} f(x) \leqq 0 \\ \max \{f(-1), f(1)\} \geqq 0 \end{cases}$$
が成り立つことである。
それぞれ計算すると、$f(x) \leqq 0$ より
$$- x^2 - 2y + 1 \leqq 0$$
$$y \geqq \frac{1}{2}(1 - x^2) \quad \cdots \text{④}$$
となる。また、$f(-1) = 2 + 2x - 2y$、$f(1) = 2 - 2x - 2y$ であるから、
$$\max \{f(-1), f(1)\} = 2 + 2|x| - 2y \geqq 0$$
$$y \leqq |x| + 1 \quad \cdots \text{⑤}$$
となる。点 $(x, y)$ は半円 $x^2 + y^2 \leqq 1 \ (y \geqq 0)$ の内部または境界にあるため、$y \leqq 1$ を満たす。よって、不等式⑤の $y \leqq |x| + 1$ は常に成り立つ。
以上から、弦PQが通過する範囲は、連立不等式
$$\begin{cases} x^2 + y^2 \leqq 1 \\ y \geqq \frac{1}{2}(1 - x^2) \end{cases}$$
の表す領域となる。 この領域は、原点を中心とする半径 $1$ の上半円の内部および境界と、頂点が $(0, \frac{1}{2})$ で $x$ 軸との交点が $(\pm 1, 0)$ である上に凸な放物線 $y = \frac{1}{2}(1 - x^2)$ の上側との共通部分である。
次にこの領域の面積 $S$ を求める。 領域は半円 $x^2 + y^2 \leqq 1 \ (y \geqq 0)$ から、放物線 $y = \frac{1}{2}(1 - x^2)$ と $x$ 軸で囲まれた部分を除いたものである。 半円の面積は $\frac{\pi}{2}$ である。放物線と $x$ 軸で囲まれた部分の面積 $S_1$ は、
$$\begin{aligned} S_1 &= \int_{-1}^1 \frac{1}{2}(1 - x^2) dx \\ &= \frac{1}{2} \left[ x - \frac{x^3}{3} \right]_{-1}^1 \\ &= \frac{1}{2} \left( \frac{2}{3} - \left( -\frac{2}{3} \right) \right) = \frac{2}{3} \end{aligned}$$
となる。したがって、求める面積 $S$ は
$$S = \frac{\pi}{2} - \frac{2}{3}$$
である。
解説
- 折り返し図形の問題では、「折り返された弧は元の円と同じ半径をもつ円の一部である」という図形的な性質を利用するのが定石である。新しい円の中心座標を文字でおき、元の円との共通弦の方程式を求めることで、自然に直線の方程式を導出できる。
- (2)の通過領域は、「直線群の通過領域」と「半円」の共通部分としてとらえると見通しがよい。直線の方程式をパラメータ $t$ について整理し、指定された範囲に実数解をもつ条件として処理する「逆像法(実数解の存在条件への帰着)」の典型的な手法が有効である。
答え
(1) $y = -tx + \frac{t^2 + 1}{2}$
(2) 通過範囲は不等式 $x^2 + y^2 \leqq 1$ かつ $y \geqq \frac{1}{2}(1 - x^2)$ の表す領域(境界線を含む)。面積は $\frac{\pi}{2} - \frac{2}{3}$
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