数学3 無限級数 問題 29 解説

方針・初手
$f(x)$ が $0$ でない値をとる $x$ の範囲に注目する。$f(x) \neq 0$ となるのは、絶対値の中身が $1$ より小さいときである。各項について $0$ でない値をとる区間を求め、それらが互いに重ならないことを確認することが第一歩である。これにより、無限和 $g(x)$ は特定の $x$ に対して高々1つの項の計算に帰着する。
解法1
(1)
$f(x)$ が $0$ 以外の値をとる条件は $x < 1$ である。 $g(x)$ の一般項において、$f(3^n |2n+1-x|) \neq 0$ となる条件は、
$$3^n |2n+1-x| < 1$$
$$|x - (2n+1)| < \frac{1}{3^n}$$
$$2n+1 - \frac{1}{3^n} < x < 2n+1 + \frac{1}{3^n}$$
となる。この区間を $I_n$ とおく。 すべての $0$ 以上の整数 $n$ について、区間 $I_n$ が互いに交わらないことを確認する。 $n=0$ のとき、$I_0 = (0, 2)$ である。 $n \geqq 1$ のとき、$\frac{1}{3^n} \leqq \frac{1}{3} < 1$ であるから、
$$2n < 2n+1 - \frac{1}{3^n} < 2n+1 + \frac{1}{3^n} \leqq 2n+1 + \frac{1}{3} < 2n+2$$
が成り立つ。よって、すべての $n \geqq 0$ について、区間 $I_n$ は区間 $(2n, 2n+2)$ に含まれており、互いに素(共通部分を持たない)である。したがって、任意の $x$ に対し $f(3^n |2n+1-x|) \neq 0$ となる項は高々1つしか存在しない。
$2 \leqq x \leqq 4$ の範囲において $g(x) \neq 0$ となる可能性があるのは、区間 $I_n$ がこの範囲に含まれる場合である。 $n=0$ のとき、$I_0 = (0, 2)$ であり、$x=2$ のとき $f(3^0|1-2|) = 0$ となるため、区間 $[2, 4]$ とは被らない。 $n=1$ のとき、$I_1 = (3-\frac{1}{3}, 3+\frac{1}{3}) = (\frac{8}{3}, \frac{10}{3})$ であり、これは区間 $[2, 4]$ に完全に含まれる。 $n \geqq 2$ のとき、$I_n$ の下端は $2n+1-\frac{1}{3^n} \geqq 5-\frac{1}{9} > 4$ となり、区間 $[2, 4]$ には含まれない。
ゆえに、$2 \leqq x \leqq 4$ において、$g(x) = f(3|3-x|)$ となる。 $x \in (\frac{8}{3}, \frac{10}{3})$ のとき、
$$g(x) = 1 - 3|3-x| = \begin{cases} 3x - 8 & (\frac{8}{3} < x \leqq 3) \\ -3x + 10 & (3 < x < \frac{10}{3}) \end{cases}$$
これ以外の $2 \leqq x \leqq 4$ の範囲では $g(x) = 0$ である。 したがって、$y=g(x)$ のグラフは、点 $(\frac{8}{3}, 0)$、$(3, 1)$、$(\frac{10}{3}, 0)$ を結ぶ折れ線と、$x$ 軸上の線分($2 \leqq x \leqq \frac{8}{3}$ および $\frac{10}{3} \leqq x \leqq 4$)となる。
(2)
$\int_{2m}^{2m+2} g(x) dx$ を計算する。 (1) で確認した通り、区間 $I_m = (2m+1-\frac{1}{3^m}, 2m+1+\frac{1}{3^m})$ は区間 $[2m, 2m+2]$ に完全に含まれ、他の区間 $I_n (n \neq m)$ は区間 $[2m, 2m+2]$ と共通部分を持たない。 したがって、積分区間 $[2m, 2m+2]$ においては $g(x) = f(3^m |2m+1-x|)$ となる。
$$\int_{2m}^{2m+2} g(x) dx = \int_{2m+1-\frac{1}{3^m}}^{2m+1+\frac{1}{3^m}} (1 - 3^m |2m+1-x|) dx$$
この定積分は、関数 $y = 1 - 3^m |2m+1-x|$ のグラフが $x$ 軸と囲む三角形の面積に等しい。 この三角形の底辺の長さは $(2m+1+\frac{1}{3^m}) - (2m+1-\frac{1}{3^m}) = \frac{2}{3^m}$ であり、高さは $1$ である。 よって、三角形の面積を求めて、
$$\int_{2m}^{2m+2} g(x) dx = \frac{1}{2} \cdot \frac{2}{3^m} \cdot 1 = \frac{1}{3^m}$$
となる。ゆえに、求める無限級数 $S$ は、
$$S = \sum_{m=0}^{\infty} \frac{1}{3^m}$$
これは初項 $1$、公比 $\frac{1}{3}$ の無限等比級数である。公比の絶対値は $1$ より小さいため収束し、その和は、
$$S = \frac{1}{1 - \frac{1}{3}} = \frac{3}{2}$$
である。
解説
関数 $f(x)$ の定義に絶対値や無限和が含まれており一見複雑に見えるが、$g(x)$ の各項が $0$ 以外の値をとる区間を具体的に調べることで見通しが良くなる。各区間が互いに素であること(重ならないこと)を見抜くのがポイントである。(1)で具体的に $g(x)$ の正体をつかむことで、(2)の積分が単なる三角形の面積の計算に帰着することに気づける構成となっている。
答え
(1)
$$g(x) = \begin{cases} 0 & (2 \leqq x \leqq \frac{8}{3}) \\ 3x - 8 & (\frac{8}{3} < x \leqq 3) \\ -3x + 10 & (3 < x < \frac{10}{3}) \\ 0 & (\frac{10}{3} \leqq x \leqq 4) \end{cases}$$
のグラフ。(点 $(\frac{8}{3}, 0), (3, 1), (\frac{10}{3}, 0)$ を結ぶ折れ線と、$2 \leqq x \leqq \frac{8}{3}$ および $\frac{10}{3} \leqq x \leqq 4$ における $x$ 軸上の線分)
(2) $S = \frac{3}{2}$
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