数学3 無限級数 問題 31 解説

方針・初手
与えられた数列の漸化式は基本的な隣接2項間漸化式であるため、まずは特性方程式を利用して一般項 $a_n$ を求める。(2) では求めた一般項の式を利用して極限を計算する。このとき、公比が $-r$ であり、問題文の条件 $0 < r < 1$ から公比の絶対値が1より小さくなることを利用する。(3) では無限級数の収束・発散を判定する。(i) は、無限級数が収束するための必要条件である「一般項の極限が0になること」を満たしているか、(2) の結果を用いて確認する。(ii) は、与えられた数列の一般項を代入して複数の無限等比級数の和の形に分解し、それぞれの級数が収束することを確認した上で和を計算する。
解法1
(1)
与えられた漸化式を展開して整理すると、次のように表される。
$$a_{n+1} = -r a_n + r$$
特性方程式 $\alpha = -r \alpha + r$ を解くと、$(1+r)\alpha = r$ より $\alpha = \frac{r}{1+r}$ となる。これを用いて漸化式を変形すると、
$$a_{n+1} - \frac{r}{1+r} = -r \left( a_n - \frac{r}{1+r} \right)$$
となる。したがって、数列 $\left\{ a_n - \frac{r}{1+r} \right\}$ は、初項が
$$a_1 - \frac{r}{1+r} = \frac{1}{1+r} - \frac{r}{1+r} = \frac{1-r}{1+r}$$
であり、公比が $-r$ の等比数列である。よって、
$$a_n - \frac{r}{1+r} = \frac{1-r}{1+r} (-r)^{n-1}$$
ゆえに、数列 $\{a_n\}$ の一般項は、
$$a_n = \frac{r}{1+r} + \frac{1-r}{1+r} (-r)^{n-1}$$
である。
(2)
問題の条件 $0 < r < 1$ より $-1 < -r < 0$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} (-r)^{n-1} = 0$$
である。したがって、(1) の結果を用いると、
$$\lim_{n \to \infty} a_n = \lim_{n \to \infty} \left\{ \frac{r}{1+r} + \frac{1-r}{1+r} (-r)^{n-1} \right\} = \frac{r}{1+r}$$
となる。
(3)
(i)
無限級数 $\sum_{n=1}^\infty a_n$ が収束するためには、$\lim_{n \to \infty} a_n = 0$ であることが必要である。しかし、(2) の結果と条件 $0 < r < 1$ より、
$$\lim_{n \to \infty} a_n = \frac{r}{1+r} > 0$$
となり、$\lim_{n \to \infty} a_n \neq 0$ である。一般項が0に収束しないため、この無限級数は発散する。
(ii)
(1) の結果より、第 $n$ 項は次のように変形できる。
$$\frac{a_n}{2^n} = \frac{1}{2^n} \left\{ \frac{r}{1+r} + \frac{1-r}{1+r} (-r)^{n-1} \right\} = \frac{r}{1+r} \left( \frac{1}{2} \right)^n + \frac{1-r}{2(1+r)} \left( -\frac{r}{2} \right)^{n-1}$$
ここで、右辺に現れる2つの無限等比級数 $\sum_{n=1}^\infty \left( \frac{1}{2} \right)^n$ と $\sum_{n=1}^\infty \left( -\frac{r}{2} \right)^{n-1}$ の収束性を調べる。
前者の無限級数 $\sum_{n=1}^\infty \left( \frac{1}{2} \right)^n$ は公比 $\frac{1}{2}$ であり、$\left| \frac{1}{2} \right| < 1$ を満たすため収束し、その和は、
$$\frac{\frac{1}{2}}{1 - \frac{1}{2}} = 1$$
である。
後者の無限級数 $\sum_{n=1}^\infty \left( -\frac{r}{2} \right)^{n-1}$ は公比 $-\frac{r}{2}$ であり、$0 < r < 1$ より $\left| -\frac{r}{2} \right| < 1$ を満たすため収束し、その和は、
$$\frac{1}{1 - \left(-\frac{r}{2}\right)} = \frac{1}{1 + \frac{r}{2}} = \frac{2}{2+r}$$
である。
これら2つの無限等比級数がともに収束するため、無限級数 $\sum_{n=1}^\infty \frac{a_n}{2^n}$ も収束する。その和は、
$$\begin{aligned} \sum_{n=1}^\infty \frac{a_n}{2^n} &= \frac{r}{1+r} \cdot 1 + \frac{1-r}{2(1+r)} \cdot \frac{2}{2+r} \\ &= \frac{r}{1+r} + \frac{1-r}{(1+r)(2+r)} \\ &= \frac{r(2+r) + 1 - r}{(1+r)(2+r)} \\ &= \frac{r^2 + r + 1}{(1+r)(2+r)} \end{aligned}$$
となる。
解説
数列の極限と無限級数に関する標準的な問題である。
- (1) は $a_{n+1} = p a_n + q$ 型の漸化式であり、特性方程式 $\alpha = p \alpha + q$ を用いて等比数列に帰着させる定石の処理である。
- (3)(i) では「無限級数 $\sum a_n$ が収束するならば、$\lim_{n \to \infty} a_n = 0$ である」という定理の対偶である「$\lim_{n \to \infty} a_n \neq 0$ ならば、無限級数 $\sum a_n$ は発散する」を利用している。級数の収束を問われた際、まず一般項の極限を調べることは重要な視点である。
- (3)(ii) のように、一般項が定数倍された指数関数の和で表される場合、各項を分けてそれぞれの無限等比級数の収束性を調べることが基本方針となる。それぞれの公比の絶対値が1より小さいことを確認してから和の公式を適用する手順を省略しないようにしたい。
答え
(1)
$a_n = \frac{r}{1+r} + \frac{1-r}{1+r} (-r)^{n-1}$
(2)
$\frac{r}{1+r}$
(3)
(i) 発散する。
(ii) 収束し、その和は $\frac{r^2 + r + 1}{(1+r)(2+r)}$
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