数学3 極限 問題 2 解説

方針・初手
多項式の割り算の余りを求める基本方針に従い、割る式を $0$ とおいた方程式の解を恒等式に代入する。
割る式 $x^2 - x + \frac{n-1}{n^2}$ を $=0$ とした二次方程式が因数分解できることに気づくことが第一歩となる。求めた2つの解を恒等式に代入して連立方程式を作り、$a_n$、$b_n$ をそれぞれ $n$ で表してから極限をとる。
解法1
割る式を $=0$ とおいた二次方程式 $x^2 - x + \frac{n-1}{n^2} = 0$ を解く。 解の公式により、
$$x = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4 \cdot \frac{n-1}{n^2}}}{2} = \frac{1 \pm \sqrt{\frac{n^2 - 4n + 4}{n^2}}}{2} = \frac{1 \pm \frac{n-2}{n}}{2}$$
よって、この方程式の2つの解は $x = \frac{n-1}{n}, \frac{1}{n}$ である。
与えられた恒等式
$$x^{2n} = P_n(x)\left(x - \frac{n-1}{n}\right)\left(x - \frac{1}{n}\right) + a_n x + b_n$$
について、極限 $n \to \infty$ を考えるので $n \geqq 3$ としてよい。このとき $\frac{n-1}{n} \neq \frac{1}{n}$ であるから、これらは異なる2つの実数解となる。
上の恒等式に $x = \frac{n-1}{n}$ および $x = \frac{1}{n}$ をそれぞれ代入すると、
$$\left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{2n} = a_n \left( 1 - \frac{1}{n} \right) + b_n$$
$$\left( \frac{1}{n} \right)^{2n} = a_n \left( \frac{1}{n} \right) + b_n$$
の2式を得る。 辺々を引いて整理すると、
$$\left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{2n} - \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} = a_n \left( \frac{n-2}{n} \right)$$
$n \geqq 3$ のとき $\frac{n-2}{n} \neq 0$ であるから、両辺に $\frac{n}{n-2}$ を掛けて $a_n$ を求めることができる。
$$a_n = \frac{n}{n-2} \left\{ \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{2n} - \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} \right\}$$
また、$b_n$ については代入した2つ目の式から
$$b_n = \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} - \frac{1}{n} a_n$$
$$b_n = \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} - \frac{1}{n-2} \left\{ \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{2n} - \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} \right\}$$
となる。
ここで、$n \to \infty$ のときの各項の極限を計算する。 自然対数の底 $e$ の定義より $\lim_{n \to \infty} \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{-n} = e$ であるから、
$$\lim_{n \to \infty} \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{2n} = \lim_{n \to \infty} \left\{ \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^{-n} \right\}^{-2} = e^{-2}$$
となる。また、その他の極限は以下のようになる。
$$\lim_{n \to \infty} \left( \frac{1}{n} \right)^{2n} = 0$$
$$\lim_{n \to \infty} \frac{n}{n-2} = \lim_{n \to \infty} \frac{1}{1 - \frac{2}{n}} = 1$$
$$\lim_{n \to \infty} \frac{1}{n-2} = 0$$
これらを $a_n$、$b_n$ の式に適用すると、
$$\lim_{n \to \infty} a_n = 1 \cdot (e^{-2} - 0) = e^{-2}$$
$$\lim_{n \to \infty} b_n = 0 - 0 \cdot (e^{-2} - 0) = 0$$
となる。
解説
- 割る式 $x^2 - x + \frac{n-1}{n^2}$ を $=0$ とおいて解を求めるのが最大のポイントである。一見複雑に見えるが、判別式を計算すると二乗の形になるため、綺麗に解が求まるように作られている。
- 極限計算において、自然対数の底 $e$ の定義が登場する典型的なパターンである。$\lim_{n \to \infty} \left(1 - \frac{1}{n}\right)^n = e^{-1}$ は頻出の変形なので、確実に押さえておきたい。
- $n=2$ のときは $\frac{n-1}{n} = \frac{1}{n} = \frac{1}{2}$ となり重解を持つため、そのまま辺々を引いて割り算を行うと分母が $0$ になってしまう。求めるものは $n \to \infty$ の極限であるから、十分大きい $n$ を想定すればよく、$n \geqq 3$ として議論を進めるのが論理的に安全な記述である。
答え
$$\lim_{n \to \infty} a_n = e^{-2}, \quad \lim_{n \to \infty} b_n = 0$$
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