トップ 基礎問題 数学3 極限 確率・極限 問題 1

数学3 確率・極限 問題 1 解説

数学3 確率・極限 問題 1 解説

方針・初手

確率の漸化式を立てる典型的な問題です。$n$ 回サイコロを投げて出た目の和を 5 で割った余りが $i$ ($0 \leqq i \leqq 4$) である状態から、$n+1$ 回目にどの目が出れば余りが $k$ になるかを考えます。 「すべての確率の和が 1 になる」という性質($\sum_{i=0}^4 p_n(i) = 1$)を利用して、式を簡略化することがポイントです。(2) 以降は、(1) で得られた漸化式と、確率の和が 1 であることを活用して不等式を評価し、(3) の極限(はさみうちの原理)へとつなげます。

解法1

(1)

$n+1$ 回投げて出た目の和を 5 で割った余りが $k$ ($0 \leqq k \leqq 4$) となるのは、$n$ 回目までの和を 5 で割った余りを $i$、$n+1$ 回目に出た目を $X$ としたとき、$i + X$ を 5 で割った余りが $k$ になる場合である。 つまり、$i + X \equiv k \pmod 5$ が成り立つときである。 $X$ は $1$ から $6$ までの整数であり、それぞれ $1/6$ の確率で出る。 $X$ を 5 で割った余りごとに分類すると、以下のようになる。

これより、$p_{n+1}(k)$ は次のように表される。(添字は 5 で割った余りとして考える)

$$p_{n+1}(k) = \frac{1}{6} p_n(k) + \frac{2}{6} p_n(k-1) + \frac{1}{6} p_n(k-2) + \frac{1}{6} p_n(k-3) + \frac{1}{6} p_n(k-4)$$

この式を変形すると、次のようになる。

$$p_{n+1}(k) = \frac{1}{6} \{ p_n(k) + p_n(k-1) + p_n(k-2) + p_n(k-3) + p_n(k-4) \} + \frac{1}{6} p_n(k-1)$$

ここで、和を 5 で割った余りは $0, 1, 2, 3, 4$ のいずれかであるから、確率の総和について次が成り立つ。

$$p_n(0) + p_n(1) + p_n(2) + p_n(3) + p_n(4) = 1$$

したがって、中括弧の中身は 1 となるため、以下の漸化式が得られる。

$$p_{n+1}(k) = \frac{1}{6} \cdot 1 + \frac{1}{6} p_n(k-1) = \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(k-1) \}$$

$k = 0, 1, 2, 3, 4$ について具体的に書き下すと、負の添字は 5 を足して($\bmod 5$ で)考えることにより、次のようになる。

$$\begin{aligned} p_{n+1}(0) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(4) \} \\ p_{n+1}(1) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(0) \} \\ p_{n+1}(2) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(1) \} \\ p_{n+1}(3) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(2) \} \\ p_{n+1}(4) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(3) \} \end{aligned}$$

(2)

(イ)

$M_n$ は $p_n(0), \dots, p_n(4)$ の最大値、$m_n$ は最小値であるから、任意の $k$ ($0 \leqq k \leqq 4$) に対して次が成り立つ。

$$m_n \leqq p_n(k) \leqq M_n$$

$k = 0, 1, 2, 3, 4$ について辺々を加えると、次式を得る。

$$\sum_{k=0}^4 m_n \leqq \sum_{k=0}^4 p_n(k) \leqq \sum_{k=0}^4 M_n$$

$$5m_n \leqq 1 \leqq 5M_n$$

各辺を 5 で割ることで、示したい不等式が得られる。

$$m_n \leqq \frac{1}{5} \leqq M_n$$

(ロ)

(1) で求めた漸化式より、任意の $k, l$ について以下が成り立つ。(添字の $-1$ は $\bmod 5$ で解釈する)

$$p_{n+1}(k) = \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(k-1) \}$$

$$p_{n+1}(l) = \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(l-1) \}$$

辺々を引くと、次のようになる。

$$p_{n+1}(k) - p_{n+1}(l) = \frac{1}{6} \{ p_n(k-1) - p_n(l-1) \}$$

ここで、$M_n, m_n$ の定義より $p_n(k-1) \leqq M_n$、$p_n(l-1) \geqq m_n$ であるから、$p_n(k-1) - p_n(l-1) \leqq M_n - m_n$ が成り立つ。 したがって、次の不等式が成立する。

$$p_{n+1}(k) - p_{n+1}(l) \leqq \frac{1}{6} (M_n - m_n)$$

(3)

(2)(ロ) で示された不等式は、任意の $k, l$ ($0 \leqq k \leqq 4, 0 \leqq l \leqq 4$) に対して成り立つ。 したがって、特に $p_{n+1}(k)$ が最大値 $M_{n+1}$ となるような $k$、および $p_{n+1}(l)$ が最小値 $m_{n+1}$ となるような $l$ を選んだ場合でも成立する。

$$M_{n+1} - m_{n+1} \leqq \frac{1}{6} (M_n - m_n)$$

また、明らかに $M_n - m_n \geqq 0$ であるから、数列 $\{ M_n - m_n \}$ は次のように評価できる。

$$0 \leqq M_n - m_n \leqq \left( \frac{1}{6} \right)^{n-2} (M_2 - m_2)$$

$n \to \infty$ のとき、$\left( \frac{1}{6} \right)^{n-2} \to 0$ となるため、はさみうちの原理より次が成り立つ。

$$\lim_{n \to \infty} (M_n - m_n) = 0$$

次に、(2)(イ) より $m_n \leqq \frac{1}{5} \leqq M_n$ であるから、これを用いて $M_n$ および $m_n$ と $\frac{1}{5}$ との差を評価する。

$$M_n - \frac{1}{5} \leqq M_n - m_n$$

$$\frac{1}{5} - m_n \leqq M_n - m_n$$

それぞれ $M_n - \frac{1}{5} \geqq 0$、$\frac{1}{5} - m_n \geqq 0$ であるため、次のように挟み込むことができる。

$$0 \leqq M_n - \frac{1}{5} \leqq M_n - m_n$$

$$0 \leqq \frac{1}{5} - m_n \leqq M_n - m_n$$

$\lim_{n \to \infty} (M_n - m_n) = 0$ であるから、はさみうちの原理により次が得られる。

$$\lim_{n \to \infty} M_n = \frac{1}{5}, \quad \lim_{n \to \infty} m_n = \frac{1}{5}$$

$m_n \leqq p_n(k) \leqq M_n$ であるから、再度のはさみうちの原理により求める極限が得られる。

$$\lim_{n \to \infty} p_n(k) = \frac{1}{5}$$

解説

(1) の立式において、出た目 $1 \sim 6$ のうち、1 と 6 の余りがともに 1 となることに気づけるかが最初の関門です。ここで全ての確率の和が 1 になることを利用し、式を $p_n(k-1)$ だけで表すことで、見通しが格段に良くなります。 (2) は(1)で立てた連立漸化式を解かずに、最大値・最小値の幅($M_n - m_n$)に注目して評価する、マルコフ連鎖の定常分布の証明にも通じる手法です。 (3) は(2)で誘導された不等式を用いて、「幅が 0 に収束する」ことと「$\frac{1}{5}$ が常に幅の間に存在する」ことから極限を導出する、論理展開の美しさが際立つ問題です。

答え

(1)

$$\begin{aligned} p_{n+1}(0) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(4) \} \\ p_{n+1}(1) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(0) \} \\ p_{n+1}(2) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(1) \} \\ p_{n+1}(3) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(2) \} \\ p_{n+1}(4) &= \frac{1}{6} \{ 1 + p_n(3) \} \end{aligned}$$

(2)

(イ) および (ロ) については、解法1の通り証明された。

(3)

$$\lim_{n \to \infty} p_n(k) = \frac{1}{5}$$

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