数学3 確率・極限 問題 23 解説

方針・初手
(1) は復元抽出において、すべて異なる球を取り出す確率を求める基本的な問題である。順列と重複順列を用いて確率を立式する。 (2) は (1) で求めた確率の式を変形し、自然対数の底 $e$ の定義に関連する与えられた極限の公式に帰着させる。 (3) は (2) で求めた $Q(k)$ の対数をとり、無限級数の和を計算する。部分分数分解を利用して部分和を求め、その極限をとる。
解法1
(1)
$n$ 個の球が入った箱から、球を一つずつ取り出して元に戻す操作を $k$ 回繰り返すとき、球の取り出し方の総数は $n^k$ 通りである。 このうち、取り出した $k$ 個の球がすべて相異なる取り出し方の総数は、${}_n \mathrm{P}_k$ 通りである。 各回について、どの球が取り出されるかは同様に確からしいので、求める確率 $P(n, k)$ は
$$P(n, k) = \frac{{}_n \mathrm{P}_k}{n^k} = \frac{n(n-1)(n-2) \cdots (n-k+1)}{n^k}$$
これを階乗を用いて表すと
$$P(n, k) = \frac{n!}{n^k (n-k)!}$$
となる。
(2)
(1) で求めた $P(n, k)$ を次のように変形する。
$$\begin{aligned} P(n, k) &= \frac{n}{n} \cdot \frac{n-1}{n} \cdot \frac{n-2}{n} \cdots \frac{n-k+1}{n} \\ &= \left( 1 - \frac{0}{n} \right) \left( 1 - \frac{1}{n} \right) \left( 1 - \frac{2}{n} \right) \cdots \left( 1 - \frac{k-1}{n} \right) \end{aligned}$$
したがって、$(P(n, k))^n$ は次のように表される。
$$(P(n, k))^n = \left( 1 - \frac{0}{n} \right)^n \left( 1 - \frac{1}{n} \right)^n \left( 1 - \frac{2}{n} \right)^n \cdots \left( 1 - \frac{k-1}{n} \right)^n$$
ここで、$1 \leqq j \leqq k-1$ を満たす自然数 $j$ について、$\lim_{n \to \infty} \left( 1 - \frac{j}{n} \right)^n$ を考える。 $x = \frac{j}{n}$ とおくと、$n \to \infty$ のとき $x \to +0$ であるから、与えられた公式を用いると
$$\begin{aligned} \lim_{n \to \infty} \left( 1 - \frac{j}{n} \right)^n &= \lim_{x \to +0} (1 - x)^{\frac{j}{x}} \\ &= \lim_{x \to +0} \left\{ (1 - x)^{\frac{1}{x}} \right\}^j \\ &= (e^{-1})^j \\ &= e^{-j} \end{aligned}$$
となる。また、$j=0$ のときは常に $\left( 1 - \frac{0}{n} \right)^n = 1 = e^0$ であり、上式は $j=0$ のときも成り立つ。 $k$ は $n$ によらない定数であるから、有限個の積の極限は極限の積に等しい。よって
$$\begin{aligned} Q(k) &= \lim_{n \to \infty} (P(n, k))^n \\ &= e^0 \cdot e^{-1} \cdot e^{-2} \cdots e^{-(k-1)} \\ &= e^{-\{0 + 1 + 2 + \cdots + (k-1)\}} \\ &= e^{-\frac{1}{2}k(k-1)} \end{aligned}$$
(3)
(2) の結果より、
$$\log Q(k) = \log \left( e^{-\frac{1}{2}k(k-1)} \right) = -\frac{1}{2}k(k-1)$$
であるから、求める無限級数の一般項は
$$\frac{1}{\log Q(k)} = \frac{1}{-\frac{1}{2}k(k-1)} = -\frac{2}{k(k-1)} = -2 \left( \frac{1}{k-1} - \frac{1}{k} \right)$$
と部分分数分解できる。 ここで、第 $N$ 項までの部分和を $S_N$ とすると、$N \geqq 2$ のとき
$$\begin{aligned} S_N &= \sum_{k=2}^N \frac{1}{\log Q(k)} \\ &= -2 \sum_{k=2}^N \left( \frac{1}{k-1} - \frac{1}{k} \right) \\ &= -2 \left\{ \left( \frac{1}{1} - \frac{1}{2} \right) + \left( \frac{1}{2} - \frac{1}{3} \right) + \cdots + \left( \frac{1}{N-1} - \frac{1}{N} \right) \right\} \\ &= -2 \left( 1 - \frac{1}{N} \right) \end{aligned}$$
となる。したがって、求める無限級数の値は
$$\sum_{k=2}^{\infty} \frac{1}{\log Q(k)} = \lim_{N \to \infty} S_N = \lim_{N \to \infty} \left\{ -2 \left( 1 - \frac{1}{N} \right) \right\} = -2$$
解説
確率、極限、および無限級数の融合問題である。 (1) の確率は基本であるが、(2) へ繋ぐために全体を積の形に変形できるかがポイントとなる。 (2) において、与えられた極限の公式を適用する際には、$j=0$ の場合とそれ以外の場合とで変数の置き換えの妥当性が変わるため、厳密には言及しておくことが望ましい。 (3) は階差の形(部分分数分解)を作り出し、中間項が打ち消し合う「望遠鏡和」を利用する典型的な無限級数の計算である。無限級数の値は、必ず部分和 $S_N$ の極限 $\lim_{N \to \infty} S_N$ をとる手順を踏むこと。
答え
(1) $P(n, k) = \frac{n(n-1) \cdots (n-k+1)}{n^k}$
(2) $Q(k) = e^{-\frac{1}{2}k(k-1)}$
(3) $-2$
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