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数学B 数学的帰納法 問題 38 解説

数学B 数学的帰納法 問題 38 解説

方針・初手

(1) は両辺を移項して、整数と $\sqrt{2}$ の係数を分離する。$\sqrt{2}$ が無理数であることから、整数係数の形 $A+B\sqrt{2}=0$ は $A=B=0$ でなければならないことを使う。

(2) は $(3+2\sqrt{2})^n$ が $a_n+b_n\sqrt{2}$ の形で保たれることを、積を計算して数学的帰納法で示す。

(3) は (2) で得られる $a_n,b_n$ の漸化式を用い、$a_n^2-2b_n^2$ が $n$ によらず一定であることを数学的帰納法で示す。

解法1

まず (1) を示す。

$p+q\sqrt{2}=r+s\sqrt{2}$ とする。両辺を移項すると

$$ (p-r)+(q-s)\sqrt{2}=0 $$

である。

ここで、もし $q-s\neq 0$ ならば、

$$ \sqrt{2}=-\frac{p-r}{q-s} $$

となる。右辺は整数の比であるから有理数であり、これは $\sqrt{2}$ が無理数であることに反する。

したがって $q-s=0$、すなわち $q=s$ である。これを

$$ (p-r)+(q-s)\sqrt{2}=0 $$

に代入すると $p-r=0$ だから、$p=r$ である。

よって

$$ p=r,\qquad q=s $$

が成り立つ。

次に (2) を示す。

$n=1$ のとき、

$$ (3+2\sqrt{2})^1=3+2\sqrt{2} $$

であるから、$a_1=3,\ b_1=2$ とおけば、条件を満たす整数 $a_1,b_1$ が存在する。

ある自然数 $k$ に対して、

$$ (3+2\sqrt{2})^k=a_k+b_k\sqrt{2} $$

を満たす整数 $a_k,b_k$ が存在すると仮定する。このとき、

$$ \begin{aligned} (3+2\sqrt{2})^{k+1} &=(3+2\sqrt{2})^k(3+2\sqrt{2}) \\ &=(a_k+b_k\sqrt{2})(3+2\sqrt{2}) \\ &=3a_k+2a_k\sqrt{2}+3b_k\sqrt{2}+4b_k \\ &=(3a_k+4b_k)+(2a_k+3b_k)\sqrt{2} \end{aligned} $$

である。

ここで

$$ a_{k+1}=3a_k+4b_k,\qquad b_{k+1}=2a_k+3b_k $$

と定めると、$a_k,b_k$ は整数であるから $a_{k+1},b_{k+1}$ も整数である。

したがって、

$$ (3+2\sqrt{2})^{k+1}=a_{k+1}+b_{k+1}\sqrt{2} $$

を満たす整数 $a_{k+1},b_{k+1}$ が存在する。

以上より、数学的帰納法によって、すべての自然数 $n$ に対して

$$ (3+2\sqrt{2})^n=a_n+b_n\sqrt{2} $$

を満たす整数 $a_n,b_n$ が存在する。

最後に (3) を示す。

(2) の帰納法の中で得られた関係より、

$$ a_{n+1}=3a_n+4b_n,\qquad b_{n+1}=2a_n+3b_n $$

である。

$n=1$ のとき、$a_1=3,\ b_1=2$ であるから、

$$ a_1^2-2b_1^2=3^2-2\cdot 2^2=9-8=1 $$

となる。よって $n=1$ では成り立つ。

ある自然数 $k$ に対して、

$$ a_k^2-2b_k^2=1 $$

が成り立つと仮定する。このとき、

$$ \begin{aligned} a_{k+1}^2-2b_{k+1}^2 &=(3a_k+4b_k)^2-2(2a_k+3b_k)^2 \\ &=(9a_k^2+24a_kb_k+16b_k^2)-2(4a_k^2+12a_kb_k+9b_k^2) \\ &=9a_k^2+24a_kb_k+16b_k^2-8a_k^2-24a_kb_k-18b_k^2 \\ &=a_k^2-2b_k^2 \\ &=1 \end{aligned} $$

である。

したがって、$n=k$ で成り立つならば $n=k+1$ でも成り立つ。よって数学的帰納法により、すべての自然数 $n$ について

$$ a_n^2-2b_n^2=1 $$

である。

ゆえに、すべての自然数 $n$ について、$(x,y)=(a_n,b_n)$ は方程式

$$ x^2-2y^2=1 $$

の解である。

解説

(1) は、$\sqrt{2}$ を含む表示の一意性を示している。整数 $p,q,r,s$ について $p+q\sqrt{2}=r+s\sqrt{2}$ なら、整数部分と $\sqrt{2}$ の係数はそれぞれ等しくならなければならない。この事実が、(2) 以降で $a_n,b_n$ を扱う土台になる。

(2) は、$a_n,b_n$ の具体的な値を求めることよりも、整数として存在することを示す問題である。重要なのは、$a_k+b_k\sqrt{2}$ に $3+2\sqrt{2}$ を掛けても、再び「整数 $+$ 整数 $\times\sqrt{2}$」の形になる点である。

(3) は、得られた漸化式をそのまま使う。$a_{n+1}^2-2b_{n+1}^2$ を計算すると、交差項が打ち消し合って $a_n^2-2b_n^2$ に戻る。この不変量を見抜くことが中心である。

答え

(1)

$p+q\sqrt{2}=r+s\sqrt{2}$ ならば、$p=r$ かつ $q=s$ である。

(2)

すべての自然数 $n$ に対して、

$$ (3+2\sqrt{2})^n=a_n+b_n\sqrt{2} $$

を満たす整数 $a_n,b_n$ が存在する。

(3)

すべての自然数 $n$ に対して、

$$ a_n^2-2b_n^2=1 $$

である。したがって、$(x,y)=(a_n,b_n)$ は方程式

$$ x^2-2y^2=1 $$

の解である。

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