数学B 数学的帰納法 問題 39 解説

方針・初手
まず小さい $n$ で不等式 $2^n \geqq n^2+n$ の成否を調べ、成立し始める位置を推測する。
そのうえで、$n=5$ 以降について数学的帰納法を用いて証明する。$n=1$ は別に確認すればよい。
解法1
(1) まず $n=1,2,3,4,5$ について調べる。
$$ \begin{aligned} n=1&:\quad 2^1=2,\quad 1^2+1=2,\\ n=2&:\quad 2^2=4,\quad 2^2+2=6,\\ n=3&:\quad 2^3=8,\quad 3^2+3=12,\\ n=4&:\quad 2^4=16,\quad 4^2+4=20,\\ n=5&:\quad 2^5=32,\quad 5^2+5=30. \end{aligned} $$
したがって、$n=1$ では成立し、$n=2,3,4$ では成立せず、$n=5$ では成立する。
これより、不等式 $2^n \geqq n^2+n$ は
$$ n=1,\quad n\geqq 5 $$
のとき成立し、
$$ n=2,3,4 $$
のとき成立しないと推測される。
(2) この推測を証明する。
まず $n=1,2,3,4$ については、上の計算より
$$ n=1 $$
では成立し、
$$ n=2,3,4 $$
では成立しない。
あとは $n\geqq 5$ で常に成立することを数学的帰納法で示す。
$n=5$ のとき、
$$ 2^5=32,\qquad 5^2+5=30 $$
であるから、
$$ 2^5 \geqq 5^2+5 $$
が成り立つ。
次に、ある整数 $k\geqq 5$ について
$$ 2^k \geqq k^2+k $$
が成り立つと仮定する。
このとき、
$$ 2^{k+1}=2\cdot 2^k $$
であるから、帰納法の仮定より
$$ 2^{k+1}\geqq 2(k^2+k)=2k^2+2k $$
となる。
ここで、$k\geqq 5$ より
$$ \begin{aligned} 2k^2+2k-{(k+1)^2+(k+1)} &=2k^2+2k-(k^2+3k+2)\\ &=k^2-k-2\\ &=(k-2)(k+1)\geqq 0. \end{aligned} $$
したがって、
$$ 2k^2+2k\geqq (k+1)^2+(k+1) $$
である。
よって、
$$ 2^{k+1}\geqq (k+1)^2+(k+1) $$
が成り立つ。
以上より、数学的帰納法によって、すべての整数 $n\geqq 5$ に対して
$$ 2^n \geqq n^2+n $$
が成り立つ。
したがって、不等式は $n=1$ または $n\geqq 5$ のとき成立し、$n=2,3,4$ のとき成立しない。
解説
この問題では、不等式がすべての正の整数 $n$ で成り立つわけではないため、いきなり $n=1$ から数学的帰納法を使うことはできない。
実際、$n=1$ では成立するが、$n=2,3,4$ では成立しない。したがって、成立が続き始める $n=5$ を見つけて、そこから帰納法を始めるのが要点である。
帰納法のステップでは、仮定
$$ 2^k \geqq k^2+k $$
から
$$ 2^{k+1}\geqq 2k^2+2k $$
を得る。これが次に必要な
$$ (k+1)^2+(k+1) $$
以上であることを確認すればよい。
その差が
$$ (2k^2+2k)-{(k+1)^2+(k+1)}=(k-2)(k+1) $$
となり、$k\geqq 5$ で非負になるため、帰納法が成立する。
答え
(1)
$$ n=1,\quad n\geqq 5 $$
のとき成立し、
$$ n=2,3,4 $$
のとき成立しないと推測される。
(2)
数学的帰納法により、すべての整数 $n\geqq 5$ で $2^n\geqq n^2+n$ が成立する。また、直接計算により $n=1$ では成立し、$n=2,3,4$ では成立しない。
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