三角関数の公式・定理・考え方
数学2の三角関数で使う公式・定理・考え方を、大学入試数学で実際に使う場面に絞って整理します。三角関数は、公式を変形する計算問題だけでなく、図形、最大最小、方程式、微積分との融合で出題されます。角の範囲と周期を管理しながら、どの公式で形をそろえるかが重要です。
入試問題解析では、1961年度〜2025年度の数学2の三角関数825問を分類しています。関連して出やすい分類は、テーマ/最大・最小256問、テーマ/図形総合234問、数学2/図形と式150問、数学2/微分法146問、テーマ/面積・体積140問、数学1/図形計量133問です。
弧度法
数学2以降では、角を度数法だけでなく弧度法で扱います。
$$180^\circ=\pi$$
$$\theta^\circ=\frac{\pi\theta}{180}$$
弧度法で表した角は、単位円上の弧の長さと対応します。微積分と結びつく問題では、度数法のまま処理せず、必ずラジアンに直して考えます。
加法定理
三角関数の変形の中心になるのが加法定理です。
| 公式 | 使う場面 |
|---|---|
| $\sin(\alpha+\beta)=\sin\alpha\cos\beta+\cos\alpha\sin\beta$ | 角の和を分解します。 |
| $\cos(\alpha+\beta)=\cos\alpha\cos\beta-\sin\alpha\sin\beta$ | 角の和を分解します。符号に注意します。 |
| $\tan(\alpha+\beta)=\frac{\tan\alpha+\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta}$ | 傾きや角の関係を扱うときに使います。 |
差の公式は、$\beta$ を $-\beta$ に置き換えて得られます。符号を暗記だけに頼ると崩れやすいので、加法定理から戻せる状態にしておくと安全です。
2倍角・半角
2倍角の公式は、角をそろえるときに使います。
$$\sin 2x=2\sin x\cos x$$
$$\cos 2x=\cos^2 x-\sin^2 x=1-2\sin^2 x=2\cos^2 x-1$$
半角の形は、2乗を一次の三角関数へ直すときに使います。
$$\sin^2 x=\frac{1-\cos 2x}{2},\quad \cos^2 x=\frac{1+\cos 2x}{2}$$
最大最小や積分との融合では、$\sin^2 x$ や $\cos^2 x$ をそのまま見るより、半角公式で $\cos 2x$ にそろえる方が処理しやすいことがあります。
合成
$a\sin x+b\cos x$ の形は、次のように1つの三角関数へまとめます。
$$a\sin x+b\cos x=R\sin(x+\alpha)$$
ただし、$R=\sqrt{a^2+b^2}$、$\cos\alpha=\frac{a}{R}$、$\sin\alpha=\frac{b}{R}$ と取ります。
合成は、最大値・最小値を求めるときに強力です。$R\sin(x+\alpha)$ の値は $-R$ 以上 $R$ 以下なので、角の範囲に制限がなければ最大値は $R$、最小値は $-R$ です。角の範囲がある場合は、$x+\alpha$ の範囲を先に移してから判断します。
三角方程式
三角方程式では、次の順番で処理します。
- 角の範囲を確認する
- 1種類の三角関数にそろえる
- 単位円またはグラフで解を拾う
- 周期による解の重複や抜けを確認する
例えば $\sin x=c$ では、単位円上で $y=c$ となる点を見ます。$0\le x<2\pi$ のような範囲なら、その範囲内の解だけを列挙します。一般解を書く問題では、周期 $2\pi$ や $\pi$ を明示します。
最大値・最小値
三角関数の最大最小では、形を変えて値域を読むことが基本です。
- $a\sin x+b\cos x$ は合成する
- $\sin^2 x$ や $\cos^2 x$ は半角公式や置換で整理する
- $\sin x+\cos x$ と $\sin x\cos x$ が同時に出る場合は、$t=\sin x+\cos x$ と置けるかを見る
- 角の範囲が指定されている場合は、置換後の $t$ の範囲を確認する
三角関数の値域は、置換した文字の範囲を落とした瞬間に誤答になります。式変形だけでなく、範囲の移り方まで書くことが大切です。
図形・微積分との融合
図形問題では、角度条件や辺の長さを三角関数に翻訳します。正弦定理、余弦定理、内積、座標と組み合わせると、三角関数の最大最小へ落ちることがあります。
微積分との融合では、三角関数そのものを数学2の範囲で微分・積分するというより、三角関数で表された長さや面積を、二次関数や多項式の最大最小へ変換する問題が中心です。理系では数学3の微積分と合わせて、周期性や対称性を利用することもあります。
三角関数で失点しやすい点
- 度数法と弧度法を混同する
- 加法定理や2倍角公式の符号を誤る
- 合成後の角の範囲を確認しない
- 三角方程式で周期による解の抜けや重複が出る
- 置換した文字の値域を、$-1\le t\le1$ などと機械的に決めてしまう
- 図形問題で、角が三角形の内角なのか、直線のなす角なのかを確認しない
三角関数は、公式そのものよりも、角の範囲と周期を正しく管理できるかで差が出ます。
この公式集と一緒に見る問題
- 京都大学 2025年 理系 第5問: 数学C/式と曲線、数学2/図形と式、テーマ/軌跡・領域
- 九州大学 2025年 理系 第2問: 数学3/微分法、数学3/積分法、テーマ/定積分計算
- 大阪大学 2025年 理系 第1問: 数学C/平面ベクトル、数学2/図形と式、テーマ/図形総合
- 東京大学 2025年 理系 第3問: 数学2/図形と式
- 東北大学 2025年 理系 第6問: 数学A/図形の性質、数学1/図形計量、テーマ/図形総合
関連する分野・テーマ
三角関数の対策では、公式を単独で覚えるだけでなく、角をそろえる、値域を読む、周期で解を整理する、図形条件に戻す、という一連の判断を確認してください。
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