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東北大学 2025年 理系 第6問 解説

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東北大学 2025年 理系 第6問 解説

方針・初手

(1) は,正五角形の対角線の長さを $d$ とおいて関係式を作ればよい。

(2) は,共通部分 $Q_\theta=P\cap P_\theta$ の周を直接追うのではなく,$Q_\theta$ が同じ内接円をもつ接多角形になることに着目する。各辺の長さを,その内接円への接点までの長さで表せば $l_\theta$ を具体式にできる。その後,三角関数の式の最小値を調べる。

解法1

正五角形の頂点を順に $A,B,C,D,E$ とし,その対角線の長さを $d$ とする。

(1) 対角線の長さ

四点 $A,B,C,D$ は同一円周上にあるから,円に内接する四角形 $ABCD$ に対してプトレマイオスの定理を用いると,

$$ AC\cdot BD=AB\cdot CD+BC\cdot AD $$

である。

ここで

$$ AC=BD=AD=d,\qquad AB=BC=CD=1 $$

より,

$$ d^2=1+d $$

を得る。したがって,

$$ d^2-d-1=0 $$

であり,$d>0$ だから

$$ d=\frac{1+\sqrt5}{2} $$

である。


(2) $l_\theta$ の最小値

$O$ を正五角形 $K$ の外接円の中心とする。また,$Q_\theta=P\cap P_\theta$ とおく。

まず,正五角形 $K$ の各辺までの距離を $r$ とする。これは正五角形の内接円の半径である。

辺 $AB$ の中点を $M$ とすると,$\angle AOM=36^\circ$ であり,$AM=\dfrac12$ だから,直角三角形 $AOM$ より

$$ \tan36^\circ=\frac{AM}{OM}=\frac{1/2}{r} $$

すなわち

$$ r=\frac{1}{2\tan36^\circ} $$

である。

次に,$Q_\theta$ の形を考える。

$P$ の各辺も $P_\theta$ の各辺も,いずれも中心 $O$ をもつ同じ内接円に接している。したがって,$Q_\theta$ の各辺もその円に接する。

しかも,$0^\circ<\theta<72^\circ$ のとき,辺の外向き法線の向きは

$$ 0^\circ,\ \theta,\ 72^\circ,\ 72^\circ+\theta,\ 144^\circ,\ 144^\circ+\theta,\ 216^\circ,\ 216^\circ+\theta,\ 288^\circ,\ 288^\circ+\theta $$

の順に並ぶので,$Q_\theta$ はこの円に接する凸十角形になる。

そこで,$Q_\theta$ の任意の一辺を $XY$ とし,その辺と内接円との接点を $T$ とする。

この辺の両端 $X,Y$ は,隣り合う接線との交点である。法線方向の差は交互に $\theta$ と $72^\circ-\theta$ になるから,$X$ 側では接線のなす外角が $\theta$,$Y$ 側では接線のなす外角が $72^\circ-\theta$ である。

接線の交点から接点までの長さは,半径 $r$ を用いて

$$ XT=r\tan\frac{\theta}{2},\qquad TY=r\tan\frac{72^\circ-\theta}{2} $$

となる。よって

$$ XY=XT+TY =r\left(\tan\frac{\theta}{2}+\tan\frac{72^\circ-\theta}{2}\right) $$

である。

この形はどの辺でも同じなので,十角形 $Q_\theta$ の周の長さ $l_\theta$ は

$$ l_\theta =10r\left(\tan\frac{\theta}{2}+\tan\frac{72^\circ-\theta}{2}\right) $$

である。

ここで

$$ x=\frac{\theta}{2}\qquad \left(0^\circ<x<36^\circ\right) $$

とおくと,

$$ l_\theta =10r\bigl(\tan x+\tan(36^\circ-x)\bigr) $$

である。さらに $r=\dfrac{1}{2\tan36^\circ}$ を代入して

$$ l_\theta =\frac{5}{\tan36^\circ}\bigl(\tan x+\tan(36^\circ-x)\bigr) $$

を得る。

加法定理より

$$ \tan x+\tan(36^\circ-x) =\frac{\sin36^\circ}{\cos x\cos(36^\circ-x)} $$

だから,

$$ l_\theta =\frac{5}{\tan36^\circ}\cdot \frac{\sin36^\circ}{\cos x\cos(36^\circ-x)} =\frac{5\cos36^\circ}{\cos x\cos(36^\circ-x)} $$

となる。

ここで積和公式を用いると,

$$ \cos x\cos(36^\circ-x) =\frac{\cos36^\circ+\cos(2x-36^\circ)}{2} \le \frac{1+\cos36^\circ}{2} $$

である。したがって,

$$ l_\theta \ge \frac{5\cos36^\circ}{(1+\cos36^\circ)/2} =\frac{10\cos36^\circ}{1+\cos36^\circ} $$

を得る。

あとは $\cos36^\circ$ を求めればよい。

(1) で求めた対角線の長さを $d=\dfrac{1+\sqrt5}{2}$ とする。外接円半径を $R$ とすると,

$$ 1=2R\sin36^\circ,\qquad d=2R\sin72^\circ $$

より,

$$ d=\frac{\sin72^\circ}{\sin36^\circ}=2\cos36^\circ $$

である。よって

$$ \cos36^\circ=\frac{d}{2}=\frac{1+\sqrt5}{4} $$

となる。

これを代入すると,

$$ l_\theta \ge \frac{10\cdot\frac{1+\sqrt5}{4}}{1+\frac{1+\sqrt5}{4}} ====================================================== \frac{10(1+\sqrt5)}{5+\sqrt5} =2\sqrt5 $$

である。

また,等号成立は

$$ \cos(2x-36^\circ)=1 $$

すなわち

$$ x=18^\circ $$

のときである。これは

$$ \theta=36^\circ $$

に対応する。

したがって,

$$ 0^\circ<\theta<72^\circ $$

の範囲での $l_\theta$ の最小値は

$$ 2\sqrt5 $$

である。

解説

この問題の本質は,共通部分 $Q_\theta$ を「正五角形が少し回転したときにできる複雑な図形」と見ずに,「同じ円に接する接十角形」と見直すことである。

その見方をすると,各辺の長さは「接点までの長さの和」として

$$ r\tan\frac{\theta}{2}+r\tan\frac{72^\circ-\theta}{2} $$

と表せる。したがって,周の長さ全体も三角関数の一変数関数に落ちる。

また,最小値が $\theta=36^\circ$ で出るのは,$0^\circ$ と $72^\circ$ のちょうど中間で,法線の向きが等間隔になり,共通部分が最も均整の取れた形になるからである。

答え

$$ \text{(1)}\ \frac{1+\sqrt5}{2} $$

$$ \text{(2)}\ l_\theta \text{ の最小値は } 2\sqrt5 $$

であり,そのとき

$$ \theta=36^\circ $$

である。

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