大阪大学 2025年 理系 第1問 解説

方針・初手
点 $O$ を基準とした位置ベクトルを用いて、図形の条件を数式化する。$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$、$\overrightarrow{OB} = \vec{b}$ とおき、与えられた長さや角度、垂直条件をベクトルの内積に翻訳して処理していくことが基本的な方針である。
解法1
(1)
$\overrightarrow{OA} = \vec{a}$、$\overrightarrow{OB} = \vec{b}$ とおく。条件より $|\vec{a}| = 3$、$|\vec{b}| = t \ (t > 0)$ である。
$\angle AOB = \theta$ とおく。条件より $\theta$ は鋭角であるから、点 $A$ から直線 $OB$ に下ろした垂線の足 $C$ は半直線 $OB$ 上にある。直角三角形 $OAC$ において、$OA = 3$、$OC = 1$ であるから、
$$ \cos \theta = \frac{OC}{OA} = \frac{1}{3} $$
が成り立つ。したがって、内積の定義より、
$$ \overrightarrow{OA} \cdot \overrightarrow{OB} = |\overrightarrow{OA}||\overrightarrow{OB}|\cos \theta = 3 \cdot t \cdot \frac{1}{3} = t $$
となる。
(2)
点 $P$ は線分 $AB$ を $2:1$ に内分する点であるから、
$$ \overrightarrow{OP} = \frac{\overrightarrow{OA} + 2\overrightarrow{OB}}{2+1} = \frac{1}{3}\vec{a} + \frac{2}{3}\vec{b} $$
と表せる。
点 $R$ は直線 $OB$ 上にあるので、実数 $k$ を用いて $\overrightarrow{OR} = k\vec{b}$ とおける。直線 $AR$ と直線 $OP$ は垂直であるから、$\overrightarrow{AR} \cdot \overrightarrow{OP} = 0$ が成り立つ。
$\overrightarrow{AR} = \overrightarrow{OR} - \overrightarrow{OA} = k\vec{b} - \vec{a}$ であるから、
$$ (k\vec{b} - \vec{a}) \cdot \left( \frac{1}{3}\vec{a} + \frac{2}{3}\vec{b} \right) = 0 $$
両辺を $3$ 倍して展開すると、
$$ (k\vec{b} - \vec{a}) \cdot (\vec{a} + 2\vec{b}) = 0 $$
$$ k(\vec{b} \cdot \vec{a}) + 2k|\vec{b}|^2 - |\vec{a}|^2 - 2(\vec{a} \cdot \vec{b}) = 0 $$
$|\vec{a}|^2 = 9$、$|\vec{b}|^2 = t^2$、$\vec{a} \cdot \vec{b} = t$ を代入して整理すると、
$$ kt + 2kt^2 - 9 - 2t = 0 $$
$$ k(2t^2 + t) = 2t + 9 $$
$t > 0$ より $2t^2 + t > 0$ であるから、
$$ k = \frac{2t + 9}{2t^2 + t} $$
となる。$t > 0$ のとき $k > 0$ であるため、点 $R$ は半直線 $OB$ 上にあり、線分 $OR$ の長さは $|\overrightarrow{OR}|$ に等しい。したがって、
$$ OR = |\overrightarrow{OR}| = |k\vec{b}| = k|\vec{b}| = \frac{2t + 9}{2t^2 + t} \cdot t = \frac{2t + 9}{2t + 1} $$
となる。
(3)
点 $M$ は線分 $OB$ の中点であるから、$\overrightarrow{OM} = \frac{1}{2}\vec{b}$ である。
点 $R$ が線分 $MB$ 上(両端を含む)にあるための条件は、$\overrightarrow{OR} = k\vec{b}$ における係数 $k$ が
$$ \frac{1}{2} \le k \le 1 $$
を満たすことである。(2) で求めた $k$ の値を代入すると、
$$ \frac{1}{2} \le \frac{2t + 9}{2t^2 + t} \le 1 $$
$t > 0$ より $2t^2 + t > 0$ であるから、各辺に $2t^2 + t$ を掛けても不等号の向きは変わらず、
$$ \frac{1}{2}(2t^2 + t) \le 2t + 9 \le 2t^2 + t $$
となる。これは次の連立不等式と同値である。
$$ \begin{cases} t^2 + \frac{1}{2}t \le 2t + 9 & \dots \text{①} \\ 2t + 9 \le 2t^2 + t & \dots \text{②} \end{cases} $$
①の不等式を整理すると、
$$ 2t^2 - 3t - 18 \le 0 $$
$$ t = \frac{3 \pm \sqrt{9 + 144}}{4} = \frac{3 \pm 3\sqrt{17}}{4} $$
であるから、この不等式の解は
$$ \frac{3 - 3\sqrt{17}}{4} \le t \le \frac{3 + 3\sqrt{17}}{4} $$
$t > 0$ を考慮すると、
$$ 0 < t \le \frac{3 + 3\sqrt{17}}{4} \dots \text{③} $$
となる。
次に②の不等式を整理すると、
$$ 2t^2 - t - 9 \ge 0 $$
方程式 $2t^2 - t - 9 = 0$ の解は $t = \frac{1 \pm \sqrt{1 - 4 \cdot 2 \cdot (-9)}}{4} = \frac{1 \pm \sqrt{73}}{4}$ であるから、この不等式の解は
$$ t \le \frac{1 - \sqrt{73}}{4}, \quad \frac{1 + \sqrt{73}}{4} \le t $$
となる。$t > 0$ を考慮すると、
$$ t \ge \frac{1 + \sqrt{73}}{4} \dots \text{④} $$
となる。
③と④の共通範囲を求める。$\frac{1 + \sqrt{73}}{4} < \frac{3 + 3\sqrt{17}}{4}$ であるから、
$$ \frac{1 + \sqrt{73}}{4} \le t \le \frac{3 + 3\sqrt{17}}{4} $$
となる。
解説
平面図形の問題をベクトルを用いて機械的に処理する典型的な問題である。「直線の交点」「垂線を下ろす」といった幾何学的な条件を、「係数を文字でおいて実数倍で表す」「内積が $0$ になる」というベクトルの条件に素直に翻訳できるかがポイントとなる。
(3) において「線分 $MB$ 上にある」という条件を、位置ベクトルの係数 $k$ の範囲 $1/2 \le k \le 1$ に帰着させる発想は、ベクトルの扱いに慣れていれば自然に引き出せるはずである。最後に現れる2つの2次不等式は、どちらも解の公式で処理して共通範囲を丁寧に求めればよい。
答え
(1)
$t$
(2)
$\frac{2t + 9}{2t + 1}$
(3)
$\frac{1 + \sqrt{73}}{4} \le t \le \frac{3 + 3\sqrt{17}}{4}$
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