北海道大学 1967年 文系 第1問 解説

方針・初手
- (1) は $x$ をくくり出した後、残りの3次式を特定の文字(ここでは $a$)について整理するか、因数定理を用いて因数分解する。
- (2) は「$P$ が $Q$ の必要条件」という表現を「$Q \implies P$」と正しく言い換えることが第一歩である。命題の真偽を直接考えることもできるが、対偶を考えることで見通しよく解くことができる。
解法1
(1)
$f(x) = x^4 - 3x^3 + (a + 2)x^2 - 2ax$ とする。 すべての項に $x$ が含まれているため、まずは $x$ をくくり出す。
$$ f(x) = x \{ x^3 - 3x^2 + (a + 2)x - 2a \} $$
括弧内の式について、文字 $a$ について整理する。
$$ x^3 - 3x^2 + 2x + a(x - 2) $$
$$ = x(x^2 - 3x + 2) + a(x - 2) $$
$$ = x(x - 1)(x - 2) + a(x - 2) $$
$$ = (x - 2)(x^2 - x + a) $$
これを元の式に戻すと、求める因数分解の結果が得られる。
$$ f(x) = x(x - 2)(x^2 - x + a) $$
(2)
条件「$x(x - 2) > 0$ が $f(x) < 0$ の必要条件になる」とは、命題
$$ f(x) < 0 \implies x(x - 2) > 0 $$
が真であることと同値である。 この命題の対偶を考えると、
$$ x(x - 2) \leqq 0 \implies f(x) \geqq 0 $$
となり、これが真となるような $a$ の範囲を求めればよい。
仮定である $x(x - 2) \leqq 0$ を解くと、$0 \leqq x \leqq 2$ となる。 したがって、求める条件は「$0 \leqq x \leqq 2$ を満たすすべての実数 $x$ に対して $f(x) \geqq 0$ となること」である。
(1) の結果から $f(x) = x(x - 2)(x^2 - x + a)$ であるため、不等式は次のように書ける。
$$ x(x - 2)(x^2 - x + a) \geqq 0 $$
区間 $0 \leqq x \leqq 2$ において、$x = 0$ または $x = 2$ のときは左辺が $0$ となり不等式は常に成立する。 $0 < x < 2$ のときは $x(x - 2) < 0$ であるから、両辺を $x(x - 2)$ で割ることで不等号の向きが反転し、
$$ x^2 - x + a \leqq 0 $$
となる。これが $0 < x < 2$ を満たすすべての $x$ に対して成り立つ必要がある。
$g(x) = x^2 - x + a$ とおくと、放物線 $y = g(x)$ は下に凸である。 この放物線が $0 < x < 2$ の範囲で常に $y \leqq 0$ となるための条件は、区間の端点 $x=0$ と $x=2$ における $g(x)$ の値がともに $0$ 以下となることである。
すなわち、
$$ g(0) \leqq 0 \quad \text{かつ} \quad g(2) \leqq 0 $$
が成り立つことである。それぞれ計算すると、
$$ g(0) = a \leqq 0 $$
$$ g(2) = 2^2 - 2 + a = a + 2 \leqq 0 \implies a \leqq -2 $$
となる。 $a \leqq 0$ と $a \leqq -2$ を同時に満たす範囲は、
$$ a \leqq -2 $$
である。
解法2
(1)
$f(x) = x \{ x^3 - 3x^2 + (a + 2)x - 2a \}$ とする。 括弧内の3次式を $h(x) = x^3 - 3x^2 + (a + 2)x - 2a$ とおく。 $h(x)$ に $x = 2$ を代入すると、
$$ h(2) = 8 - 12 + 2(a + 2) - 2a = 0 $$
となるため、因数定理により $h(x)$ は $x - 2$ を因数にもつ。 $h(x)$ を $x - 2$ で割ると、商は $x^2 - x + a$ となる。 したがって、
$$ h(x) = (x - 2)(x^2 - x + a) $$
となり、因数分解の結果は
$$ f(x) = x(x - 2)(x^2 - x + a) $$
となる。
(2)
条件である命題「$f(x) < 0 \implies x(x - 2) > 0$」が真となるための $a$ の範囲を直接考える。
この命題が偽となる(反例が存在する)のは、仮定 $f(x) < 0$ を満たすが、結論 $x(x - 2) \leqq 0$ となってしまう実数 $x$ が存在するときである。 $x(x - 2) \leqq 0$ を解くと、$0 \leqq x \leqq 2$ である。 $x = 0$ または $x = 2$ のときは $f(x) = 0$ となるため、仮定 $f(x) < 0$ を満たさない。 したがって、反例となるのは $0 < x < 2$ かつ $f(x) < 0$ を満たす実数 $x$ が存在するときに限られる。
$0 < x < 2$ の範囲では $x(x - 2) < 0$ であるため、(1) より $f(x) < 0$ となる条件は
$$ x^2 - x + a > 0 $$
となることである。 ゆえに、反例が存在しない(元の命題が真である)ための条件は、$0 < x < 2$ を満たすすべての実数 $x$ に対して
$$ x^2 - x + a \leqq 0 $$
が成り立つことである。
$g(x) = x^2 - x + a$ とおくと、下に凸な放物線 $y = g(x)$ において、$0 < x < 2$ で常に $g(x) \leqq 0$ となる条件は、区間の両端における値が $0$ 以下となることである。
$$ g(0) \leqq 0 \quad \text{かつ} \quad g(2) \leqq 0 $$
これらを解くと、解法1と同様に $a \leqq 0$ かつ $a \leqq -2$ となり、共通範囲を求めて
$$ a \leqq -2 $$
となる。
解説
- (1) では、複数の文字が含まれる式を因数分解する際の基本である「最も次数の低い文字について整理する」という方針が有効である。本問では $x$ の3次式であるが、$a$ については1次式であるため、$a$ について整理すると容易に共通因数が見つかる。
- (2) の「$p$ が $q$ の必要条件になる」という表現は、論理記号で書けば「$q \implies p$」となる。この言い換えで間違えないことが何よりも重要である。
- 条件付きの不等式や命題の真偽を考える際、そのままでは考えにくい場合は「対偶」をとる、あるいは「反例が存在しない条件」を考えるのが定石である。本問ではこれにより、単なる2次関数の区間内での最大・最小の問題に帰着できる。
答え
(1)
$$ f(x) = x(x - 2)(x^2 - x + a) $$
(2)
$$ a \leqq -2 $$
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