北海道大学 1967年 文系 第2問 解説

方針・初手
与えられた関係式 $x - ay = 1$ を用いて1変数を消去するか、座標平面上の図形として意味づけをするか、2つのアプローチが有効である。代数的に処理する場合は $x = ay + 1$ として $x^2 + y^2$ に代入し、変数のとりうる値の範囲に注意しながら二次関数の最大・最小を調べる。図形的に処理する場合は、$x - ay = 1$ を直線の方程式とみなし、$x^2 + y^2$ を原点からの距離の2乗と捉えて視覚的に考える。
解法1
$x - ay = 1$ より、 $$ x = ay + 1 $$ である。条件 $x \geqq 0$ と $y \geqq 0$ より、 $$ ay + 1 \geqq 0 \quad \text{かつ} \quad y \geqq 0 $$ を満たす必要がある。
(1) $a > 0$ のとき
$y \geqq 0$ ならば $ay \geqq 0$ であり、$ay + 1 \geqq 1 > 0$ は常に成り立つ。 したがって、$y$ のとりうる値の範囲は $y \geqq 0$ となる。 求める値を $K$ とすると、 $$ K = x^2 + y^2 = (ay + 1)^2 + y^2 = (a^2 + 1)y^2 + 2ay + 1 $$ これを $y$ について平方完成すると、 $$ K = (a^2 + 1) \left( y + \frac{a}{a^2 + 1} \right)^2 + 1 - \frac{a^2}{a^2 + 1} = (a^2 + 1) \left( y + \frac{a}{a^2 + 1} \right)^2 + \frac{1}{a^2 + 1} $$ $a > 0$ であるから、この二次関数の軸 $y = -\frac{a}{a^2 + 1}$ は負である。 $y \geqq 0$ の範囲において、関数 $K$ は単調に増加する。 したがって、$K$ は $y = 0$ のとき最小となる。 このとき $x = a \cdot 0 + 1 = 1$ であり、条件 $x \geqq 0$ を満たす。 よって、求める最小値は $1$ である。
(2) $x^2 + y^2$ に最大値が存在するための $a$ の条件を調べる。
$x^2 + y^2$ を $y$ で表した $K = (a^2 + 1)y^2 + 2ay + 1$ は下に凸の放物線を表すため、$y$ のとりうる値の範囲に上限がなければ(変域が閉区間でなければ)最大値は存在しない。
(i) $a \geqq 0$ のとき
$y$ のとりうる値の範囲は $y \geqq 0$ であり、上限を持たないため、$K$ はいくらでも大きくなり最大値をもたない。
(ii) $a < 0$ のとき
$ay + 1 \geqq 0$ より $y \leqq -\frac{1}{a}$ である。$y \geqq 0$ とあわせて、 $$ 0 \leqq y \leqq -\frac{1}{a} $$ となる。$y$ の変域が有界な閉区間となるため、最大値が存在する。 下に凸の二次関数 $K$ は、閉区間の両端点 $y = 0$ または $y = -\frac{1}{a}$ の少なくとも一方で最大値をとる。 $y = 0$ のとき、$x = 1$ であり、$K = 1^2 + 0^2 = 1$ となる。 $y = -\frac{1}{a}$ のとき、$x = 0$ であり、$K = 0^2 + \left( -\frac{1}{a} \right)^2 = \frac{1}{a^2}$ となる。 最大値はこれらのうち小さくない方である。条件より最大値が $4$ であり、$1 < 4$ であることから、$\frac{1}{a^2}$ が $4$ に等しくなければならない。 よって、 $$ \frac{1}{a^2} = 4 $$ $$ a^2 = \frac{1}{4} $$ $a < 0$ であるから、 $$ a = -\frac{1}{2} $$ となる。
解法2
$xy$ 平面上の点 $P(x, y)$ と原点 $O(0, 0)$ について、$x^2 + y^2 = OP^2$ である。 条件より、点 $P(x, y)$ は直線 $L : x - ay = 1$ 上のうち、第1象限およびその境界($x \geqq 0, y \geqq 0$)にある部分を動く。 直線 $L$ は定点 $(1, 0)$ を必ず通る。
(1) $a > 0$ のとき
直線 $L$ の方程式は $y = \frac{1}{a}x - \frac{1}{a}$ と変形できる。傾き $\frac{1}{a}$ は正であり、$y$ 切片 $-\frac{1}{a}$ は負である。 したがって、$x \geqq 0, y \geqq 0$ を満たす直線 $L$ 上の部分は、点 $(1, 0)$ を端点とし、右上へ限りなく伸びる半直線である。 原点 $O$ から直線 $L$ に下ろした垂線の足は第4象限にあるため、第1象限の半直線上では、端点 $(1, 0)$ にあるとき原点 $O$ との距離が最小となる。 よって、$OP^2$ の最小値は $1^2 + 0^2 = 1$ である。
(2) $x^2 + y^2$ に最大値が存在するための $a$ の条件を調べる。
$OP^2$ が最大値をもつためには、点 $P$ の動く範囲が有限の線分でなければならない。
(i) $a > 0$ のとき
(1)で見たように、点 $P$ の動く範囲は半直線となるため最大値を持たない。
(ii) $a = 0$ のとき
直線 $L$ は $x = 1$ となる。$y \geqq 0$ の範囲では上方に限りなく伸びるため、最大値を持たない。
(iii) $a < 0$ のとき
直線 $L$ は $x$ 軸と $A(1, 0)$ で、$y$ 軸と $B\left(0, -\frac{1}{a}\right)$ で交わる。$a < 0$ より $-\frac{1}{a} > 0$ であるため、点 $B$ は $y$ 軸の正の部分にある。 したがって、点 $P$ は2点 $A, B$ を結ぶ線分上を動く。 この線分上の点で原点 $O$ との距離が最大になるのは、端点 $A$ または $B$ のいずれかである。 $OA^2 = 1$、$OB^2 = \frac{1}{a^2}$ であり、最大値はこれらの中の小さくない方である。 最大値が $4$ となるため、$1 < 4$ より $OB^2$ が最大値 $4$ をとらなければならない。 $$ \frac{1}{a^2} = 4 $$ $$ a^2 = \frac{1}{4} $$ $a < 0$ より、 $$ a = -\frac{1}{2} $$ となる。
解説
条件式を用いて1変数を消去し、変数のとりうる値の範囲に注意しながら二次関数の最大・最小問題に帰着させる(解法1)か、$x^2 + y^2$ を原点からの距離の平方と捉え、直線上の動点の距離の最大・最小を図形的に処理する(解法2)かのいずれかを選ぶ典型問題である。 (2)において、下に凸の二次関数の最大値、あるいは線分上の点の原点からの距離の最大値は、ともに「端点」でとるという事実が本質である。
答え
(1) $1$
(2) $a = -\frac{1}{2}$
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