北海道大学 1969年 文系 第1問 解説

方針・初手
- (1)は「2次方程式」という条件から2次の係数が0でないことに注意し、解と係数の関係を用いて立式する。
- (2)は解と係数の関係から和と積を $k$ で表し、三角関数の相互関係 $\sin^2\theta + \cos^2\theta = 1$ を利用して $k$ の方程式を導く。実数解の存在条件(判別式など)にも言及する。
- (3)は求めるものが「実根 $x$ のとりうる値の範囲」であるから、与えられた等式を $k$ についての方程式とみなし、$k$ が $-1 < k < 1$ の範囲に存在するような $x$ の条件を求める(逆像法)。
解法1
(1)
方程式(イ)は「2次方程式」と与えられているため、$x^2$ の係数は $0$ ではない。 すなわち、$3(k+1) \neq 0$ より $k \neq -1$ である。
方程式(イ)の2つの根を $\alpha, \beta$ とすると、解と係数の関係より、2根の積は
$$\alpha\beta = \frac{k+a}{3(k+1)}$$
これが $k$ (ただし $k \neq -1$)の値にかかわらず一定の値 $C$ をとるとすると、
$$\frac{k+a}{3(k+1)} = C$$
$$k + a = 3C(k+1)$$
$$(1-3C)k + a - 3C = 0$$
これが $k \neq -1$ なる任意の $k$ に対して成り立つので、$k$ についての恒等式となる。 よって、
$$1-3C = 0 \quad \text{かつ} \quad a-3C = 0$$
これを解いて、$C = \frac{1}{3}, \ a = 1$ を得る。 逆に $a=1$ のとき、2根の積は $\frac{k+1}{3(k+1)} = \frac{1}{3}$ となり、たしかに $k$ によらず一定となる。 したがって、求める値は $a = 1$ である。
(2)
$a=1$ のとき、方程式(イ)は
$$3(k+1)x^2 - 3(k+3)x + k + 1 = 0$$
となる。 2根が $\sin\theta, \cos\theta$ であるから、解と係数の関係より
$$\sin\theta + \cos\theta = \frac{3(k+3)}{3(k+1)} = \frac{k+3}{k+1}$$
$$\sin\theta \cos\theta = \frac{k+1}{3(k+1)} = \frac{1}{3}$$
三角関数の相互関係 $(\sin\theta + \cos\theta)^2 = 1 + 2\sin\theta\cos\theta$ に代入して、
$$\left( \frac{k+3}{k+1} \right)^2 = 1 + 2 \cdot \frac{1}{3} = \frac{5}{3}$$
$$\frac{k^2+6k+9}{k^2+2k+1} = \frac{5}{3}$$
$$3(k^2 + 6k + 9) = 5(k^2 + 2k + 1)$$
$$3k^2 + 18k + 27 = 5k^2 + 10k + 5$$
$$2k^2 - 8k - 22 = 0$$
$$k^2 - 4k - 11 = 0$$
これを解くと、$k = 2 \pm \sqrt{15}$ となる。これらは $k \neq -1$ を満たす。
また、このとき2根 $\sin\theta, \cos\theta$ は、2次方程式 $t^2 - \frac{k+3}{k+1}t + \frac{1}{3} = 0$ の解である。 この方程式の判別式 $D$ は、
$$D = \left( \frac{k+3}{k+1} \right)^2 - 4 \cdot \frac{1}{3} = \frac{5}{3} - \frac{4}{3} = \frac{1}{3} > 0$$
となり、相異なる2つの実数解を持つ。 実数解を $\alpha, \beta$ とすると、$\alpha^2 + \beta^2 = (\alpha+\beta)^2 - 2\alpha\beta = \frac{5}{3} - \frac{2}{3} = 1$ であるから、$\alpha^2 \leqq 1$ かつ $\beta^2 \leqq 1$、すなわち $-1 \leqq \alpha \leqq 1$ かつ $-1 \leqq \beta \leqq 1$ を満たす。 したがって、$\sin\theta = \alpha, \cos\theta = \beta$ を満たす実数 $\theta$ が存在する。 以上より、求める $k$ の値は $k = 2 \pm \sqrt{15}$ である。
(3)
(イ)が(1)の条件を満たすとき、$a=1$ であるから、方程式は
$$3(k+1)x^2 - 3(k+3)x + k + 1 = 0$$
となる。 これを満たす実根 $x$ について考え、方程式を $k$ について整理すると、
$$3kx^2 + 3x^2 - 3kx - 9x + k + 1 = 0$$
$$(3x^2 - 3x + 1)k + 3x^2 - 9x + 1 = 0$$
ここで、$x$ は実数であり、$3x^2 - 3x + 1 = 3\left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + \frac{1}{4} > 0$ であるから、$3x^2 - 3x + 1 \neq 0$ となる。 したがって、
$$k = -\frac{3x^2 - 9x + 1}{3x^2 - 3x + 1}$$
条件より $-1 < k < 1$ であるから、
$$-1 < -\frac{3x^2 - 9x + 1}{3x^2 - 3x + 1} < 1$$
$3x^2 - 3x + 1 > 0$ であるから、各辺に $3x^2 - 3x + 1$ を掛けても不等号の向きは変わらない。
$$-(3x^2 - 3x + 1) < -(3x^2 - 9x + 1) < 3x^2 - 3x + 1$$
左側の不等式 $-(3x^2 - 3x + 1) < -(3x^2 - 9x + 1)$ を解く。
$$3x^2 - 3x + 1 > 3x^2 - 9x + 1$$
$$6x > 0$$
$$x > 0 \quad \cdots \text{①}$$
右側の不等式 $-(3x^2 - 9x + 1) < 3x^2 - 3x + 1$ を解く。
$$-3x^2 + 9x - 1 < 3x^2 - 3x + 1$$
$$6x^2 - 12x + 2 > 0$$
$$3x^2 - 6x + 1 > 0$$
$3x^2 - 6x + 1 = 0$ の解は $x = \frac{3 \pm \sqrt{9 - 3}}{3} = \frac{3 \pm \sqrt{6}}{3}$ であるから、不等式の解は
$$x < \frac{3 - \sqrt{6}}{3}, \quad x > \frac{3 + \sqrt{6}}{3} \quad \cdots \text{②}$$
①かつ②の範囲を求める。 $2 < \sqrt{6} < 3$ より、$0 < 3 - \sqrt{6} < 1$ であるから、$\frac{3 - \sqrt{6}}{3} > 0$ である。 よって、共通範囲は
$$0 < x < \frac{3 - \sqrt{6}}{3}, \quad x > \frac{3 + \sqrt{6}}{3}$$
解説
- (1)では、問題文の「2次方程式」という記述から、2次の係数が0でない($k \neq -1$)という条件を見落とさないように注意する。
- (2)では、求めた $k$ の値に対して、実際に $-1 \leqq \sin\theta \leqq 1, -1 \leqq \cos\theta \leqq 1$ となる $\theta$ が存在すること(実数解の存在範囲)を厳密には確認する必要がある。ただ、解の和と積から導かれる実数解条件と円 $x^2+y^2=1$ の関係により、判別式が正であれば自動的に条件は満たされる。
- (3)では、実根 $x$ のとりうる値の範囲を求めるために、与式を $k$ の方程式とみなし、「条件を満たす $k$ が存在するような $x$ の条件」を考える「逆像法」を用いると、計算の見通しが非常に良くなる。
答え
(1) $a = 1$
(2) $k = 2 \pm \sqrt{15}$
(3) $0 < x < \frac{3 - \sqrt{6}}{3}, \quad x > \frac{3 + \sqrt{6}}{3}$
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