北海道大学 1969年 文系 第2問 解説

方針・初手
- (1) は、極座標で与えられた点と始線とのなす角の条件を、一旦直交座標系に変換して処理する。直交座標で直線の方程式を求めた後、それを再び極座標の方程式に直すという手順をとる。
- (2) は、集合 $A$ に含まれる3次不等式を因数分解して解き、数直線上に図示する。その後、$A \cup B$ と $A \cap B$ の条件から集合 $B$ が表す閉区間を論理的に特定し、係数 $a, b$ を逆算する。
解法1
(1)
極座標で表された点 $A\left(2a, \frac{5}{12}\pi\right)$ の直交座標を $(x_A, y_A)$ とすると、
$$ x_A = 2a \cos\left(\frac{5}{12}\pi\right), \quad y_A = 2a \sin\left(\frac{5}{12}\pi\right) $$
である。加法定理を用いて $\cos\left(\frac{5}{12}\pi\right)$ と $\sin\left(\frac{5}{12}\pi\right)$ の値を求める。
$$ \cos\left(\frac{5}{12}\pi\right) = \cos\left(\frac{\pi}{4} + \frac{\pi}{6}\right) = \cos\frac{\pi}{4}\cos\frac{\pi}{6} - \sin\frac{\pi}{4}\sin\frac{\pi}{6} = \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} - \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{1}{2} = \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} $$
$$ \sin\left(\frac{5}{12}\pi\right) = \sin\left(\frac{\pi}{4} + \frac{\pi}{6}\right) = \sin\frac{\pi}{4}\cos\frac{\pi}{6} + \cos\frac{\pi}{4}\sin\frac{\pi}{6} = \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} + \frac{\sqrt{2}}{2} \cdot \frac{1}{2} = \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} $$
したがって、点 $A$ の直交座標は以下のようになる。
$$ x_A = 2a \cdot \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{4} = \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{2}a $$
$$ y_A = 2a \cdot \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{4} = \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{2}a $$
求める直線は、始線 $OX$ (直交座標における $x$ 軸の正の部分)と $\frac{3}{4}\pi$ の角をなすので、直交座標平面における直線の傾きは $\tan\left(\frac{3}{4}\pi\right) = -1$ である。 よって、直交座標における直線の方程式は、
$$ y - y_A = -1 \cdot (x - x_A) $$
$$ x + y = x_A + y_A $$
と表される。ここで、$x_A + y_A$ を計算する。
$$ x_A + y_A = \frac{\sqrt{6}-\sqrt{2}}{2}a + \frac{\sqrt{6}+\sqrt{2}}{2}a = \sqrt{6}a $$
ゆえに、直線の方程式は
$$ x + y = \sqrt{6}a $$
である。これを極座標の方程式に変換するため、$x = r\cos\theta$、$y = r\sin\theta$ を代入する。
$$ r\cos\theta + r\sin\theta = \sqrt{6}a $$
$$ r(\cos\theta + \sin\theta) = \sqrt{6}a $$
左辺を三角関数の合成を用いて変形する。
$$ \sqrt{2} r \left( \cos\theta \frac{1}{\sqrt{2}} + \sin\theta \frac{1}{\sqrt{2}} \right) = \sqrt{6}a $$
$$ \sqrt{2} r \left( \cos\theta \cos\frac{\pi}{4} + \sin\theta \sin\frac{\pi}{4} \right) = \sqrt{6}a $$
$$ r \cos\left(\theta - \frac{\pi}{4}\right) = \sqrt{3}a $$
(2)
集合 $A$ の条件となる3次不等式を解く。
$$ 2x^3 + 5x^2 + x - 2 > 0 $$
左辺を $P(x)$ とおくと、$P(-1) = -2 + 5 - 1 - 2 = 0$ となるため、因数定理より $P(x)$ は $x+1$ を因数にもつ。
$$ 2x^3 + 5x^2 + x - 2 = (x + 1)(2x^2 + 3x - 2) = (x + 1)(x + 2)(2x - 1) $$
よって、不等式は
$$ (x + 2)(x + 1)(2x - 1) > 0 $$
となる。これを解くと、
$$ -2 < x < -1, \quad x > \frac{1}{2} $$
となる。すなわち、集合 $A$ は区間 $(-2, -1)$ と $(1/2, \infty)$ の和集合である。
次に、集合 $B$ について考える。 $B = \{x \mid x^2 + ax + b \leqq 0\}$ は下に凸の2次関数の負の部分を表す。解が存在しない場合は空集合となり $A \cup B = A$ となるが、これは条件 $A \cup B = \{x \mid x > -2\}$ に反する。したがって、実数 $\alpha, \beta$ を用いて $B = \{x \mid \alpha \leqq x \leqq \beta\}$ とおける。
与えられた条件は以下の2つである。
(i) $A \cup B = \{x \mid x > -2\}$ (ii) $A \cap B = \left\{x \mid \frac{1}{2} < x \leqq 3\right\}$
条件 (ii) より、$A$ は区間 $(1/2, \infty)$ を含み、これと $B = [\alpha, \beta]$ との共通部分が $(1/2, 3]$ であることから、$\beta = 3$ でなければならない。
条件 (i) より、$A \cup B = (-2, -1) \cup [\alpha, 3] \cup (1/2, \infty)$ となる。 これが $\{x \mid x > -2\}$ に一致するためには、区間 $[\alpha, 3]$ が $A$ にない「隙間」である $[-1, 1/2]$ を完全に覆い、かつ左側に伸びすぎて $-2$ 以下を含んではならない。したがって、$-2 \leqq \alpha \leqq -1$ が必要である。
再び条件 (ii) について考える。もし $\alpha < -1$ であると、$B$ は $A$ の一部である区間 $(-2, -1)$ と共通部分 $(\alpha, -1)$ を持ってしまう。しかし、条件より $A \cap B$ には $(1/2, 3]$ しか含まれていないため、このような共通部分は存在してはならない。したがって、$\alpha \geqq -1$ でなければならない。
以上より、$-2 \leqq \alpha \leqq -1$ かつ $\alpha \geqq -1$ であるから、
$$ \alpha = -1 $$
と定まる。$\alpha = -1, \beta = 3$ のとき、確かに与えられた和集合と共通部分の条件を満たす。
よって、集合 $B$ を表す不等式は
$$ -1 \leqq x \leqq 3 $$
すなわち
$$ (x + 1)(x - 3) \leqq 0 $$
$$ x^2 - 2x - 3 \leqq 0 $$
となる。これが $x^2 + ax + b \leqq 0$ と一致するので、係数を比較して $a = -2, b = -3$ を得る。
解説
- (1) は極座標と直交座標の相互変換、および三角関数の加法定理と合成を用いる問題である。極座標のまま図形的に処理することも可能だが、直交座標に変換して計算する方が確実である。
- (2) は数直線を用いて集合の包含関係や共通部分を視覚化することが重要である。3次不等式を正確に解き、2次不等式の解の形を文字でおいてから境界の条件を論理的に絞り込んでいく力が問われる。
答え
(1) $r \cos\left(\theta - \frac{\pi}{4}\right) = \sqrt{3}a$ (2) $a = -2, \quad b = -3$
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