北海道大学 2018年 文系 第2問 解説

方針・初手
(1) は、2次関数の定義域付きの最小値を求める基本的な問題である。平方完成により軸の位置を求め、軸が区間 $0 \leqq x \leqq 1$ の左側、内側、右側のいずれにあるかで場合分けを行って最小値 $m$ を求める。
(2) は、(1) で求めた $m$ を条件式 $a + 2b \leqq 2$ のもとで最大化する問題である。$m$ の式に含まれる $b$ を、不等式から得られる上限で評価し、$a$ のみの関数として最大値を調べるのが定石である。各場合分けの範囲において最大値を求め、全体での最大値を比較する。
解法1
(1)
与えられた関数 $f(x)$ を平方完成する。
$$ f(x) = \left(x + \frac{a}{2}\right)^2 - \frac{a^2}{4} + b $$
この2次関数のグラフは下に凸の放物線であり、軸は直線 $x = -\frac{a}{2}$ である。 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ における最小値 $m$ は、軸の位置によって以下のように場合分けされる。
(i) 軸が区間の左側にあるとき すなわち $-\frac{a}{2} < 0 \iff a > 0$ のとき、 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において関数 $f(x)$ は単調に増加する。 したがって、最小値は $x = 0$ のときである。
$$ m = f(0) = b $$
(ii) 軸が区間内にあるとき すなわち $0 \leqq -\frac{a}{2} \leqq 1 \iff -2 \leqq a \leqq 0$ のとき、 頂点が区間内に含まれるため、最小値は頂点の $y$ 座標となる。
$$ m = f\left(-\frac{a}{2}\right) = -\frac{a^2}{4} + b $$
(iii) 軸が区間の右側にあるとき すなわち $1 < -\frac{a}{2} \iff a < -2$ のとき、 区間 $0 \leqq x \leqq 1$ において関数 $f(x)$ は単調に減少する。 したがって、最小値は $x = 1$ のときである。
$$ m = f(1) = 1 + a + b $$
以上をまとめると、求める最小値 $m$ は以下のようになる。
$$ m = \begin{cases} b & (a > 0) \\ -\frac{a^2}{4} + b & (-2 \leqq a \leqq 0) \\ a + b + 1 & (a < -2) \end{cases} $$
(2)
条件式 $a + 2b \leqq 2$ を $b$ について解くと、以下のようになる。
$$ b \leqq -\frac{1}{2}a + 1 $$
(1) の場合分けに従い、それぞれの範囲で $m$ の取りうる値の範囲を調べる。
(i) $a > 0$ のとき $m = b$ である。条件 $b \leqq -\frac{1}{2}a + 1$ より、
$$ m \leqq -\frac{1}{2}a + 1 $$
$a > 0$ であるから、$-\frac{1}{2}a + 1 < 1$ となる。 したがって、この範囲での $m$ の値は $m < 1$ を満たす。
(ii) $-2 \leqq a \leqq 0$ のとき $m = -\frac{a^2}{4} + b$ である。条件 $b \leqq -\frac{1}{2}a + 1$ より、
$$ \begin{aligned} m &\leqq -\frac{a^2}{4} + \left(-\frac{1}{2}a + 1\right) \\ &= -\frac{1}{4}(a^2 + 2a) + 1 \\ &= -\frac{1}{4}(a + 1)^2 + \frac{1}{4} + 1 \\ &= -\frac{1}{4}(a + 1)^2 + \frac{5}{4} \end{aligned} $$
等号は $b = -\frac{1}{2}a + 1$ のときに成立する。 $-2 \leqq a \leqq 0$ の範囲において、この右辺の2次関数は $a = -1$ のときに最大値 $\frac{5}{4}$ をとる。 $a = -1$ のとき、等号成立条件より $b = -\frac{1}{2}(-1) + 1 = \frac{3}{2}$ である。 したがって、この範囲での $m$ の最大値は $\frac{5}{4}$ であり、そのときの $(a, b)$ は $\left(-1, \frac{3}{2}\right)$ である。
(iii) $a < -2$ のとき $m = a + b + 1$ である。条件 $b \leqq -\frac{1}{2}a + 1$ より、
$$ \begin{aligned} m &\leqq a + \left(-\frac{1}{2}a + 1\right) + 1 \\ &= \frac{1}{2}a + 2 \end{aligned} $$
等号は $b = -\frac{1}{2}a + 1$ のときに成立する。 $a < -2$ であるから、$\frac{1}{2}a + 2 < \frac{1}{2}(-2) + 2 = 1$ となる。 したがって、この範囲での $m$ の値は $m < 1$ を満たす。
以上 (i), (ii), (iii) より、各範囲における $m$ の上限を比較すると、$1 < \frac{5}{4}$ であるから、$m$ を最大にする $a, b$ の値と、そのときの $m$ の値は (ii) の場合において得られる。
解説
(1) は2次関数の最大・最小問題における典型的な「軸が動く場合」の処理である。定義域が固定され、関数に含まれるパラメータ(今回は $a$)によって軸の位置が変化するため、軸と定義域の位置関係による場合分けが必須となる。
(2) は、2変数関数のある制約条件下での最大・最小問題である。$b \leqq -\frac{1}{2}a + 1$ という不等式条件を等式 $b = -\frac{1}{2}a + 1$ (境界線)で評価し、1変数の最大・最小問題に帰着させるのがスムーズな解法である。(1) で求めた $a$ の範囲ごとに調べる必要はあるが、基本的には等号成立時が最大となることに着目すれば、あとは $a$ の2次関数または1次関数の最大値を求めることに帰着する。線形計画法のように $ab$ 平面上の領域を図示して考えることも可能だが、本解法のような代数的な処理の方が記述が簡潔になることが多い。
答え
(1) $m = \begin{cases} b & (a > 0) \\ -\frac{a^2}{4} + b & (-2 \leqq a \leqq 0) \\ a + b + 1 & (a < -2) \end{cases}$
(2) $a = -1, b = \frac{3}{2}$ のとき、最大値 $\frac{5}{4}$
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