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北海道大学 2000年 文系 第2問 解説

数学A/確率数学A/場合の数数学B/数列テーマ/不等式の証明
北海道大学 2000年 文系 第2問 解説

方針・初手

(1) $a_n$、$b_n$ ともに、条件を満たさない「余事象」を考えるのが定石である。「積が3の倍数になる」の余事象は「3が1回も出ない」ことである。「積が4の倍数になる」の余事象は「積が4の倍数にならない」ことであり、素因数2の個数に注目して場合分けを行う。 (2) (1)で求めた $a_n$ と $b_n$ の式を用いて不等式を立て、問題の指示通り数学的帰納法を用いて証明する。

解法1

(1) 1回の試行で、カードの出方は4通りであり、これらは同様に確からしい。 $n$ 回の試行で記録された $n$ 個の数の積が3の倍数となる事象の余事象は、$n$ 回とも3以外の「1、2、4」のいずれかが出ることである。 1回の試行で「1、2、4」が出る確率は $\frac{3}{4}$ であるから、$n$ 回ともこれらが出る確率は $\left(\frac{3}{4}\right)^n$ である。 よって、求める確率 $a_n$ は、

$$ a_n = 1 - \left(\frac{3}{4}\right)^n $$

次に、$n$ 個の数の積が4の倍数とならない事象を考える。これは、積に含まれる素因数2の個数が0個または1個の場合である。 すなわち、以下の互いに排反な2つの場合がある。

(i) $n$ 回とも奇数「1、3」が出る場合 1回の試行で奇数が出る確率は $\frac{2}{4} = \frac{1}{2}$ であるから、この場合の確率は $\left(\frac{1}{2}\right)^n$ である。

(ii) $n$ 回中1回だけ「2」が出て、残りの $n-1$ 回は奇数「1、3」が出る場合 「2」が出る1回の選び方は ${}_n\text{C}_1 = n$ 通りある。 「2」が出る確率は $\frac{1}{4}$ であり、奇数が出る確率は $\frac{1}{2}$ であるから、この場合の確率は、

$$ n \cdot \frac{1}{4} \cdot \left(\frac{1}{2}\right)^{n-1} = \frac{n}{2^{n+1}} $$

(i)(ii) は排反であるから、$n$ 個の数の積が4の倍数とならない確率は、これらの和となる。

$$ \left(\frac{1}{2}\right)^n + \frac{n}{2^{n+1}} = \frac{2}{2^{n+1}} + \frac{n}{2^{n+1}} = \frac{n+2}{2^{n+1}} $$

よって、求める確率 $b_n$ はこの余事象の確率であるから、

$$ b_n = 1 - \frac{n+2}{2^{n+1}} $$

(2) (1)より、$b_n > a_n$ は次のように変形できる。

$$ 1 - \frac{n+2}{2^{n+1}} > 1 - \left(\frac{3}{4}\right)^n $$

整理すると、示すべき不等式は以下のようになる。

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^n > \frac{n+2}{2^{n+1}} $$

この不等式を $P(n)$ とし、$n \geqq 2$ のすべての自然数について $P(n)$ が成り立つことを数学的帰納法で証明する。

[1] $n=2$ のとき 左辺と右辺の値をそれぞれ計算する。

$$ (\text{左辺}) = \left(\frac{3}{4}\right)^2 = \frac{9}{16} $$

$$ (\text{右辺}) = \frac{2+2}{2^{2+1}} = \frac{4}{8} = \frac{8}{16} $$

$\frac{9}{16} > \frac{8}{16}$ より、(左辺)$>$(右辺)となるので、$n=2$ のとき $P(n)$ は成り立つ。

[2] $n=k$ ($k \geqq 2$) のとき、$P(n)$ が成り立つと仮定する。 すなわち、次が成り立つと仮定する。

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^k > \frac{k+2}{2^{k+1}} $$

$n=k+1$ のとき、$P(k+1)$ の左辺を仮定を用いて評価する。

$$ \begin{aligned} \left(\frac{3}{4}\right)^{k+1} &= \frac{3}{4} \left(\frac{3}{4}\right)^k \\ &> \frac{3}{4} \cdot \frac{k+2}{2^{k+1}} \\ &= \frac{3(k+2)}{2^{k+3}} \end{aligned} $$

ここで、導出された式と $P(k+1)$ の右辺との差をとる。

$$ \begin{aligned} \frac{3(k+2)}{2^{k+3}} - \frac{(k+1)+2}{2^{(k+1)+1}} &= \frac{3k+6}{2^{k+3}} - \frac{k+3}{2^{k+2}} \\ &= \frac{3k+6 - 2(k+3)}{2^{k+3}} \\ &= \frac{k}{2^{k+3}} \end{aligned} $$

$k \geqq 2$ より $\frac{k}{2^{k+3}} > 0$ であるから、次が成り立つ。

$$ \frac{3(k+2)}{2^{k+3}} > \frac{k+3}{2^{k+2}} $$

したがって、

$$ \left(\frac{3}{4}\right)^{k+1} > \frac{k+3}{2^{k+2}} $$

となり、$n=k+1$ のときも $P(n)$ は成り立つ。

[1][2] より、$n \geqq 2$ のすべての自然数 $n$ について不等式 $P(n)$ が成り立つ。 すなわち、$n \geqq 2$ のとき $b_n > a_n$ が示された。

解説

(1)は余事象を利用して確率を求める典型的な問題である。積が「特定の数の倍数」となる確率を考える際、その素因数に着目すると見通しが良くなる。「3の倍数」は3が1回でも出ればよいが、「4の倍数」は素因数2が2つ以上必要であるため、余事象として「素因数2が0個の場合」と「素因数2が1個の場合」に分けて考えることがポイントである。

(2)は(1)で求めた式を用いた不等式の証明である。問題文で「数学的帰納法を用いて」と指定されているため、その手順に則って記述する。帰納法の仮定を用いた後の式の評価において、最終的に示したい目標の式($n=k+1$ のときの右辺)との大小関係を比較するために差をとるという処理が重要である。

答え

(1)

$$ a_n = 1 - \left(\frac{3}{4}\right)^n, \quad b_n = 1 - \frac{n+2}{2^{n+1}} $$

(2) $$ b_n>a_n\qquad (n\geqq 2) $$

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