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北海道大学 2000年 文系 第3問 解説

数学C/複素数平面数学A/図形の性質テーマ/図形総合
北海道大学 2000年 文系 第3問 解説

方針・初手

(1) 与えられた点 $A, B, C$ に、原点まわりの $60^\circ$ 回転を表す複素数を掛け合わせて計算する。極形式を利用すると計算が簡明になる。

(2) 図形の対称性(原点まわりの $120^\circ$ 回転に関する対称性)に注目し、1つの辺について三等分されることを証明すれば十分である。複素数平面上の線分を媒介変数を用いて表し、交点のパラメータを求める方針(解法1)、または座標平面上の直線の方程式を利用する方針(解法2)が考えられる。

解法1

(1)

原点 $O$ まわりの $60^\circ$ 回転を表す複素数を $\alpha$ とすると、

$$ \alpha = \cos 60^\circ + i \sin 60^\circ = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i $$

である。点 $A(1)$, $B(\omega)$, $C(\omega^2)$ をそれぞれ $\alpha$ 倍したものが $A'$, $B'$, $C'$ となる。

ここで、$\omega = \cos 120^\circ + i \sin 120^\circ$ であり、偏角を考えると $\alpha^2 = \omega$ が成り立つ。したがって、

$$ \begin{aligned} A' &= 1 \cdot \alpha = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \\ B' &= \omega \cdot \alpha = \alpha^2 \cdot \alpha = \alpha^3 \\ C' &= \omega^2 \cdot \alpha = \alpha^4 \cdot \alpha = \alpha^5 \end{aligned} $$

ド・モアブルの定理より、$\alpha^3 = \cos 180^\circ + i \sin 180^\circ = -1$ である。 また、$\alpha^5 = \alpha^3 \cdot \alpha^2 = - \omega = - \left( -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i$ である。

以上より、求める複素数はそれぞれ以下となる。

$$ \begin{aligned} A' &: \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \\ B' &: -1 \\ C' &: \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i \end{aligned} $$

(2)

$\triangle ABC$ と $\triangle A'B'C'$ はともに原点を中心とする正三角形であり、図形全体は原点まわりの $120^\circ$ 回転について対称である。 したがって、一方の三角形の1つの辺がもう一方の三角形の辺と交わって三等分されることを示せば、対称性からすべての辺について題意が成り立つ。 以下、辺 $AB$ が $\triangle A'B'C'$ の辺との交点によって三等分されることを示す。

線分 $AB$ 上の点 $z$ は、実数 $t \ (0 \le t \le 1)$ を用いて次のように表せる。

$$ \begin{aligned} z &= (1-t)A + tB \\ &= (1-t) + t \left( -\frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) \\ &= \left( 1 - \frac{3}{2}t \right) + \frac{\sqrt{3}}{2}t i \end{aligned} $$

同様に、線分 $A'B'$ 上の点 $w_1$ は、実数 $s \ (0 \le s \le 1)$ を用いて次のように表せる。

$$ \begin{aligned} w_1 &= (1-s)A' + sB' \\ &= (1-s) \left( \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) + s(-1) \\ &= \left( \frac{1}{2} - \frac{3}{2}s \right) + \frac{\sqrt{3}}{2}(1-s) i \end{aligned} $$

辺 $AB$ と辺 $A'B'$ の交点では $z = w_1$ が成り立つ。実部と虚部を比較して、

$$ \begin{aligned} 1 - \frac{3}{2}t &= \frac{1}{2} - \frac{3}{2}s \\ \frac{\sqrt{3}}{2}t &= \frac{\sqrt{3}}{2}(1-s) \end{aligned} $$

第2式より $t = 1-s$ であるから、これを第1式に代入して、

$$ 1 - \frac{3}{2}(1-s) = \frac{1}{2} - \frac{3}{2}s $$

$$ -\frac{1}{2} + \frac{3}{2}s = \frac{1}{2} - \frac{3}{2}s $$

$$ 3s = 1 \iff s = \frac{1}{3} $$

このとき $t = \frac{2}{3}$ となり、$0 \le s \le 1, 0 \le t \le 1$ を満たす。 よって、この交点は線分 $AB$ を $2:1$ に内分する点である。

次に、線分 $A'C'$ 上の点 $w_2$ は、実数 $u \ (0 \le u \le 1)$ を用いて次のように表せる。

$$ \begin{aligned} w_2 &= (1-u)A' + uC' \\ &= (1-u) \left( \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) + u \left( \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i \right) \\ &= \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}(1-2u) i \end{aligned} $$

辺 $AB$ と辺 $A'C'$ の交点では $z = w_2$ が成り立つ。実部を比較すると、

$$ 1 - \frac{3}{2}t = \frac{1}{2} \iff \frac{3}{2}t = \frac{1}{2} \iff t = \frac{1}{3} $$

虚部を比較して $u$ を求めると $u = \frac{1}{3}$ となり、ともに $0$ 以上 $1$ 以下の条件を満たす。 よって、この交点は線分 $AB$ を $1:2$ に内分する点である。

以上より、辺 $AB$ は $\triangle A'B'C'$ の辺との2つの交点($t=\frac{1}{3}, \frac{2}{3}$ に対応する点)によって三等分される。 対称性から、両三角形の他のすべての辺についても同様に三等分されることが示された。

解法2

(1)

(解法1と同じため省略)

(2)

複素数平面を座標平面 $(x, y)$ と同一視して考える。(1) の結果より、6つの点の座標は以下のようになる。

$$ \begin{aligned} A(1, 0) &, \quad B\left(-\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right) &, \quad C\left(-\frac{1}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}\right) \\ A'\left(\frac{1}{2}, \frac{\sqrt{3}}{2}\right) &, \quad B'(-1, 0) &, \quad C'\left(\frac{1}{2}, -\frac{\sqrt{3}}{2}\right) \end{aligned} $$

直線 $AB$ の方程式は、2点 $A, B$ を通ることから、

$$ y = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2} - 0}{-\frac{1}{2} - 1} (x - 1) = -\frac{1}{\sqrt{3}} (x - 1) $$

$$ x + \sqrt{3}y = 1 \quad \cdots \text{①} $$

直線 $A'B'$ の方程式は、2点 $A', B'$ を通ることから、

$$ y = \frac{\frac{\sqrt{3}}{2} - 0}{\frac{1}{2} - (-1)} (x + 1) = \frac{1}{\sqrt{3}} (x + 1) $$

$$ x - \sqrt{3}y = -1 \quad \cdots \text{②} $$

直線 $A'C'$ の方程式は、$A', C'$ の $x$ 座標が等しいことから、

$$ x = \frac{1}{2} \quad \cdots \text{③} $$

直線 $AB$ と直線 $A'C'$ の交点を $P$ とすると、①, ③を連立して、

$$ \frac{1}{2} + \sqrt{3}y = 1 \iff \sqrt{3}y = \frac{1}{2} \iff y = \frac{1}{2\sqrt{3}} $$

よって $P\left(\frac{1}{2}, \frac{1}{2\sqrt{3}}\right)$ である。

直線 $AB$ と直線 $A'B'$ の交点を $Q$ とすると、①, ②を辺々加えて、

$$ 2x = 0 \iff x = 0 $$

①に代入して、$\sqrt{3}y = 1 \iff y = \frac{1}{\sqrt{3}}$ であるから、$Q\left(0, \frac{1}{\sqrt{3}}\right)$ である。

ここで、線分 $AB$ 上にある4点 $A, P, Q, B$ の $x$ 座標に注目する。 それぞれの $x$ 座標は $1, \frac{1}{2}, 0, -\frac{1}{2}$ であり、これらは公差 $-\frac{1}{2}$ の等差数列をなしている。 したがって、線分 $AB$ は点 $P, Q$ によって三等分されている。

図形の対称性(原点まわりの $120^\circ$ 回転)より、他の辺についても同様に三等分されることが示された。

解説

複素数平面における回転の基本と、図形の対称性を活用する証明問題である。 (1) は極形式を用いて積の計算を行うと、偏角の足し算になるため非常に見通しが良い。 (2) はすべての交点を愚直に求める必要はなく、「図形が原点まわりの $120^\circ$ 回転について対称である」ことを記述したうえで、1つの辺に絞って証明を行うのが定石である。交点の求め方としては、解法1のように複素数のまま媒介変数を用いて解く方法と、解法2のように座標平面上の直線の方程式に帰着させる方法がある。どちらも計算量は少なく容易である。

答え

(1)

$$ A' = \frac{1}{2} + \frac{\sqrt{3}}{2}i, \quad B' = -1, \quad C' = \frac{1}{2} - \frac{\sqrt{3}}{2}i $$

(2)

$\triangle ABC$ と $\triangle A'B'C'$ の一方の三角形の各辺は、もう一方の三角形の辺との交点によって三等分される。

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