トップ 京都大学 1992年 理系 第1問

京都大学 1992年 理系 第1問 解説

数学1/立体図形数学2/図形と式数学1/方程式不等式テーマ/軌跡・領域テーマ/空間図形
京都大学 1992年 理系 第1問 解説

方針・初手

空間図形が平面で切断されるとき、切り口の頂点は元の多面体の辺と平面の交点となる。図形上の各頂点が切断平面に対してどちら側にあるかを、平面の方程式に座標を代入した値の符号で判定する。符号が異なる2つの頂点を結ぶ辺上にのみ交点が存在することを利用して、交点を持つ辺を見つけ出し、パラメータ表示を用いて交点の座標を計算する。

解法1

切断する平面を $\alpha$ とし、$f(x, y, z)$ を次のように定める。

$$ f(x, y, z) = \frac{x}{a} + \frac{y}{b} + \frac{z}{c} $$

平面 $\alpha$ の方程式は $f(x, y, z) = 0$ である。正八面体の各頂点の座標を $f(x, y, z)$ に代入し、その符号を調べる。$a, b, c$ は正の定数であるから、以下のようになる。

$$ \begin{aligned} f(A) &= f(1, 0, 0) = \frac{1}{a} > 0 \\ f(B) &= f(0, 1, 0) = \frac{1}{b} > 0 \\ f(E) &= f(0, 0, 1) = \frac{1}{c} > 0 \end{aligned} $$

$$ \begin{aligned} f(C) &= f(-1, 0, 0) = -\frac{1}{a} < 0 \\ f(D) &= f(0, -1, 0) = -\frac{1}{b} < 0 \\ f(F) &= f(0, 0, -1) = -\frac{1}{c} < 0 \end{aligned} $$

正八面体の辺の両端点で $f(x, y, z)$ の符号が異なる場合、その辺は平面 $\alpha$ と交わる。正八面体の辺は、対角関係にある頂点の組 $(A, C)$、$(B, D)$、$(E, F)$ 以外のすべての2頂点を結んだ線分である。

$f(x, y, z) > 0$ となる頂点の集合 $P = \{A, B, E\}$ と、$f(x, y, z) < 0$ となる頂点の集合 $N = \{C, D, F\}$ から1つずつ頂点を選んで結ぶ線分のうち、対角関係にないものが交点を持つ辺となる。 組み合わせは $3 \times 3 = 9$ 通りあるが、対角関係にある線分 $AC, BD, EF$ の3本を除外した以下の6本の辺が平面 $\alpha$ と交わる。

辺 $AD$、辺 $AF$、辺 $BC$、辺 $BF$、辺 $CE$、辺 $DE$

それぞれの辺上における交点の座標を求める。

(1) 辺 $AD$ 上の交点 辺 $AD$ 上の点は実数 $t \ (0 \leqq t \leqq 1)$ を用いて $(1-t, -t, 0)$ と表せる。これが平面 $\alpha$ 上にあるとき、以下の等式が成り立つ。

$$ \frac{1-t}{a} + \frac{-t}{b} = 0 $$

これを $t$ について解く。

$$ \begin{aligned} \frac{1}{a} &= t \left( \frac{1}{a} + \frac{1}{b} \right) \\ \frac{1}{a} &= t \cdot \frac{a+b}{ab} \\ t &= \frac{b}{a+b} \end{aligned} $$

この $t$ の値は $0 \leqq t \leqq 1$ を満たす。これを座標の式に代入して交点を求めると、$\left( \frac{a}{a+b}, -\frac{b}{a+b}, 0 \right)$ となる。

(2) 辺 $AF$ 上の交点 辺 $AF$ 上の点は $(1-t, 0, -t)$ と表せる。同様に平面の方程式に代入する。

$$ \frac{1-t}{a} + \frac{-t}{c} = 0 $$

これを解くと $t = \frac{c}{a+c}$ となり、交点は $\left( \frac{a}{a+c}, 0, -\frac{c}{a+c} \right)$ となる。

(3) 辺 $BF$ 上の交点 辺 $BF$ 上の点は $(0, 1-t, -t)$ と表せる。

$$ \frac{1-t}{b} + \frac{-t}{c} = 0 $$

これを解くと $t = \frac{c}{b+c}$ となり、交点は $\left( 0, \frac{b}{b+c}, -\frac{c}{b+c} \right)$ となる。

(4) 残りの辺上の交点 正八面体と平面 $\alpha$ はともに原点に関して対称な図形であるため、切り口も原点に関して対称な多角形となる。したがって、残りの交点はこれまで求めた3点の原点に関する対称点として求めることができる。

辺 $AD$ と原点対称な辺は $BC$ であり、その交点は $\left( -\frac{a}{a+b}, \frac{b}{a+b}, 0 \right)$ である。 辺 $AF$ と原点対称な辺は $CE$ であり、その交点は $\left( -\frac{a}{a+c}, 0, \frac{c}{a+c} \right)$ である。 辺 $BF$ と原点対称な辺は $DE$ であり、その交点は $\left( 0, -\frac{b}{b+c}, \frac{c}{b+c} \right)$ である。

以上より、6つの交点の座標がすべて求まった。

解説

多面体の切断問題を代数的に処理する際の定石を用いた解法である。空間図形を把握するのが難しい場合でも、「平面の方程式による空間の分割(正領域と負領域)」という考え方を用いれば、どの辺が切断されるかを機械的かつ正確に見つけ出すことができる。

また、図形の持つ対称性を計算に組み込むことで、連立方程式を解く回数を半減させている。入試本番では、こうした工夫が計算ミスを防ぎ、解答時間を短縮するうえで非常に有効である。

答え

切り口の多角形の頂点の座標は以下の6点である。

$$ \left( \frac{a}{a+b}, -\frac{b}{a+b}, 0 \right), \ \left( \frac{a}{a+c}, 0, -\frac{c}{a+c} \right), \ \left( 0, \frac{b}{b+c}, -\frac{c}{b+c} \right), $$

$$ \left( -\frac{a}{a+b}, \frac{b}{a+b}, 0 \right), \ \left( -\frac{a}{a+c}, 0, \frac{c}{a+c} \right), \ \left( 0, -\frac{b}{b+c}, \frac{c}{b+c} \right) $$

自分の記録

ログインすると保存できます。

誤りを報告

解説の誤り、誤字、表示崩れに気づいた場合は送信してください。ログイン不要です。