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東京大学 1993年 文系 第3問 解説

数学1/立体図形数学2/図形と式テーマ/空間図形テーマ/軌跡・領域テーマ/場合分け
東京大学 1993年 文系 第3問 解説

方針・初手

点 $A, P, Q$ が一直線上にあることから $Q$ の座標 $(u,v)$ を $x, y, z$ を用いて表し、立体射影の逆変換によって球面上の点 $P(x,y,z)$ を $u,v$ の式で表す。 得られた $x, y, z$ を問題の条件 $x \geqq \frac{1}{k}, y \geqq \frac{1}{k}, z \geqq \frac{1}{k}$ に代入し、$uv$ 平面上の領域を表す不等式を導く。その後、$k$ の値によって領域が存在する条件を正確に吟味し、場合分けを行う。

解法1

直線 $AP$ 上の点 $Q(u, v, 0)$ は、実数 $t$ を用いて $\vec{OQ} = (1-t)\vec{OA} + t\vec{OP}$ と表せる。成分で比較すると、

$$ (u, v, 0) = (tx, ty, 1-t+tz) $$

$z$ 成分より $1-t+tz = 0 \iff t(1-z) = 1$ が成り立つ。 点 $P$ は $A(0,0,1)$ と異なる点なので $z \neq 1$ である。よって $t = \frac{1}{1-z}$ となる。 これより、$u, v$ は次のように表される。

$$ u = \frac{x}{1-z}, \quad v = \frac{y}{1-z} $$

逆に $x, y, z$ を $u, v$ で表す。

$$ u^2+v^2 = \frac{x^2+y^2}{(1-z)^2} $$

点 $P$ は球面 $x^2+y^2+z^2=1$ 上にあるので、$x^2+y^2 = 1-z^2$ である。これを代入すると、

$$ u^2+v^2 = \frac{1-z^2}{(1-z)^2} = \frac{1+z}{1-z} $$

分母を払って整理する。

$$ (1-z)(u^2+v^2) = 1+z \iff z(u^2+v^2+1) = u^2+v^2-1 $$

$u^2+v^2+1 \geqq 1 > 0$ であるから、$z$ は次のように求まる。

$$ z = \frac{u^2+v^2-1}{u^2+v^2+1} $$

これを $x = u(1-z)$ に代入する。

$$ x = u \left( 1 - \frac{u^2+v^2-1}{u^2+v^2+1} \right) = \frac{2u}{u^2+v^2+1} $$

同様に、$y$ についても次のように求まる。

$$ y = \frac{2v}{u^2+v^2+1} $$

点 $P$ の条件 $x \geqq \frac{1}{k}, y \geqq \frac{1}{k}, z \geqq \frac{1}{k}$ にこれらを代入する。

(1)

$x \geqq \frac{1}{k}$ より

$$ \frac{2u}{u^2+v^2+1} \geqq \frac{1}{k} \iff u^2+v^2+1 \leqq 2ku \iff (u-k)^2 + v^2 \leqq k^2-1 $$

(2)

$y \geqq \frac{1}{k}$ より

$$ \frac{2v}{u^2+v^2+1} \geqq \frac{1}{k} \iff u^2+v^2+1 \leqq 2kv \iff u^2 + (v-k)^2 \leqq k^2-1 $$

(3)

$z \geqq \frac{1}{k}$ より

$$ \frac{u^2+v^2-1}{u^2+v^2+1} \geqq \frac{1}{k} \iff k(u^2+v^2-1) \geqq u^2+v^2+1 \iff (k-1)(u^2+v^2) \geqq k+1 $$

不等式 (1), (2) が実数解 $(u,v)$ を持つためには $k^2-1 \geqq 0 \iff k \geqq 1$ が必要である($k$ は正の定数)。 $k=1$ のとき、(1), (2) より $u=1, v=1$ となるが、これを (3) の左辺に代入すると $0$ となり、$0 \geqq 2$ となるため不適である。よって $k > 1$ である。 このとき、(3) は次のように整理できる。

$$ u^2+v^2 \geqq \frac{k+1}{k-1} $$

次に、この領域が空集合とならない $k$ の条件を調べる。 元々の $P$ の条件 $x^2+y^2+z^2=1$ と $x \geqq \frac{1}{k}, y \geqq \frac{1}{k}, z \geqq \frac{1}{k}$ から、

$$ 1 = x^2+y^2+z^2 \geqq \left(\frac{1}{k}\right)^2 + \left(\frac{1}{k}\right)^2 + \left(\frac{1}{k}\right)^2 = \frac{3}{k^2} $$

よって $k^2 \geqq 3$ となり、$k>0$ より $k \geqq \sqrt{3}$ が必要である。 したがって、$0 < k < \sqrt{3}$ のときは条件を満たす点 $P$ は存在せず、点 $Q$ の動く範囲はない(空集合)。

$k \geqq \sqrt{3}$ のときについて、境界となる3つの円を以下のように定義する。

$$ C_1: (u-k)^2+v^2 = k^2-1 $$

$$ C_2: u^2+(v-k)^2 = k^2-1 $$

$$ C_3: u^2+v^2 = \frac{k+1}{k-1} $$

$C_1$ と $C_3$ の交点を調べるため、$u^2+v^2 = \frac{k+1}{k-1}$ を $C_1$ の展開式 $u^2+v^2-2ku+1=0$ に代入する。

$$ \frac{k+1}{k-1} - 2ku + 1 = 0 \iff 2ku = \frac{2k}{k-1} \iff u = \frac{1}{k-1} $$

このとき、$v^2 = \frac{k+1}{k-1} - \frac{1}{(k-1)^2} = \frac{k^2-2}{(k-1)^2}$ となる。 交点の一つ $A_1\left(\frac{1}{k-1}, \frac{\sqrt{k^2-2}}{k-1}\right)$ が $C_2$ の内部または周上にあるか確認するため、$C_2$ の式の左辺から右辺を引いた値に代入する。

$$ u^2+v^2-2kv+1 = \frac{k+1}{k-1} - \frac{2k\sqrt{k^2-2}}{k-1} + 1 = \frac{2k(1-\sqrt{k^2-2})}{k-1} $$

$k \geqq \sqrt{3}$ より $\sqrt{k^2-2} \geqq 1$ であるため、この式の値は $0$ 以下となり、$A_1$ は $C_2$ の内部または周上にある。 ($k=\sqrt{3}$ のときは式の値が $0$ となり、点 $A_1$ で $C_1, C_2, C_3$ が1点で接する。このとき $u=v=\frac{\sqrt{3}+1}{2}$ である。)

解説

この問題は「立体射影(ステレオ投影)」をテーマにした頻出の難問である。球面上の点 $P$ と平面上の点 $Q$ を 1 対 1 に対応させる変換 $u = \frac{x}{1-z}, v = \frac{y}{1-z}$ とその逆変換は、一度は自力で導出した経験がないと試験本番で戸惑いやすい。 また、単に不等式を導出するだけでなく、「そもそも条件を満たす $x, y, z$ が存在するのか」という観点から $k \geqq \sqrt{3}$ という条件(領域が存在する条件)を見落とさないことが最も差がつくポイントである。

答え

求める $uv$ 平面上の点 $Q$ の動く範囲は以下の通り。

(i)

$0 < k < \sqrt{3}$ のとき 図示する領域はない(空集合)。

(ii)

$k = \sqrt{3}$ のとき 点 $\left(\frac{\sqrt{3}+1}{2}, \frac{\sqrt{3}+1}{2}\right)$ のみ。

(iii)

$k > \sqrt{3}$ のとき 以下の3つの不等式をすべて満たす領域(境界線を含む)。

$$ (u-k)^2+v^2 \leqq k^2-1 $$

$$ u^2+(v-k)^2 \leqq k^2-1 $$

$$ u^2+v^2 \geqq \frac{k+1}{k-1} $$

これは、$uv$ 平面上において、中心 $(k,0)$ で半径 $\sqrt{k^2-1}$ の円の内部、中心 $(0,k)$ で半径 $\sqrt{k^2-1}$ の円の内部、および原点を中心とする半径 $\sqrt{\frac{k+1}{k-1}}$ の円の外部の共通部分である。

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