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東京工業大学 1991年 理系 第2問 解説

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東京工業大学 1991年 理系 第2問 解説

方針・初手

直線 $l$ は $xy$ 平面($z=0$)上の楕円の接線であるため、接点の座標を設定するか、角度パラメータ $\theta$ を用いて直線の方程式を立てることから始める。

直線 $l$ を含む平面 $\pi$ の方程式を立式する。平面の束(そく)の考え方を用いる、あるいは $xy$ 平面上の直線 $l$ と $z$ 軸上の点 $Q$ を結ぶ平面の方程式を直接設定することで簡潔に表現できる。

平面 $\pi$ が点 $\left(\frac{1}{2}, 1, 1\right)$ を通るという条件を課すことで、$k$ を $\theta$(または接点座標)の関数として表し、三角関数の合成を用いてその値域を求める。

解法1

$xy$ 平面上の楕円 $x^2 + \frac{y^2}{4} = 1$ 上の接点を $T(p, q, 0)$ とおく。点 $T$ は楕円上の点であるから、以下の式が成り立つ。

$$ p^2 + \frac{q^2}{4} = 1 $$

この点における接線 $l$ は、$xy$ 平面において $px + \frac{qy}{4} = 1$ と表される。

空間内の直線 $l$ は、2つの平面 $px + \frac{qy}{4} - 1 = 0$ と $z = 0$ の交線である。したがって、直線 $l$ を含む平面 $\pi$ は、実数のパラメータ $\lambda$ を用いて次のように表すことができる。

$$ px + \frac{qy}{4} - 1 + \lambda z = 0 $$

(注:$z=0$ という平面自体は点 $\left(\frac{1}{2}, 1, 1\right)$ を含まないため、このようにおいて一般性を失わない。)

平面 $\pi$ は点 $P\left(\frac{1}{2}, 1, 1\right)$ を通るので、代入して整理する。

$$ \frac{p}{2} + \frac{q}{4} - 1 + \lambda \cdot 1 = 0 $$

$$ \lambda = 1 - \frac{p}{2} - \frac{q}{4} $$

また、平面 $\pi$ は点 $Q(0, 0, k)$ も通るので、同様に代入する。

$$ p \cdot 0 + \frac{q}{4} \cdot 0 - 1 + \lambda k = 0 $$

$$ \lambda k = 1 $$

ここで、$p^2 + \frac{q^2}{4} = 1$ より、$p = \cos \theta, \frac{q}{2} = \sin \theta$ ($0 \le \theta < 2\pi$)と置くことができる。これを $\lambda$ の式に代入する。

$$ \lambda = 1 - \frac{1}{2} \cos \theta - \frac{1}{2} \sin \theta $$

三角関数の合成を用いると、以下のように変形できる。

$$ \lambda = 1 - \frac{\sqrt{2}}{2} \sin\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) $$

$-1 \le \sin\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) \le 1$ であるから、$\lambda$ のとり得る値の範囲は次のようになる。

$$ 1 - \frac{\sqrt{2}}{2} \le \lambda \le 1 + \frac{\sqrt{2}}{2} $$

$$ \frac{2 - \sqrt{2}}{2} \le \lambda \le \frac{2 + \sqrt{2}}{2} $$

常に $\lambda > 0$ であるため、$\lambda k = 1$ より $k = \frac{1}{\lambda}$ とでき、$k$ のとり得る値の範囲は次のように求められる。

$$ \frac{2}{2 + \sqrt{2}} \le k \le \frac{2}{2 - \sqrt{2}} $$

各辺の分母を有理化する。

$$ \frac{2(2 - \sqrt{2})}{4 - 2} \le k \le \frac{2(2 + \sqrt{2})}{4 - 2} $$

$$ 2 - \sqrt{2} \le k \le 2 + \sqrt{2} $$

解法2

$xy$ 平面上の楕円 $x^2 + \frac{y^2}{4} = 1$ 上の点は、パラメータ $\theta$ ($0 \le \theta < 2\pi$)を用いて $(\cos\theta, 2\sin\theta, 0)$ と表すことができる。

この点における接線 $l$ の $xy$ 平面における方程式は次のようになる。

$$ (\cos\theta)x + \frac{2\sin\theta}{4}y = 1 $$

$$ 2x\cos\theta + y\sin\theta = 2 $$

空間内の直線として、接線 $l$ は上の式と $z=0$ を同時に満たす点の集合である。

平面 $\pi$ は直線 $l$ を含むため、平面 $\pi$ の方程式は実数 $c$ を用いて次のように設定できる。

$$ 2x\cos\theta + y\sin\theta + cz = 2 $$

なぜなら、この平面の方程式に $z=0$ を代入すると直線 $l$ の式と一致するためである。

平面 $\pi$ は点 $Q(0, 0, k)$ を通る。仮に $k=0$ とすると $Q$ は原点になるが、原点は直線 $l$ 上にない($0=2$ となり不適)ため平面が定まらず、条件を満たすためには $k \neq 0$ である。点 $Q$ の座標を平面の方程式に代入する。

$$ 0 + 0 + ck = 2 $$

$$ c = \frac{2}{k} $$

よって、平面 $\pi$ の方程式は次のように定まる。

$$ 2x\cos\theta + y\sin\theta + \frac{2}{k}z = 2 $$

さらに、平面 $\pi$ は点 $P\left(\frac{1}{2}, 1, 1\right)$ を通るので、代入して整理する。

$$ 2\left(\frac{1}{2}\right)\cos\theta + 1 \cdot \sin\theta + \frac{2}{k} \cdot 1 = 2 $$

$$ \cos\theta + \sin\theta + \frac{2}{k} = 2 $$

$$ \frac{2}{k} = 2 - (\sin\theta + \cos\theta) $$

三角関数の合成を用いる。

$$ \frac{2}{k} = 2 - \sqrt{2}\sin\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) $$

$-1 \le \sin\left(\theta + \frac{\pi}{4}\right) \le 1$ より、$\frac{2}{k}$ のとり得る値の範囲は次のようになる。

$$ 2 - \sqrt{2} \le \frac{2}{k} \le 2 + \sqrt{2} $$

各辺は正であるため、逆数をとって不等号の向きを反転させる。

$$ \frac{1}{2 + \sqrt{2}} \le \frac{k}{2} \le \frac{1}{2 - \sqrt{2}} $$

辺々に $2$ を掛ける。

$$ \frac{2}{2 + \sqrt{2}} \le k \le \frac{2}{2 - \sqrt{2}} $$

有理化して計算する。

$$ 2 - \sqrt{2} \le k \le 2 + \sqrt{2} $$

解説

「2つの平面の交線を含む平面」をパラメータを用いて表す、いわゆる「平面の束(そく)」の考え方を用いると非常に見通しよく解くことができる問題である。解法1のように定石通り束の方程式を立てるか、解法2のように $z=0$ での切片の方程式から空間平面へ拡張する発想を持つと立式が早い。

その後は楕円の媒介変数表示と三角関数の合成を利用して値域を求める典型的な処理に帰着される。逆数をとる際に分母が $0$ にならないこと(符号が一定であること)の確認は、論理の飛躍を防ぐために重要である。

答え

$$ 2 - \sqrt{2} \le k \le 2 + \sqrt{2} $$

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