名古屋大学 1971年 文系 第1問 解説

方針・初手
(1) 与えられた $n$ 個の点から特定の3点を固定し、それらを通る円がただ1つに決まることを利用して、残りのすべての点がその円上にあることを示す。 (2) 四角形の形状を凸四角形と凹四角形(および退化した四角形)に場合分けして面積を評価する。凸四角形の場合は対角線を用いた面積公式を用い、凹四角形の場合は三角形の面積以下であることを利用する。
解法1
(1) 与えられた $n$ 個の点の中から、任意の3点 $A, B, C$ を選ぶ。 もしこれら3点が同一直線上にあるとすると、残りの点から任意の1点 $P$ を選んで4点 $A, B, C, P$ を考えたとき、これらを通る円が存在するという問題の仮定に反する。したがって、任意の3点は同一直線上にはない。 よって、3点 $A, B, C$ を通る円はただ1つ存在する。この円を $O$ とする。
次に、残りの $(n-3)$ 個の点から任意の1点 $P$ を選ぶ。 仮定より、4点 $A, B, C, P$ は1つの円周上にある。 この円は3点 $A, B, C$ を通るため、円 $O$ と一致しなければならない。 したがって、点 $P$ は円 $O$ 上にある。 点 $P$ は残りの点から任意に選んだものであるから、$n$ 個の点はすべて1つの円 $O$ の周上にあることが示された。
(2) 四角形 $S$ の頂点を順に $A, B, C, D$ とする。 仮定より、四角形上の任意の2点の距離は $1$ 以下であるから、すべての辺の長さと対角線の長さについて以下が成り立つ。
$$ AB, BC, CD, DA, AC, BD \leqq 1 $$
四角形 $S$ の形状によって、以下のように場合分けを行う。
(i) 四角形 $S$ が凸四角形の場合 対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $P$ とし、その交角を $\theta$ とする。 四角形 $S$ の面積は、4つの三角形 $\triangle PAB, \triangle PBC, \triangle PCD, \triangle PDA$ の面積の和であるから、
$$ S = \frac{1}{2} PA \cdot PB \sin \theta + \frac{1}{2} PB \cdot PC \sin(\pi - \theta) + \frac{1}{2} PC \cdot PD \sin \theta + \frac{1}{2} PD \cdot PA \sin(\pi - \theta) $$
これを因数分解して整理すると、
$$ S = \frac{1}{2} (PA + PC)(PB + PD) \sin \theta $$
$$ S = \frac{1}{2} AC \cdot BD \sin \theta $$
ここで、$AC \leqq 1, BD \leqq 1, \sin \theta \leqq 1$ であるから、
$$ S \leqq \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot 1 = \frac{1}{2} $$
となり、面積は $\frac{1}{2}$ をこえない。
(ii) 四角形 $S$ が凹四角形の場合 ある頂点における内角が $180^\circ$ より大きい。一般性を失わず、頂点 $D$ の内角が $180^\circ$ より大きいとする。 このとき、頂点 $D$ は $\triangle ABC$ の内部にあるため、四角形 $S$ の面積は $\triangle ABC$ の面積よりも小さい。 $\triangle ABC$ の面積は、
$$ \triangle ABC = \frac{1}{2} AB \cdot BC \sin B $$
ここで、$AB \leqq 1, BC \leqq 1, \sin B \leqq 1$ であるから、
$$ \triangle ABC \leqq \frac{1}{2} \cdot 1 \cdot 1 \cdot 1 = \frac{1}{2} $$
したがって、四角形 $S$ の面積は $\frac{1}{2}$ 未満となり、$\frac{1}{2}$ をこえない。
(iii) 3点が同一直線上にある(退化した四角形)場合 この場合、四角形の面積は内包される三角形の面積に等しくなるか、$0$ になる。 三角形の面積に等しくなる場合、(ii) と同様の計算により面積は $\frac{1}{2}$ 以下となる。
以上 (i), (ii), (iii) より、どの場合でも四角形 $S$ の面積は $\frac{1}{2}$ をこえないことが示された。
解説
(1) は「円の決定条件」に着目する論証問題である。3点が与えられれば円が1つに決まるという平面図形の基本性質を利用し、「特定の3点を通る円」と「4点を通る円」の同一性を示すことで簡潔に証明できる。
(2) は図形の最大面積を見積もる問題である。「任意の2点の距離」には対角線も含まれることに気づくのが最大のポイントである。凸四角形の面積が対角線を用いて $S = \frac{1}{2} d_1 d_2 \sin \theta$ と表せることは頻出の知識であるため、確実に押さえておきたい。また、四角形が常に凸であるとは限らないため、凹四角形や退化した図形についても言及することで、数学的に厳密で隙のない解答となる。
答え
(1) 任意の3点を通る円がただ1つに決まり、残りの点がすべてその円上にあることから題意が示された。 (2) 四角形を凸・凹に場合分けし、対角線や辺の長さが $1$ 以下であることと三角比の性質を用いて、面積が $\frac{1}{2}$ 以下であることが示された。
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