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名古屋大学 1963年 文系 第3問 解説

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名古屋大学 1963年 文系 第3問 解説

方針・初手

正方形の1辺の長さを $a$ とおき、その面積 $a^2$ を求める。 解法1では、正方形の頂点と点 $P$ を座標平面上に設定し、各点間の距離の条件から連立方程式を立てて代数的に解く。 解法2では、図形の回転移動を利用して新たな三角形を作り、余弦定理を用いて面積を直接求める幾何的なアプローチをとる。

解法1

正方形の1辺の長さを $a$ とする。 点 $B$ を原点 $(0,0)$ とし、辺 $BC$ が $x$ 軸の正の向き、辺 $BA$ が $y$ 軸の正の向きと重なるように座標系を定める。 各頂点の座標は $B(0,0), C(a,0), A(0,a)$ と表せる。 点 $P$ の座標を $(x, y)$ とおく。点 $P$ は正方形の内部にあるので、 $$0 < x < a, \quad 0 < y < a$$ を満たす。 与えられた条件 $AP=7, BP=5, CP=1$ より、それぞれの距離の2乗を考えて以下の連立方程式を得る。

$$x^2 + (y-a)^2 = 49$$

$$x^2 + y^2 = 25$$

$$(x-a)^2 + y^2 = 1$$

第1式と第3式を展開し、第2式 $x^2 + y^2 = 25$ を代入して整理する。 第1式より、 $$x^2 + y^2 - 2ay + a^2 = 49$$

$$25 - 2ay + a^2 = 49$$

$$2ay = a^2 - 24$$

第3式より、 $$x^2 - 2ax + a^2 + y^2 = 1$$

$$25 - 2ax + a^2 = 1$$

$$2ax = a^2 + 24$$

$x, y$ について解くと、 $$x = \frac{a^2 + 24}{2a}$$

$$y = \frac{a^2 - 24}{2a}$$

これらを第2式 $x^2 + y^2 = 25$ に代入する。 $$\left( \frac{a^2 + 24}{2a} \right)^2 + \left( \frac{a^2 - 24}{2a} \right)^2 = 25$$

$$\frac{(a^4 + 48a^2 + 576) + (a^4 - 48a^2 + 576)}{4a^2} = 25$$

$$\frac{2a^4 + 1152}{4a^2} = 25$$

$$a^4 + 576 = 50a^2$$

$$a^4 - 50a^2 + 576 = 0$$

この方程式は $a^2$ についての2次方程式とみなすことができる。左辺を因数分解すると、 $$(a^2 - 18)(a^2 - 32) = 0$$

よって、$a^2 = 18$ または $a^2 = 32$ である。 ここで、点 $P$ が正方形の内部にある条件 $0 < y < a$ を確認する。

(i) $a^2 = 18$ のとき $$y = \frac{18 - 24}{2a} = -\frac{3}{a}$$ $a > 0$ より $y < 0$ となり、条件を満たさない。

(ii) $a^2 = 32$ のとき $a = \sqrt{32} = 4\sqrt{2}$ であり、 $$x = \frac{32 + 24}{8\sqrt{2}} = \frac{56}{8\sqrt{2}} = \frac{7}{\sqrt{2}}$$

$$y = \frac{32 - 24}{8\sqrt{2}} = \frac{8}{8\sqrt{2}} = \frac{1}{\sqrt{2}}$$ このとき、$0 < \frac{1}{\sqrt{2}} < \frac{7}{\sqrt{2}} < 4\sqrt{2}$ であるから、$0 < x < a$ かつ $0 < y < a$ を満たす。

したがって、求める正方形の面積 $a^2$ は $32$ である。

解法2

正方形の面積を $S$ とする。 $\triangle BCP$ を、点 $B$ を中心に辺 $BC$ が辺 $BA$ に重なるように $90^\circ$ 回転移動させた三角形を $\triangle BAP'$ とする。 この回転により、 $$BP' = BP = 5, \quad AP' = CP = 1$$ となり、$\angle P'BP = 90^\circ$ が成り立つ。

$\triangle P'BP$ は $\angle P'BP = 90^\circ$ の直角二等辺三角形であるから、 $$P'P = \sqrt{5^2 + 5^2} = 5\sqrt{2}$$

$$\angle P'PB = \angle PP'B = 45^\circ$$ である。

次に、$\triangle AP'P$ に着目する。3辺の長さは $AP'=1, PP'=5\sqrt{2}, AP=7$ であるから、余弦定理により、 $$\cos \angle AP'P = \frac{AP'^2 + PP'^2 - AP^2}{2 \cdot AP' \cdot PP'} = \frac{1^2 + (5\sqrt{2})^2 - 7^2}{2 \cdot 1 \cdot 5\sqrt{2}} = \frac{1 + 50 - 49}{10\sqrt{2}} = \frac{1}{5\sqrt{2}}$$ となる。このとき、$\sin \angle AP'P > 0$ より、 $$\sin \angle AP'P = \sqrt{1 - \left(\frac{1}{5\sqrt{2}}\right)^2} = \sqrt{\frac{49}{50}} = \frac{7}{5\sqrt{2}}$$ である。

図形の位置関係より、$\angle AP'B = \angle AP'P + \angle PP'B = \angle AP'P + 45^\circ$ となる。 加法定理を用いると、 $$\cos \angle AP'B = \cos(\angle AP'P + 45^\circ)$$

$$= \cos \angle AP'P \cos 45^\circ - \sin \angle AP'P \sin 45^\circ$$

$$= \frac{1}{5\sqrt{2}} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}} - \frac{7}{5\sqrt{2}} \cdot \frac{1}{\sqrt{2}}$$

$$= \frac{1}{10} - \frac{7}{10} = -\frac{3}{5}$$

最後に、$\triangle BAP'$ において余弦定理を用いる。 正方形の面積 $S = AB^2$ であるから、 $$AB^2 = BP'^2 + AP'^2 - 2 \cdot BP' \cdot AP' \cos \angle AP'B$$

$$S = 5^2 + 1^2 - 2 \cdot 5 \cdot 1 \cdot \left(-\frac{3}{5}\right)$$

$$S = 25 + 1 + 6 = 32$$

したがって、求める面積は $32$ である。

解説

正方形の内部の点から3頂点までの距離が与えられているとき、正方形の面積を求める古典的な有名問題である。

解法1の座標設定は、どのような図形問題にも適用しやすい汎用的なアプローチである。中心となる頂点(本問では $B$)を原点に置くことで、計算量を大幅に減らすことができる。出てきた解が「点が正方形の内部にある」という条件を満たすかどうかの吟味を忘れないようにしたい。

解法2は、正方形という図形の対称性を活かして $90^\circ$ の回転移動を行う幾何的なアプローチである。直角二等辺三角形を作り出し、余弦定理を2回用いることで面積が求まる。難関大の図形問題でしばしば有効な「回転による条件の集約」の典型例として、身につけておきたい解法である。

答え

32

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