名古屋大学 1986年 文系 第3問 解説

方針・初手
回転体の体積を求める定石に従い、回転軸に垂直な平面で立体を切断し、その断面積を積分して体積を求めます。 本問では回転軸 $l$ が $z$ 軸に平行であるため、平面 $z=t$ で切断して考えます。まず三角形の板が平面 $z=t$ と交わってできる線分を特定し、それを直線 $l$ の周りに回転させたときにできる図形(円環または円)の面積 $S(t)$ を立式します。
解法1
直線 $l$ は点 $\left(0, \frac{1}{2}, 0\right)$ を通り $z$ 軸に平行な直線であるから、その方程式は $x=0, y=\frac{1}{2}$ である。
3点 $(1, 1, 0), (1, 0, 1), (1, 0, 0)$ はすべて平面 $x=1$ 上にある。 したがって、これらの点を頂点とする三角形の板は平面 $x=1$ 上にあり、その領域は以下の条件で表される。
$$ x = 1, \quad y \ge 0, \quad z \ge 0, \quad y+z \le 1 $$
この三角形の板を平面 $z=t$ $(0 \le t \le 1)$ で切断したときの断面は、以下の条件を満たす線分である。
$$ x = 1, \quad z = t, \quad 0 \le y \le 1-t $$
この線分を、直線 $l$ を軸として 1 回転させる。 平面 $z=t$ 上において、線分上の点 $(1, y, t)$ と回転軸上の点 $\left(0, \frac{1}{2}, t\right)$ との距離の 2 乗を $f(y)$ とおくと、以下のようになる。
$$ f(y) = (1-0)^2 + \left(y-\frac{1}{2}\right)^2 = \left(y-\frac{1}{2}\right)^2 + 1 $$
線分を回転させてできる図形は、中心を $\left(0, \frac{1}{2}, t\right)$ とし、外側の半径が $\sqrt{f(y)}$ の最大値、内側の半径が $\sqrt{f(y)}$ の最小値となる円環(または円)である。 $0 \le y \le 1-t$ における $f(y)$ の最大値を $M^2$、最小値を $m^2$ とすると、平面 $z=t$ における回転体の断面積 $S(t)$ は以下で与えられる。
$$ S(t) = \pi (M^2 - m^2) $$
$f(y)$ のグラフは $y=\frac{1}{2}$ を軸とする下に凸の放物線であるから、区間 $0 \le y \le 1-t$ と軸 $y=\frac{1}{2}$ の位置関係によって場合分けを行う。
(i) $1-t \ge \frac{1}{2}$、すなわち $0 \le t \le \frac{1}{2}$ のとき
区間内に軸 $y=\frac{1}{2}$ が含まれるため、最小値は $m^2 = f\left(\frac{1}{2}\right) = 1$ となる。 区間の端点における値は $f(0) = \frac{5}{4}$、$f(1-t) = \left(\frac{1}{2}-t\right)^2 + 1 = t^2 - t + \frac{5}{4}$ である。 これらの差をとると、
$$ f(0) - f(1-t) = \frac{5}{4} - \left(t^2 - t + \frac{5}{4}\right) = t(1-t) $$
$0 \le t \le \frac{1}{2}$ のとき $t(1-t) \ge 0$ であるから、$f(0) \ge f(1-t)$ となる。 よって、最大値は $M^2 = f(0) = \frac{5}{4}$ である。 したがって、断面積 $S(t)$ は以下のようになる。
$$ S(t) = \pi \left(\frac{5}{4} - 1\right) = \frac{\pi}{4} $$
(ii) $1-t \le \frac{1}{2}$、すなわち $\frac{1}{2} \le t \le 1$ のとき
区間全体が軸 $y=\frac{1}{2}$ の左側にあるため、$f(y)$ はこの区間で単調減少する。 よって、最大値は $M^2 = f(0) = \frac{5}{4}$、最小値は $m^2 = f(1-t) = t^2 - t + \frac{5}{4}$ となる。 したがって、断面積 $S(t)$ は以下のようになる。
$$ S(t) = \pi \left\{ \frac{5}{4} - \left(t^2 - t + \frac{5}{4}\right) \right\} = \pi(-t^2 + t) $$
以上より、求める回転体の体積 $V$ は $S(t)$ を $0$ から $1$ まで積分して得られる。
$$ \begin{aligned} V &= \int_{0}^{1} S(t) \,dt \\ &= \int_{0}^{\frac{1}{2}} \frac{\pi}{4} \,dt + \int_{\frac{1}{2}}^{1} \pi(-t^2 + t) \,dt \\ &= \frac{\pi}{4} \left[ t \right]_{0}^{\frac{1}{2}} + \pi \left[ -\frac{t^3}{3} + \frac{t^2}{2} \right]_{\frac{1}{2}}^{1} \\ &= \frac{\pi}{8} + \pi \left\{ \left(-\frac{1}{3} + \frac{1}{2}\right) - \left(-\frac{1}{24} + \frac{1}{8}\right) \right\} \\ &= \frac{\pi}{8} + \pi \left( \frac{1}{6} - \frac{1}{12} \right) \\ &= \frac{\pi}{8} + \frac{\pi}{12} \\ &= \frac{5\pi}{24} \end{aligned} $$
解説
空間図形の回転体の体積を求める標準的な問題です。 回転軸が $z$ 軸に平行であるため、$z=t$ でスライスして断面積を計算する方針が最も確実です。 断面の線分を回転させる際、回転軸からの距離の2乗の「最大値」と「最小値」の差が断面積に直結します。本問では、積分変数 $t$ の値によって線分の端点が変動するため、2次関数の最大・最小の定石通りに区間と軸の位置関係で場合分けを行う必要があります。ドーナツ型の断面積を求める際に、内側の空白部分を引き忘れないように注意しましょう。
答え
$$ \frac{5\pi}{24} $$
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