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東京大学 1985年 文系 第4問 解説

数学1/立体図形数学C/空間ベクトルテーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東京大学 1985年 文系 第4問 解説

方針・初手

平面の方程式を立式し、点と平面の対称移動を用いて $Q, R$ の座標を求める。 「$x$ 軸を含む平面」は、法線ベクトルが $x$ 軸の方向ベクトルと垂直であり、かつ原点を通ることから $by+cz=0$ の形で表されることに着目する。 (2)の四面体の体積については、座標がやや複雑になるため、どの面を底面として高さを計算するか、または外積などのベクトル計算を活用するかで計算量に差が出る。

解法1

(1)

$x$ 軸を含む平面 $\alpha$ について考える。 平面 $\alpha$ は $x$ 軸上のすべての点を通るため、法線ベクトル $\vec{n}_1$ は $x$ 軸の方向ベクトル $(1,0,0)$ に垂直である。また、原点 $O(0,0,0)$ を通るため、その方程式は $by + cz = 0$ とおける。 この平面が点 $(t, t, 1)$ を通ることから、

$$ bt + c = 0 \iff c = -bt $$

となるため、$b(y - tz) = 0$ と表せる。$b \neq 0$ より、平面 $\alpha$ の方程式は

$$ y - tz = 0 $$

である。

点 $P(t, t, 0)$ と平面 $\alpha$ に関して対称な点が $Q$ である。 直線 $PQ$ は $\alpha$ の法線ベクトル $\vec{n}_1 = (0, 1, -t)$ に平行なので、実数 $k$ を用いて $Q(t, t+k, -tk)$ と表せる。 線分 $PQ$ の中点 $M\left(t, t+\frac{k}{2}, -\frac{tk}{2}\right)$ が $\alpha$ 上にあるから、

$$ \left(t + \frac{k}{2}\right) - t\left(-\frac{tk}{2}\right) = 0 $$

$$ t + \frac{1+t^2}{2}k = 0 \iff k = -\frac{2t}{t^2+1} $$

したがって、点 $Q$ の座標は

$$ Q\left(t, t - \frac{2t}{t^2+1}, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) \iff Q\left(t, \frac{t^3-t}{t^2+1}, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) $$

となる。

次に、$y$ 軸を含む平面 $\beta$ の方程式を求める。 同様に、法線ベクトルが $y$ 軸に垂直で原点を通ることから $ax + cz = 0$ とおけ、点 $(t, t, 1)$ を通るから

$$ at + c = 0 \iff c = -at $$

よって、平面 $\beta$ の方程式は

$$ x - tz = 0 $$

である。 ここで、点 $P(t, t, 0)$ は $x$ 座標と $y$ 座標が等しく、平面 $\alpha$ と $\beta$ は $x$ と $y$ の文字を入れ替えた対称な関係にある。 したがって、$P$ と $\beta$ に関して対称な点 $R$ の座標は、$Q$ の $x$ 座標と $y$ 座標を入れ替えたものとなるため、

$$ R\left(\frac{t^3-t}{t^2+1}, t, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) $$

となる。

(2)

4点 $O, P, Q, R$ を頂点とする四面体の体積 $V$ を求める。 $\triangle PQR$ を底面として体積を計算する。 (1)より、

$$ \vec{PQ} = \left(0, -\frac{2t}{t^2+1}, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) = \frac{2t}{t^2+1}(0, -1, t) $$

$$ \vec{PR} = \left(-\frac{2t}{t^2+1}, 0, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) = \frac{2t}{t^2+1}(-1, 0, t) $$

である。$\vec{u} = (0, -1, t)$、$\vec{v} = (-1, 0, t)$ とおくと、

$$ |\vec{u}|^2 = t^2+1, \quad |\vec{v}|^2 = t^2+1, \quad \vec{u} \cdot \vec{v} = t^2 $$

となるため、$\vec{u}$ と $\vec{v}$ が張る三角形の面積 $S_0$ は、

$$ S_0 = \frac{1}{2} \sqrt{|\vec{u}|^2 |\vec{v}|^2 - (\vec{u} \cdot \vec{v})^2} = \frac{1}{2} \sqrt{(t^2+1)^2 - (t^2)^2} = \frac{\sqrt{2t^2+1}}{2} $$

よって、底面 $\triangle PQR$ の面積 $S$ は、

$$ S = \left(\frac{2t}{t^2+1}\right)^2 S_0 = \frac{4t^2}{(t^2+1)^2} \cdot \frac{\sqrt{2t^2+1}}{2} = \frac{2t^2 \sqrt{2t^2+1}}{(t^2+1)^2} $$

となる。

次に、頂点 $O$ から平面 $PQR$ に下ろした垂線の長さ(高さ)$h$ を求める。 平面 $PQR$ の法線ベクトルを $\vec{n} = (a, b, c)$ とおくと、$\vec{n} \cdot \vec{u} = 0$ かつ $\vec{n} \cdot \vec{v} = 0$ より、

$$ -b + ct = 0 \iff b = ct $$

$$ -a + ct = 0 \iff a = ct $$

$c = 1$ とすると $\vec{n} = (t, t, 1)$ となる。 平面 $PQR$ は点 $P(t, t, 0)$ を通り、法線ベクトルが $(t, t, 1)$ であるから、その方程式は

$$ t(x - t) + t(y - t) + 1(z - 0) = 0 \iff tx + ty + z - 2t^2 = 0 $$

原点 $O(0,0,0)$ とこの平面の距離 $h$ は、点と平面の距離の公式より

$$ h = \frac{|-2t^2|}{\sqrt{t^2 + t^2 + 1}} = \frac{2t^2}{\sqrt{2t^2+1}} $$

したがって、求める体積 $V$ は

$$ V = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \cdot \frac{2t^2 \sqrt{2t^2+1}}{(t^2+1)^2} \cdot \frac{2t^2}{\sqrt{2t^2+1}} = \frac{4t^4}{3(t^2+1)^2} $$

解法2

(2) の別解として、空間ベクトルにおける四面体の体積公式(スカラー三重積を利用した行列式)を用いる方法を示す。

(1)より、基準とする頂点 $P$ からのベクトルは以下の通りである。

$$ \vec{PO} = (-t, -t, 0) $$

$$ \vec{PQ} = \frac{2t}{t^2+1}(0, -1, t) $$

$$ \vec{PR} = \frac{2t}{t^2+1}(-1, 0, t) $$

四面体 $OPQR$ の体積 $V$ は、3つのベクトル $\vec{PO}, \vec{PQ}, \vec{PR}$ が張る平行六面体の体積の $\frac{1}{6}$ である。 これを行列式を用いて計算すると、

$$ V = \frac{1}{6} \left| (\vec{PQ} \times \vec{PR}) \cdot \vec{PO} \right| $$

となる。 まず、外積 $\vec{PQ} \times \vec{PR}$ を計算する。共通因数 $\frac{2t}{t^2+1}$ をくくり出した成分同士で外積をとると、

$$ (0, -1, t) \times (-1, 0, t) = \left( (-1)\cdot t - t\cdot 0, t\cdot(-1) - 0\cdot t, 0\cdot 0 - (-1)\cdot(-1) \right) = (-t, -t, -1) $$

よって、

$$ \vec{PQ} \times \vec{PR} = \left(\frac{2t}{t^2+1}\right)^2 (-t, -t, -1) = \frac{4t^2}{(t^2+1)^2} (-t, -t, -1) $$

次に、これと $\vec{PO}$ の内積を計算する。

$$ (\vec{PQ} \times \vec{PR}) \cdot \vec{PO} = \frac{4t^2}{(t^2+1)^2} \left( (-t)\cdot(-t) + (-t)\cdot(-t) + (-1)\cdot 0 \right) = \frac{4t^2}{(t^2+1)^2} (2t^2) = \frac{8t^4}{(t^2+1)^2} $$

したがって、四面体の体積 $V$ は

$$ V = \frac{1}{6} \left| \frac{8t^4}{(t^2+1)^2} \right| = \frac{4t^4}{3(t^2+1)^2} $$

解説

(1) は空間図形における平面の方程式と、点と平面の距離・対称移動の基礎を問う問題である。「$x$ 軸を含む」という条件を、方程式の上でどのように表現するかがスムーズに解くための鍵となる。$x$ と $y$ に関する対称性に気づくことで、点 $R$ の計算を省略できる点も実戦的である。 (2) は底面の取り方で計算量が大きく変わる。$\triangle OPQ$ などを底面とすると点 $R$ からの距離を求める際に煩雑な式になりやすいため、解法1のように $\triangle PQR$ を底面として点 $P$ を基準にベクトルを整理するのが見通しが良い。さらに、空間ベクトルの外積や行列式による体積計算(解法2)に習熟していれば、大幅に計算の手間を省くことができる。

答え

(1)

$$ Q\left(t, \frac{t^3-t}{t^2+1}, \frac{2t^2}{t^2+1}\right), \quad R\left(\frac{t^3-t}{t^2+1}, t, \frac{2t^2}{t^2+1}\right) $$

(2)

$$ \frac{4t^4}{3(t^2+1)^2} $$

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