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名古屋大学 2024年 文系 第3問 解説

数学A/確率数学A/場合の数テーマ/場合分け
名古屋大学 2024年 文系 第3問 解説

方針・初手

コインを投げるごとに増加する座標の総和(得点)を考える問題です。 $n$ 回投げて裏が $r$ 回出たときの最終的な座標 $a_n$ を求めることで、得点が 0 にならないための裏の回数 $r$ が確定します。 得点の計算にあたっては、すべて表が出た場合の得点を基準とし、裏が出たタイミングが「以降のすべての座標 $a_k$ にどれだけ影響するか」を考える(足し合わせる)と、計算が飛躍的に見通しよくなります。

解法1

(1)

$n$ 回のコイン投げのうち、裏が $r$ 回出るとき、表は $n-r$ 回出る。 表が出ると正方向に 2、裏が出ると正方向に 3 移動するため、$n$ 回投げた後の位置 $a_n$ は次のように表される。

$$ a_n = 2(n-r) + 3r $$

これを整理して、

$$ a_n = 2n + r $$

(2)

$n=4$ のとき、得点が 0 でないための条件は $a_4 = 2 \cdot 4 + 2 = 10$ である。 (1) の結果より $a_4 = 8 + r$ であるから、得点が 0 でないための裏の回数 $r$ は、

$$ 8 + r = 10 $$

より $r=2$ と定まる。 すなわち、4回のうち裏が2回、表が2回出る場合である。その確率は、

$$ {}_{4}\mathrm{C}_{2} \left(\frac{1}{2}\right)^2 \left(\frac{1}{2}\right)^2 = 6 \cdot \frac{1}{16} = \frac{3}{8} $$

次に、得点が 25 である確率を求める。 得点が 25(0ではない)となるのは $r=2$ の場合に限られるため、裏が出る2回のタイミングを $i$ 回目と $j$ 回目($1 \leqq i < j \leqq 4$)とする。 $k$ 回目に投げたときの石の移動量を $d_k$ とすると、$d_k$ は表なら 2、裏なら 3 であり、$a_k = d_1 + d_2 + \cdots + d_k$ である。 得点 $S_4$ は次のように変形できる。

$$ \begin{aligned} S_4 &= a_1 + a_2 + a_3 + a_4 \\ &= d_1 + (d_1+d_2) + (d_1+d_2+d_3) + (d_1+d_2+d_3+d_4) \\ &= 4d_1 + 3d_2 + 2d_3 + d_4 \end{aligned} $$

もし4回すべて表であったとすると、すべての $k$ について $d_k = 2$ となり、そのときの和は $2 \cdot (4+3+2+1) = 20$ となる。 実際には $i$ 回目と $j$ 回目に裏が出るため、$d_i$ と $d_j$ がそれぞれ 2 から 3 へと 1 だけ増加する。 これにより、和 $S_4$ は $d_i$ の係数 $(5-i)$ と $d_j$ の係数 $(5-j)$ の分だけ増加するため、得点は次のように表せる。

$$ S_4 = 20 + (5-i) + (5-j) = 30 - (i+j) $$

得点が 25 となる条件は $S_4 = 25$ より、

$$ 30 - (i+j) = 25 $$

すなわち $i+j = 5$ である。 $1 \leqq i < j \leqq 4$ を満たす自然数の組 $(i, j)$ は $(1, 4), (2, 3)$ の 2通り存在する。 したがって、求める確率は、

$$ 2 \times \left(\frac{1}{2}\right)^4 = \frac{1}{8} $$

(3)

$n=9$ のとき、得点が 0 でないための条件は $a_9 = 2 \cdot 9 + 2 = 20$ である。 (1) の結果より $a_9 = 18 + r$ であるから、得点が 0 でないための裏の回数 $r$ は、

$$ 18 + r = 20 $$

より $r=2$ と定まる。 得点が 0 でないとき、裏が出る2回のタイミングを $i$ 回目と $j$ 回目($1 \leqq i < j \leqq 9$)とする。 (2) と同様に得点 $S_9$ を計算する。 9回すべて表であったとすると、和は $2 \cdot (9+8+\cdots+1) = 90$ となる。 $i$ 回目と $j$ 回目に裏が出ることで、それぞれの移動量が 1 増加するため、和 $S_9$ は次のように表せる。

$$ S_9 = 90 + (10-i) + (10-j) = 110 - (i+j) $$

得点が 100 となる条件は $S_9 = 100$ より、

$$ 110 - (i+j) = 100 $$

すなわち $i+j = 10$ である。 $1 \leqq i < j \leqq 9$ を満たす自然数の組 $(i, j)$ は $(1, 9), (2, 8), (3, 7), (4, 6)$ の 4通り存在する。 したがって、求める確率は、

$$ 4 \times \left(\frac{1}{2}\right)^9 = \frac{4}{512} = \frac{1}{128} $$

次に、得点が奇数である確率を求める。 得点が奇数になるためには、まず得点が 0 ではない(0 は偶数であるため)ことが必要であり、$r=2$ の場合のみを考えればよい。 得点 $S_9 = 110 - (i+j)$ が奇数となる条件は、$i+j$ が奇数となることである。 $i+j$ が奇数になるのは、$i$ と $j$ の一方が奇数で、もう一方が偶数の場合に限られる。 1 から 9 までの自然数の中に、奇数は 5個(1, 3, 5, 7, 9)、偶数は 4個(2, 4, 6, 8)ある。 この中から奇数を1つ、偶数を1つ選ぶ選び方は、

$$ 5 \times 4 = 20 \text{ 通り} $$

存在する。(選んだ2つの数のうち、小さい方を $i$、大きい方を $j$ とすれば一意に対応する) したがって、得点が奇数である確率は、

$$ 20 \times \left(\frac{1}{2}\right)^9 = \frac{20}{512} = \frac{5}{128} $$

解説

コインの裏表によって数列が定まり、その総和(得点)の条件から確率を求める問題です。 $a_k$ の和を正面から計算しようとすると式が煩雑になりがちですが、本解答のように「各回の移動量 $d_k$ が、最終的な和に何回足し込まれるか」に注目すると非常に見通しが良くなります。 $k$ 回目の移動量 $d_k$ は $a_k, a_{k+1}, \dots, a_n$ の $(n-k+1)$ 個の項に含まれるため、総和への寄与は $(n-k+1)d_k$ となります。 この考え方(和の順序交換)は、数列の和の計算において強力な武器となるため、ぜひ習得しておきたい手法です。

答え

(1) $a_n = 2n+r$

(2) 得点が 0 でない確率: $\frac{3}{8}$ 得点が 25 である確率: $\frac{1}{8}$

(3) 得点が 100 である確率: $\frac{1}{128}$ 得点が奇数である確率: $\frac{5}{128}$

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