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大阪大学 1987年 理系 第1問 解説

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大阪大学 1987年 理系 第1問 解説

方針・初手

(1) 等比数列の初項を $a$、公比を $r$ とおき、和の公式を用いて $S$ と $T$ を $a, r, n$ で表す。その後、$T$ を $S$ で割った商が整数になることを示す。公比 $r = 1$ の場合と $r \neq 1$ の場合で分けて考える。

(2) (1) の結果から $T$ が $S$ と別の整数の積で表されることを利用する。自然数の和である $S$ のとり得る値の範囲に注意し、$T$ が素数となるための必要条件を絞り込む。

解法1

(1)

等比数列 $\{a_n\}$ の初項を $a$、公比を $r$ とおく。 条件より、$a_k$ は自然数の列であるため、$a_1 = a$ は自然数である。また、$a_2 = ar$ も自然数となるため、$r = \frac{a_2}{a_1}$ より $r$ は正の有理数である。

(i)

$r = 1$ のとき

すべての $k$ に対して $a_k = a$ であるから、

$$ S = \sum_{k=1}^n a_k = na $$

$$ T = \sum_{k=1}^n a_k^2 = na^2 $$

よって、$T = aS$ となる。$a$ は自然数(整数)であるから、$T$ は $S$ の倍数である。

(ii)

$r \neq 1$ のとき

等比数列の和の公式より、

$$ S = \frac{a(r^n - 1)}{r - 1} $$

また、$a_k^2 = (a r^{k-1})^2 = a^2 (r^2)^{k-1}$ より、数列 $\{a_k^2\}$ は初項 $a^2$、公比 $r^2$ の等比数列である。 $r > 0$ かつ $r \neq 1$ であるから $r^2 \neq 1$ であり、

$$ T = \frac{a^2((r^2)^n - 1)}{r^2 - 1} = \frac{a^2(r^{2n} - 1)}{r^2 - 1} $$

ここで、$T$ を $S$ で割ると、

$$ \frac{T}{S} = \frac{a^2(r^{2n} - 1)}{r^2 - 1} \cdot \frac{r - 1}{a(r^n - 1)} $$

$$ = \frac{a(r^n - 1)(r^n + 1)}{(r - 1)(r + 1)} \cdot \frac{r - 1}{r^n - 1} $$

$$ = \frac{a(r^n + 1)}{r + 1} $$

条件より $n$ は3以上の奇数であるから、$r^n + 1$ は $r + 1$ を因数にもつ。

$$ r^n + 1 = (r + 1)(r^{n-1} - r^{n-2} + \cdots - r + 1) $$

これを代入すると、

$$ \frac{T}{S} = a(r^{n-1} - r^{n-2} + \cdots - r + 1) $$

$$ = ar^{n-1} - ar^{n-2} + \cdots - ar + a $$

$$ = a_n - a_{n-1} + \cdots - a_2 + a_1 $$

数列 $\{a_k\}$ の各項は自然数であるから、それらの和と差で表される $\frac{T}{S}$ は整数である。 よって、$T$ は $S$ の倍数である。

(i), (ii) より、いずれの場合も整数 $T$ は整数 $S$ の倍数であることが示された。

(2)

(1) の結果より、$T = S \cdot K$ ($K$ は整数)と表せる。 ここで、各 $a_k$ は自然数($a_k \ge 1$)であり、条件より $n \ge 3$ であるから、

$$ S = \sum_{k=1}^n a_k \ge n \ge 3 $$

すなわち、$S$ は3以上の整数である。 また、$T$ は自然数の平方の和であるから正の整数であり、$S > 0$ より $K$ も正の整数である。

$T$ が素数であるとき、その正の約数は $1$ と $T$ 自身のみである。 $T = S \cdot K$ において、$S \ge 3$ であるから、これが成り立つためには、

$$ S = T \quad \text{かつ} \quad K = 1 $$

であることが必要である。$S = T$ より、

$$ \sum_{k=1}^n a_k = \sum_{k=1}^n a_k^2 $$

$$ \sum_{k=1}^n (a_k^2 - a_k) = 0 $$

$$ \sum_{k=1}^n a_k(a_k - 1) = 0 $$

各 $a_k$ は自然数であるから、$a_k \ge 1$ であり $a_k(a_k - 1) \ge 0$ である。 したがって、和が $0$ になるためには、すべての $k = 1, 2, \dots, n$ において

$$ a_k(a_k - 1) = 0 $$

すなわち、$a_k = 1$ でなければならない。 これは、初項 $a_1 = 1$、公比 $r = 1$ の等比数列であることを意味する。

このとき、$S = n$、$T = n$ となり、$K = 1$ も満たしている。 $T$ が素数となる条件は、$T = n$ が素数となることである。 問題の前提として $n$ は3以上の奇数であるから、$n$ が3以上の素数であれば自動的に「奇数」という条件も満たす(2以外の素数はすべて奇数であるため)。

よって、求める条件は、初項 $1$、公比 $1$、項数 $n$ は3以上の素数であることである。

解説

(1) は等比数列の和の公式をそのまま用いる典型的な問題である。公比 $r=1$ と $r \neq 1$ の場合分けを忘れないことが重要である。$n$ が奇数であることによって、因数分解 $r^n + 1 = (r+1)(r^{n-1} - r^{n-2} + \cdots - r + 1)$ が利用できる点が最大のポイントとなる。

(2) は「積の形から素数の条件を絞り込む」という整数問題の定石を用いる。(1) によって $T = S \times (\text{整数})$ の形が示されているため、$S$ と $T$ の大小関係を評価することが鍵となる。自然数の数列であることから $S \ge n \ge 3$ が得られ、$T$ が素数なら $S=T$ になるしかないという論理へスムーズに繋がる。

答え

(1)

証明略(解法1を参照)

(2)

初項 $1$、公比 $1$、項数 $n$ は3以上の素数(「$n$ は奇素数」でも可)

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