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大阪大学 1994年 理系 第1問 解説

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大阪大学 1994年 理系 第1問 解説

方針・初手

和の公式を用いて $\sum_{k=1}^n (ak^2+bk+1)$ を計算し、$n$ でくくった式を作る。和が常に $n$ で割り切れるという条件は、くくった残りの部分がすべての自然数 $n$ に対して整数値をとること(整数値多項式となること)と同値である。具体的な $n$ の値を代入して $a, b$ の必要条件を絞り込み、それが十分条件でもあることを示す。

解法1

まず、与えられた和を計算する。

$$ \sum_{k=1}^n (ak^2+bk+1) = a \frac{n(n+1)(2n+1)}{6} + b \frac{n(n+1)}{2} + n $$

この和がどのような自然数 $n$ に対しても $n$ で割りきれるための条件は、式を $n$ で割った値 $f(n)$ が常に整数となることである。

$$ f(n) = \frac{a(n+1)(2n+1)}{6} + \frac{b(n+1)}{2} + 1 $$

$f(n)$ がすべての自然数 $n$ で整数となるための必要条件を調べる。

$$ f(1) = \frac{a \cdot 2 \cdot 3}{6} + \frac{b \cdot 2}{2} + 1 = a+b+1 $$

$a, b$ は整数なので、$f(1)$ は常に整数となる。

$$ f(2) = \frac{a \cdot 3 \cdot 5}{6} + \frac{b \cdot 3}{2} + 1 = \frac{5a+3b+2}{2} $$

$f(2)$ が整数となるには、$5a+3b+2$ が偶数、すなわち $5a+3b$ が偶数でなければならない。 $5a+3b = (4a+2b) + (a+b)$ であり、$4a+2b$ は偶数なので、$a+b$ が偶数であることが必要である。

$$ f(3) = \frac{a \cdot 4 \cdot 7}{6} + \frac{b \cdot 4}{2} + 1 = \frac{14a+6b+3}{3} $$

$f(3)$ が整数となるには、$14a+6b+3$ が3の倍数、すなわち $14a$ が3の倍数でなければならない。 14と3は互いに素であるから、$a$ が3の倍数であることが必要である。

次に、これら「$a$ が3の倍数」かつ「$a+b$ が偶数」という条件が十分であることを示す。 $a$ は3の倍数より、$A$ を整数として $a=3A$ とおく。

$$ \begin{aligned} f(n) &= \frac{3A(n+1)(2n+1)}{6} + \frac{b(n+1)}{2} + 1 \\ &= \frac{A(n+1)(2n+1)}{2} + \frac{b(n+1)}{2} + 1 \\ &= \frac{(n+1)\{A(2n+1)+b\}}{2} + 1 \end{aligned} $$

(i)

$n$ が奇数のとき $n+1$ は偶数となるため、$\frac{n+1}{2}$ は整数である。 $A, b$ は整数なので $A(2n+1)+b$ も整数となり、$f(n)$ は整数である。

(ii)

$n$ が偶数のとき $n+1$ は奇数となるため、$f(n)$ が整数になるには $A(2n+1)+b$ が偶数であればよい。 ここで $a+b = 3A+b = 2A + (A+b)$ であり、前提より $a+b$ は偶数なので、$A+b$ も偶数である。 したがって、 $A(2n+1)+b = 2An + (A+b)$ となり、$2An$ も $A+b$ も偶数であるから、$A(2n+1)+b$ は偶数となる。 よって、$f(n)$ は整数である。

以上より、$f(n)$ が常に整数となるための必要十分条件は、「$a$ が3の倍数」かつ「$a+b$ が偶数」である。

この条件を満たす整数 $a, b$ の組 $(a, b)$ が $0 < a \leqq 6m$ かつ $0 < b \leqq 6m$ の範囲に何組あるかを数える。

$a$ は $0 < a \leqq 6m$ を満たす3の倍数であるから、その個数は $\frac{6m}{3} = 2m$ 個である。 このうち、奇数であるものは $m$ 個、偶数であるものは $m$ 個である。

$a+b$ が偶数であるから、$a$ と $b$ の偶奇は一致する。 $b$ は $0 < b \leqq 6m$ を満たす整数であり、その個数は全体で $6m$ 個である。 このうち、奇数であるものは $3m$ 個、偶数であるものは $3m$ 個である。

ゆえに、求める組の個数は以下の合計となる。

合計して $3m^2 + 3m^2 = 6m^2$ 個となる。

解法2

$\sum_{k=1}^n (ak^2+bk+1)$ が $n$ で割り切れる条件は、解法1と同様に

$$ f(n) = \frac{a(n+1)(2n+1)}{6} + \frac{b(n+1)}{2} + 1 $$

がすべての自然数 $n$ に対して整数となることである。 多項式が常に整数値をとる条件を調べるため、隣接する項の差分(階差)を考える。

$$ \begin{aligned} g(n) &= f(n+1) - f(n) \\ &= \left\{ \frac{a(n+2)(2n+3)}{6} + \frac{b(n+2)}{2} + 1 \right\} - \left\{ \frac{a(n+1)(2n+1)}{6} + \frac{b(n+1)}{2} + 1 \right\} \\ &= \frac{a \{ (n+2)(2n+3) - (n+1)(2n+1) \}}{6} + \frac{b \{ (n+2) - (n+1) \}}{2} \\ &= \frac{a(4n+5)}{6} + \frac{b}{2} \\ &= \frac{2a}{3} n + \frac{5a+3b}{6} \end{aligned} $$

$f(n)$ がすべての自然数 $n$ で整数となるための必要十分条件は、$f(1)$ が整数であり、かつ、すべての自然数 $n$ に対して階差 $g(n)$ が整数となることである。

さらに $g(n)$ の階差 $h(n)$ を考える。

$$ h(n) = g(n+1) - g(n) = \frac{2a}{3} $$

$g(n)$ がすべての自然数で整数になるためには、$h(n)$ も常に整数でなければならない。 よって $\frac{2a}{3}$ が整数となるため、$a$ は3の倍数であることが必要である。

このとき、$g(1)$ が整数であれば、すべての $n$ で $g(n) = g(1) + (n-1)\frac{2a}{3}$ は整数となる。

$$ g(1) = \frac{2a}{3} + \frac{5a+3b}{6} = \frac{9a+3b}{6} = \frac{3a+b}{2} $$

これが整数となるには $3a+b$ が偶数であることが必要である。 $3a+b = 2a + (a+b)$ より、$a+b$ が偶数であることが必要となる。

逆に、$a$ が3の倍数かつ $a+b$ が偶数であるとき、

$$ f(1) = a+b+1 $$

は整数であり、$g(1)$ と $h(n)$ も整数となるため、帰納的にすべての自然数 $n$ について $f(n)$ は整数となる。

したがって、求める条件は「$a$ が3の倍数」かつ「$a+b$ が偶数」である。 以降の個数を求める計算は解法1と同様であり、$6m^2$ 組を得る。

解説

与えられた式を計算して「すべての自然数 $n$ で整数になる」という条件(整数値多項式の問題)に帰着させる典型的な整数問題である。 多項式 $f(n)$ が常に整数となる条件を求めるアプローチとして、解法1のように $n=1, 2, 3$ を代入して必要条件を求めてから十分性を証明する方法と、解法2のように階差 $f(n+1)-f(n)$ を計算して次数を下げていく方法がある。どちらも整数問題における有力な定石である。

答え

$6m^2$

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