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東京大学 1965年 文系 第2問 解説

数学1/三角比数学1/図形計量テーマ/図形総合
東京大学 1965年 文系 第2問 解説

方針・初手

3つの山頂 $A, B, C$ の水平面上の位置(正射影)をそれぞれ $A', B', C'$ とし、$C$ の標高を $x$ とおいて方程式を立てる。 与えられた仰角と標高から、水平面上の距離 $A'B'$, $A'C'$, $B'C'$ を $x$ を用いて表すことができる。また、方位角の条件から $\angle A'C'B'$ の大きさが定まるため、$\triangle A'B'C'$ において余弦定理を適用する。

解法1

$C$ の高さを海抜 $x$ m とし、各山頂の水平面への正射影を $A', B', C'$ とする。 $A, B$ の高さはそれぞれ $1600$ m, $1210$ m である。 $A$ から $C$ を見る仰角が $15^\circ$ であるから、$x > 1600$ であり、

$$ A'C' = \frac{x - 1600}{\tan 15^\circ} $$

ここで、

$$ \tan 15^\circ = \tan(45^\circ - 30^\circ) = \frac{1 - \frac{1}{\sqrt{3}}}{1 + \frac{1}{\sqrt{3}}} = \frac{\sqrt{3} - 1}{\sqrt{3} + 1} = \frac{(\sqrt{3} - 1)^2}{3 - 1} = 2 - \sqrt{3} $$

より、

$$ \frac{1}{\tan 15^\circ} = \frac{1}{2 - \sqrt{3}} = 2 + \sqrt{3} $$

となるため、

$$ A'C' = (x - 1600)(2 + \sqrt{3}) $$

と表せる。 $B$ から $C$ を見る仰角が $30^\circ$ であるから、

$$ B'C' = \frac{x - 1210}{\tan 30^\circ} = \sqrt{3}(x - 1210) $$

また、$B$ から $A$ を見る仰角が $30^\circ$ であり、標高差は $1600 - 1210 = 390$ m であるから、

$$ A'B' = \frac{390}{\tan 30^\circ} = 390\sqrt{3} $$

次に、水平面上での $A, B, C$ の位置関係を考える。 $A$ から見ると $C$ は真北より東 $10^\circ$ の方向にあるため、逆に $C$ から見ると $A$ は真南より西 $10^\circ$ の方向にある。 同様に、$B$ から見ると $C$ は真北より西 $20^\circ$ の方向にあるため、逆に $C$ から見ると $B$ は真南より東 $20^\circ$ の方向にある。 したがって、$C'$ において線分 $C'A'$ と $C'B'$ のなす角は、

$$ \angle A'C'B' = 10^\circ + 20^\circ = 30^\circ $$

となる。 $\triangle A'B'C'$ において余弦定理を適用すると、

$$ (A'B')^2 = (A'C')^2 + (B'C')^2 - 2 \cdot A'C' \cdot B'C' \cos 30^\circ $$

計算の見通しを良くするため、$y = x - 1210$、$a = 390$ とおく。 $x > 1600$ より $y > 390$ すなわち $y > a$ である。 このとき、$x - 1600 = y - 390 = y - a$ であるから、各辺の長さは以下のように表せる。

$$ A'C' = (y - a)(2 + \sqrt{3}) $$

$$ B'C' = \sqrt{3}y $$

$$ A'B' = \sqrt{3}a $$

これらを余弦定理の式に代入する。

$$ (\sqrt{3}a)^2 = (y - a)^2(2 + \sqrt{3})^2 + (\sqrt{3}y)^2 - 2(y - a)(2 + \sqrt{3})(\sqrt{3}y)\frac{\sqrt{3}}{2} $$

展開して整理する。

$$ 3a^2 = (y^2 - 2ay + a^2)(7 + 4\sqrt{3}) + 3y^2 - 3(y^2 - ay)(2 + \sqrt{3}) $$

$y$ についてまとめる。

$$ \{ (7 + 4\sqrt{3}) + 3 - (6 + 3\sqrt{3}) \} y^2 - \{ 2(7 + 4\sqrt{3}) - (6 + 3\sqrt{3}) \} ay + \{ (7 + 4\sqrt{3}) - 3 \} a^2 = 0 $$

$$ (4 + \sqrt{3})y^2 - (8 + 5\sqrt{3})ay + 4(1 + \sqrt{3})a^2 = 0 $$

左辺を因数分解する。

$$ (y - a) \{ (4 + \sqrt{3})y - 4(1 + \sqrt{3})a \} = 0 $$

$y > a$ であるから $y - a \neq 0$ となり、

$$ (4 + \sqrt{3})y = 4(1 + \sqrt{3})a $$

$$ y = \frac{4(1 + \sqrt{3})}{4 + \sqrt{3}}a $$

分母を有理化する。

$$ y = \frac{4(1 + \sqrt{3})(4 - \sqrt{3})}{(4 + \sqrt{3})(4 - \sqrt{3})}a = \frac{4(4 - \sqrt{3} + 4\sqrt{3} - 3)}{16 - 3}a = \frac{4(1 + 3\sqrt{3})}{13}a $$

$a = 390$ を代入する。

$$ y = \frac{4(1 + 3\sqrt{3})}{13} \times 390 = 120(1 + 3\sqrt{3}) = 120 + 360\sqrt{3} $$

これより、$C$ の標高 $x$ は、

$$ x = y + 1210 = 1330 + 360\sqrt{3} $$

$\sqrt{3} = 1.732$ として計算すると、

$$ x = 1330 + 360 \times 1.732 = 1330 + 623.52 = 1953.52 $$

$1$ m 未満を四捨五入して、$1954$ を得る。

解説

空間図形における測量問題の典型であり、各地点の水平面への正射影を考えて平面上の三角形の辺や角に帰着させるのが定石である。 本問では方位の条件「真北より〜」から、水平面上における $C'$ から見た $A', B'$ のなす角を正確に読み取ることが第一の鍵となる。 また、計算においてはそのまま $x$ の二次方程式を解こうとすると係数が煩雑になる。一番低い点(本問では一旦 $A, B$ のうち低い方の $1210$ m)を基準に $y$ と置換し、さらに既知の標高差 $390$ m を $a$ と文字置きすることで、因数分解が容易に見抜ける形になり計算ミスを防ぐことができる。「$A$ と $C$ の標高が同じになる」という明らかな不適解 $y = a$ が因数として現れることに気づけば、よりスムーズに処理できる。

答え

1954 m

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