東京大学 1965年 文系 第3問 解説

方針・初手
双曲線 $xy=1$ の第一象限にある部分上の点を接点として文字で置き、接線 $l$ の方程式を求める。 与えられた条件から接点の $x$ 座標のとりうる範囲を絞り込み、指定された4直線で囲まれる部分の面積を接点の $x$ 座標を用いて表す。あとはその関数の最大値を求める。
解法1
双曲線 $y = \frac{1}{x}$ の第一象限にある部分上の接点を $\left(t, \frac{1}{t}\right)$ とおく。ただし、$t > 0$ である。
$y' = -\frac{1}{x^2}$ であるから、この点における接線 $l$ の方程式は、
$$ y - \frac{1}{t} = -\frac{1}{t^2}(x - t) $$
$$ y = -\frac{1}{t^2}x + \frac{2}{t} $$
直線 $l$ と $x$ 軸(直線 $y=0$)との交点の $x$ 座標は、$y=0$ とすると、
$$ -\frac{1}{t^2}x + \frac{2}{t} = 0 $$
これを解いて、$x = 2t$ を得る。
問題の条件より、この交点の $x$ 座標は $2$ より小さくないので、
$$ 2t \geqq 2 $$
$$ t \geqq 1 $$
この条件のもとで、四直線 $l, y=0, x=1, x=2$ で囲まれる部分の面積を $S(t)$ とする。
区間 $1 \leqq x \leqq 2$ において、直線 $l$ の傾きは負であるから $y$ 座標は単調に減少する。 $x=2$ のとき、
$$ y = -\frac{2}{t^2} + \frac{2}{t} = \frac{2(t-1)}{t^2} $$
$t \geqq 1$ であるから $y \geqq 0$ となる。 したがって、区間 $1 \leqq x \leqq 2$ において常に直線 $l$ は $x$ 軸以上にあるため、囲まれる部分は台形($t=1$ のときは三角形)となる。
求める面積 $S(t)$ は、
$$ \begin{aligned} S(t) &= \int_{1}^{2} \left(-\frac{1}{t^2}x + \frac{2}{t}\right) dx \\ &= \left[ -\frac{1}{2t^2}x^2 + \frac{2}{t}x \right]_{1}^{2} \\ &= \left(-\frac{2}{t^2} + \frac{4}{t}\right) - \left(-\frac{1}{2t^2} + \frac{2}{t}\right) \\ &= -\frac{3}{2t^2} + \frac{2}{t} \end{aligned} $$
この $S(t)$ の最大値を求める。 $\frac{1}{t}$ についての2次関数とみて平方完成を行うと、
$$ \begin{aligned} S(t) &= -\frac{3}{2}\left(\frac{1}{t}\right)^2 + 2\left(\frac{1}{t}\right) \\ &= -\frac{3}{2} \left\{ \left(\frac{1}{t}\right)^2 - \frac{4}{3}\left(\frac{1}{t}\right) \right\} \\ &= -\frac{3}{2} \left( \frac{1}{t} - \frac{2}{3} \right)^2 + \frac{3}{2} \cdot \left(\frac{2}{3}\right)^2 \\ &= -\frac{3}{2} \left( \frac{1}{t} - \frac{2}{3} \right)^2 + \frac{2}{3} \end{aligned} $$
$t \geqq 1$ より、$\frac{1}{t}$ のとりうる値の範囲は $0 < \frac{1}{t} \leqq 1$ である。 この範囲に $\frac{1}{t} = \frac{2}{3}$ は含まれるため、$\frac{1}{t} = \frac{2}{3}$ すなわち $t = \frac{3}{2}$ のとき、$S(t)$ は最大値 $\frac{2}{3}$ をとる。
解説
接線を文字で置き、条件を立式し、関数に帰着させて最大値を求めるという、微積分における標準的な面積の最大・最小問題である。 面積を求める際、定積分を計算してもよいし、直線で囲まれた図形であることを利用して台形の面積として求めてもよい。 面積の式 $S(t)$ が得られた後、微分して増減表を書いてもよいが、$u = \frac{1}{t}$ と置換するか、$\frac{1}{t}$ の2次関数と見なして平方完成するのが最も計算が速く、ミスも少ない。定義域 $t \geqq 1$ を忘れないように注意したい。
答え
$$ \frac{2}{3} $$
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