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東京大学 1975年 文系 第1問 解説

数学1/図形計量数学A/図形の性質テーマ/面積・体積テーマ/最大・最小テーマ/場合分け
東京大学 1975年 文系 第1問 解説

方針・初手

線分 $PQ$ の両端点がある $2$ 辺の選び方として、$3$ つの頂点 $A, B, C$ のいずれかを挟む場合が考えられる。それぞれの頂点を挟む辺上に $P, Q$ をとり、三角形の面積を二等分するという条件から $P, Q$ の辺上での位置を変数で設定する。余弦定理により線分 $PQ$ の長さの $2$ 乗を式に表し、相加平均と相乗平均の大小関係を用いて各場合における最小値を求め、それらを比較する。

解法1

$\triangle ABC$ の面積を $S$ とする。線分 $PQ$ の端点が存在する辺の選び方によって $3$ つの場合に分ける。

(i) 頂点 $A$ を挟む辺 $AB, AC$ 上に点 $P, Q$ をとる場合 $AP = x, AQ = y$ とする。$P, Q$ は辺上にあるから $0 \le x \le 25, 0 \le y \le 36$ である。 $\triangle APQ$ の面積が $\triangle ABC$ の面積の半分であるから、

$$ \frac{1}{2}xy \sin A = \frac{1}{2}S = \frac{1}{2} \left( \frac{1}{2} \cdot 25 \cdot 36 \sin A \right) $$

$$ xy = 450 $$

余弦定理より、

$$ PQ^2 = x^2 + y^2 - 2xy \cos A $$

$x > 0, y > 0$ であるから、相加平均と相乗平均の大小関係より $x^2 + y^2 \ge 2xy$ が成り立ち、

$$ PQ^2 \ge 2xy(1 - \cos A) = 900(1 - \cos A) $$

等号成立は $x = y$ のときであり、$xy = 450$ より $x = y = 15\sqrt{2}$ である。これは $15\sqrt{2} \approx 21.2$ より $0 \le x \le 25, 0 \le y \le 36$ を満たす。 $\triangle ABC$ における余弦定理より、

$$ \cos A = \frac{36^2 + 25^2 - 32^2}{2 \cdot 36 \cdot 25} = \frac{1296 + 625 - 1024}{1800} = \frac{897}{1800} = \frac{299}{600} $$

したがって、この場合の $PQ^2$ の最小値は、

$$ 900 \left( 1 - \frac{299}{600} \right) = 900 \cdot \frac{301}{600} = \frac{903}{2} = 451.5 $$

(ii) 頂点 $B$ を挟む辺 $BC, BA$ 上に点 $P, Q$ をとる場合 $BP = x, BQ = y$ とすると、$0 \le x \le 32, 0 \le y \le 25$ である。 (i) と同様にして面積の条件から、

$$ xy = \frac{1}{2} \cdot 32 \cdot 25 = 400 $$

$$ PQ^2 = x^2 + y^2 - 2xy \cos B \ge 2xy(1 - \cos B) = 800(1 - \cos B) $$

等号成立は $x = y = 20$ のときであり、条件を満たす。

$$ \cos B = \frac{25^2 + 32^2 - 36^2}{2 \cdot 25 \cdot 32} = \frac{625 + 1024 - 1296}{1600} = \frac{353}{1600} $$

よって、この場合の $PQ^2$ の最小値は、

$$ 800 \left( 1 - \frac{353}{1600} \right) = 800 \cdot \frac{1247}{1600} = \frac{1247}{2} = 623.5 $$

(iii) 頂点 $C$ を挟む辺 $CA, CB$ 上に点 $P, Q$ をとる場合 $CP = x, CQ = y$ とすると、$0 \le x \le 36, 0 \le y \le 32$ である。 面積の条件から、

$$ xy = \frac{1}{2} \cdot 36 \cdot 32 = 576 $$

$$ PQ^2 = x^2 + y^2 - 2xy \cos C \ge 2xy(1 - \cos C) = 1152(1 - \cos C) $$

等号成立は $x = y = 24$ のときであり、条件を満たす。

$$ \cos C = \frac{32^2 + 36^2 - 25^2}{2 \cdot 32 \cdot 36} = \frac{1024 + 1296 - 625}{2304} = \frac{1695}{2304} = \frac{565}{768} $$

よって、この場合の $PQ^2$ の最小値は、

$$ 1152 \left( 1 - \frac{565}{768} \right) = 1152 \cdot \frac{203}{768} = \frac{3}{2} \cdot 203 = \frac{609}{2} = 304.5 $$

以上より、(i), (ii), (iii) を比較すると $PQ^2$ を最小にするのは (iii) の場合であり、そのときの $x, y$ の値はともに $24$ である。

解法2

三角形の任意の頂点の内角を $\theta$ とし、その頂点を挟む $2$ 辺上に点 $P, Q$ をとる場合を考える。頂点から $P, Q$ までの距離を $x, y$ とし、$\triangle ABC$ の面積を $S$ とする。

面積を二等分するという条件から、

$$ \frac{1}{2}xy \sin \theta = \frac{1}{2}S \iff xy = \frac{S}{\sin \theta} $$

余弦定理より $PQ^2$ は次のように表される。

$$ PQ^2 = x^2 + y^2 - 2xy \cos \theta $$

相加平均と相乗平均の大小関係より $x^2 + y^2 \ge 2xy$ であるから、

$$ PQ^2 \ge 2xy - 2xy \cos \theta = 2 \cdot \frac{S}{\sin \theta} (1 - \cos \theta) $$

半角の公式 $\frac{1 - \cos \theta}{\sin \theta} = \tan \frac{\theta}{2}$ を用いると、

$$ PQ^2 \ge 2S \tan \frac{\theta}{2} $$

等号は $x = y$ のときに成立する。

関数 $f(\theta) = \tan \frac{\theta}{2}$ は $0 < \theta < \pi$ の範囲で単調増加するため、$PQ^2$ の理論上の最小値は $\theta$ が最も小さいとき、すなわち三角形の最小角を挟む辺に $P, Q$ をとったときに得られる。 $\triangle ABC$ の辺の長さは $AB=25, BC=32, CA=36$ であり、最小の辺は $AB$ であるから、対角である $\angle C$ が最小角となる。

したがって、頂点 $C$ を挟む辺 $CA, CB$ 上に点 $P, Q$ をとり、$CP = CQ$ となる場合が $PQ$ の長さを最小にする候補となる。 このとき、

$$ CP \cdot CQ = \frac{1}{2} \cdot CA \cdot CB = \frac{1}{2} \cdot 36 \cdot 32 = 576 $$

$CP = CQ = \sqrt{576} = 24$ となる。 辺の長さについて $CA = 36 \ge 24$ かつ $CB = 32 \ge 24$ を満たすため、これらの点は各辺上に存在する。 よって、頂点 $C$ における場合が全体の最小値を与える。

解説

三角形の面積を二等分する直線の切り取る線分長の最小値を求める、典型的な図形量の最大最小問題である。 余弦定理と相加・相乗平均の関係を用いて $2xy(1-\cos \theta)$ の形を導くのが定石であり、どの頂点を挟む辺を選ぶかですべて計算して比較するのが解法1のアプローチである。 解法2のように、角の正接を用いて一般化することで、最小角を選ぶべきであるという幾何学的な直観を数式で裏付けることができる。この見方は計算量を大幅に削減できるため、上位校の入試では知っておくと強力な武器になる。

答え

点 $C$ からの距離がともに $24$ となる辺 $CA$ 上および辺 $CB$ 上の点

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