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北海道大学 2009年 理系 第1問 解説

数学1/立体図形数学1/図形計量テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
北海道大学 2009年 理系 第1問 解説

注意 画像の一部が不鮮明で、特に「展開図の形状を示す図そのもの」の読取りに不確実性があります。以下は「与えられた辺の長さと角度の条件から、組み立て後に頂点 $D$ と $E$ が一致する」として解釈した場合の解答解説です。

方針・初手

四面体(三角錐)の展開図から体積を求める問題では、まず「組み立てたときにどの頂点が重なるか」を決定し、すべての辺の長さを把握することが重要である。

展開図上に記された頂点は $A, B, C, D, E$ の5つであり、四面体の頂点は4つであることから、展開図を組み立てると2つの頂点が1点に重なることがわかる。 $\triangle ABC$ の辺の長さから $\angle BAC = 90^\circ$ であることがわかり、これと $\triangle ABE$, $\triangle ACD$ の条件を照らし合わせると、展開図の頂点 $D$ と $E$ が重なると仮定したときのみ、辺の長さの整合性がとれる。

組み立てた後の三角錐において、$D$ と $E$ が重なった頂点を $P$ とおき、すべての辺の長さを求めたうえで、座標やベクトルを用いて体積を計算する。

解法1

$\triangle ABC$ において、$AB=4, AC=3, BC=5$ であるから、$AB^2 + AC^2 = BC^2$ が成り立ち、$\angle BAC = 90^\circ$ の直角三角形である。

展開図を組み立てた四面体の頂点を $A, B, C, P$ とする。ただし、$P$ は展開図上の頂点 $D$ と $E$ が重なった点である。 $\triangle ABE$ は正三角形であるから、$AE = 4, BE = 4$ であり、組み立て後は $AP = 4, BP = 4$ となる。 また、展開図において $D$ と $E$ が重なるため、$AD = AE = 4$ である。 $\triangle ACD$ は $\angle ACD = 90^\circ$ の直角三角形であるから、三平方の定理より $CD$ の長さは次のように求められる。

$$ CD^2 = AD^2 - AC^2 = 4^2 - 3^2 = 7 $$

組み立て後、$CP = CD = \sqrt{7}$ となる。 これで、四面体 $P-ABC$ のすべての辺の長さが確定した。

頂点 $A$ を空間座標の原点 $(0,0,0)$ とし、底面 $\triangle ABC$ を $xy$ 平面上に置く。 $\angle BAC = 90^\circ$ であるから、$B(4, 0, 0), C(0, 3, 0)$ と設定できる。 頂点 $P$ の座標を $(x, y, z)$ とおく。 $AP^2 = 16, BP^2 = 16, CP^2 = 7$ であるから、以下の連立方程式が得られる。

$$ \begin{cases} x^2 + y^2 + z^2 = 16 & \cdots \text{①} \\ (x - 4)^2 + y^2 + z^2 = 16 & \cdots \text{②} \\ x^2 + (y - 3)^2 + z^2 = 7 & \cdots \text{③} \end{cases} $$

①と②の辺々を引くと、

$$ x^2 - (x - 4)^2 = 0 $$

これを解いて $x = 2$ を得る。 次に、①と③の辺々を引くと、

$$ y^2 - (y - 3)^2 = 9 $$

$$ 6y - 9 = 9 $$

これを解いて $y = 3$ を得る。 求めた $x, y$ を①に代入すると、

$$ 2^2 + 3^2 + z^2 = 16 $$

$$ 13 + z^2 = 16 $$

$$ z^2 = 3 $$

よって $z = \pm \sqrt{3}$ となる。 三角錐の高さ $h$ は $P$ の $z$ 座標の絶対値であるから、$h = \sqrt{3}$ である。

底面 $\triangle ABC$ の面積 $S$ は、

$$ S = \frac{1}{2} \times AB \times AC = \frac{1}{2} \times 4 \times 3 = 6 $$

以上より、求める三角錐の体積 $V$ は、

$$ V = \frac{1}{3} S h = \frac{1}{3} \times 6 \times \sqrt{3} = 2\sqrt{3} $$

解法2

四面体 $P-ABC$ の各辺の長さを $AB=4, AC=3, BC=5, AP=4, BP=4, CP=\sqrt{7}$ と決定する過程は解法1と同様である。 また、$\angle BAC = 90^\circ$ より $\vec{AB} \cdot \vec{AC} = 0$ である。

頂点 $P$ から底面 $ABC$ に下ろした垂線の足を $H$ とする。 $H$ は平面 $ABC$ 上の点であるから、実数 $s, t$ を用いて次のように表せる。

$$ \vec{AH} = s\vec{AB} + t\vec{AC} $$

直線 $PH$ は平面 $ABC$ に垂直であるから、$\vec{PH} \cdot \vec{AB} = 0$ かつ $\vec{PH} \cdot \vec{AC} = 0$ が成り立つ。 ここで $\vec{PH} = \vec{AH} - \vec{AP}$ であるから、

$$ (\vec{AH} - \vec{AP}) \cdot \vec{AB} = 0 \implies \vec{AH} \cdot \vec{AB} = \vec{AP} \cdot \vec{AB} $$

$$ (\vec{AH} - \vec{AP}) \cdot \vec{AC} = 0 \implies \vec{AH} \cdot \vec{AC} = \vec{AP} \cdot \vec{AC} $$

まず、$\vec{AP} \cdot \vec{AB}$ と $\vec{AP} \cdot \vec{AC}$ の値を求める。 $|\vec{BP}|^2 = |\vec{AP} - \vec{AB}|^2$ より、

$$ |\vec{BP}|^2 = |\vec{AP}|^2 - 2\vec{AP} \cdot \vec{AB} + |\vec{AB}|^2 $$

数値を代入すると、

$$ 16 = 16 - 2\vec{AP} \cdot \vec{AB} + 16 $$

よって $\vec{AP} \cdot \vec{AB} = 8$ を得る。 同様に、$|\vec{CP}|^2 = |\vec{AP} - \vec{AC}|^2$ より、

$$ |\vec{CP}|^2 = |\vec{AP}|^2 - 2\vec{AP} \cdot \vec{AC} + |\vec{AC}|^2 $$

数値を代入すると、

$$ 7 = 16 - 2\vec{AP} \cdot \vec{AC} + 9 $$

よって $\vec{AP} \cdot \vec{AC} = 9$ を得る。

次に、$\vec{AH}$ との積を計算する。$\vec{AB} \cdot \vec{AC} = 0$ であることに注意して、

$$ \vec{AH} \cdot \vec{AB} = (s\vec{AB} + t\vec{AC}) \cdot \vec{AB} = s|\vec{AB}|^2 = 16s $$

これが $8$ に等しいので、$16s = 8$ より $s = \frac{1}{2}$ である。

$$ \vec{AH} \cdot \vec{AC} = (s\vec{AB} + t\vec{AC}) \cdot \vec{AC} = t|\vec{AC}|^2 = 9t $$

これが $9$ に等しいので、$9t = 9$ より $t = 1$ である。 したがって、$\vec{AH}$ は次のように求まる。

$$ \vec{AH} = \frac{1}{2}\vec{AB} + \vec{AC} $$

このベクトルの大きさを計算する。

$$ |\vec{AH}|^2 = \frac{1}{4}|\vec{AB}|^2 + |\vec{AC}|^2 = \frac{1}{4} \times 16 + 9 = 13 $$

$\triangle PAH$ は $\angle PHA = 90^\circ$ の直角三角形であるから、三平方の定理より垂線 $PH$ の長さは、

$$ PH = \sqrt{AP^2 - AH^2} = \sqrt{16 - 13} = \sqrt{3} $$

底面 $\triangle ABC$ の面積は $6$ であるから、求める体積 $V$ は、

$$ V = \frac{1}{3} \times \triangle ABC \times PH = \frac{1}{3} \times 6 \times \sqrt{3} = 2\sqrt{3} $$

解説

四面体の展開図が与えられた際は、どの辺同士がくっつき、どの頂点同士が一致するのかを正しく見極めることがすべての出発点となる。本問では展開図の頂点が5つ与えられていることから、2つの頂点が1つに重なることを合理的に推測し、辺の長さの矛盾がないか検証する思考力が問われている。

辺の長さがすべてわかった後の体積の求め方としては、解法1のように直角三角形の直角を活かして座標軸を設定する手法が最も計算見通しがよい。また、解法2のようにベクトルを用いて垂線の足を下ろす手法は、底面が直角三角形でない一般的な四面体においても通用する強力な汎用解法である。

答え

$$ 2\sqrt{3} $$

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