北海道大学 1969年 文系 第3問 解説

方針・初手
4つの頂点 $O, A, B, C$ のうち、$O$ は原点であり、$A, B, C$ はそれぞれ $x$ 軸、$y$ 軸、$z$ 軸上にある。したがって、四面体 $OABC$ の各辺 $OA, OB, OC$ は互いに垂直に交わっていることが最大の着眼点である。 まずは $OA, OB, OC$ の長さを未知数としておき、与えられた辺の長さ $AB, AC$ および $\triangle ABC$ における余弦定理を用いて得られる $BC$ の長さから、連立方程式を立てて各線分の長さを求める。
解法1
$A, B, C$ はそれぞれ座標軸上の点であるから、$OA \perp OB$、$OB \perp OC$、$OC \perp OA$ が成り立つ。 $OA = x$、$OB = y$、$OC = z$($x > 0, y > 0, z > 0$)とおく。 問題の条件より $AB = 2a$、$AC = 3a$ であるから、$\triangle OAB$ と $\triangle OAC$ に三平方の定理を用いて、
$$ x^2 + y^2 = 4a^2 \quad \cdots \text{(i)} $$
$$ x^2 + z^2 = 9a^2 \quad \cdots \text{(ii)} $$
また、$\triangle ABC$ において余弦定理を用いると、
$$ \begin{aligned} BC^2 &= AB^2 + AC^2 - 2 \cdot AB \cdot AC \cos 60^\circ \\ &= (2a)^2 + (3a)^2 - 2 \cdot 2a \cdot 3a \cdot \frac{1}{2} \\ &= 4a^2 + 9a^2 - 6a^2 \\ &= 7a^2 \end{aligned} $$
$\triangle OBC$ にも三平方の定理を用いると $BC^2 = y^2 + z^2$ であるから、
$$ y^2 + z^2 = 7a^2 \quad \cdots \text{(iii)} $$
(i), (ii), (iii) の辺々を足し合わせると、
$$ 2(x^2 + y^2 + z^2) = 20a^2 $$
$$ x^2 + y^2 + z^2 = 10a^2 \quad \cdots \text{(iv)} $$
(iv) から (iii) を引くと $x^2 = 3a^2$。$x > 0$ より $x = \sqrt{3}a$。 (iv) から (ii) を引くと $y^2 = a^2$。$y > 0$ より $y = a$。 (iv) から (i) を引くと $z^2 = 6a^2$。$z > 0$ より $z = \sqrt{6}a$。
以上より、$OA = \sqrt{3}a$、$OB = a$、$OC = \sqrt{6}a$ である。
(1) 求める $3$ 角すいの体積を $V$ とする。底面を $\triangle OAB$ とみると、その面積は
$$ \triangle OAB = \frac{1}{2}xy = \frac{1}{2} \cdot \sqrt{3}a \cdot a = \frac{\sqrt{3}}{2}a^2 $$
高さは $OC = \sqrt{6}a$ であるから、
$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle OAB \cdot OC = \frac{1}{3} \cdot \frac{\sqrt{3}}{2}a^2 \cdot \sqrt{6}a = \frac{\sqrt{2}}{2}a^3 $$
(2) $O$ から平面 $ABC$ までの距離を $h$ とする。 $\triangle ABC$ の面積は、
$$ \triangle ABC = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot AC \sin 60^\circ = \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot 3a \cdot \frac{\sqrt{3}}{2} = \frac{3\sqrt{3}}{2}a^2 $$
$3$ 角すいの体積 $V$ は、底面を $\triangle ABC$、高さを $h$ として求めることもできるため、
$$ V = \frac{1}{3} \cdot \triangle ABC \cdot h $$
$$ \frac{\sqrt{2}}{2}a^3 = \frac{1}{3} \cdot \frac{3\sqrt{3}}{2}a^2 \cdot h $$
これを $h$ について解くと、
$$ h = \frac{\frac{\sqrt{2}}{2}a^3}{\frac{\sqrt{3}}{2}a^2} = \frac{\sqrt{2}}{\sqrt{3}}a = \frac{\sqrt{6}}{3}a $$
(3) $\triangle OAB$ において、底辺を $AB$ とみたときの高さが $OH$ であるから、
$$ \triangle OAB = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot OH $$
$$ \frac{\sqrt{3}}{2}a^2 = \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot OH = a \cdot OH $$
よって、$OH = \frac{\sqrt{3}}{2}a$ である。 直線 $OC$ は平面 $OAB$ に垂直であるため、$\angle COH = 90^\circ$ である。 直角三角形 $OHC$ において三平方の定理より、
$$ \begin{aligned} CH^2 &= OC^2 + OH^2 \\ &= (\sqrt{6}a)^2 + \left(\frac{\sqrt{3}}{2}a\right)^2 \\ &= 6a^2 + \frac{3}{4}a^2 \\ &= \frac{27}{4}a^2 \end{aligned} $$
$CH > 0$ であるから、
$$ CH = \frac{3\sqrt{3}}{2}a $$
解法2
(3) の別解
直線 $OC$ は平面 $OAB$ に垂直であり、さらに $OH \perp AB$ である。 したがって、三垂線の定理より $CH \perp AB$ が成り立つ。 これは、線分 $CH$ が $\triangle ABC$ における辺 $AB$ を底辺としたときの高さであることを意味している。 (2) の途中で求めた $\triangle ABC$ の面積を用いて、
$$ \triangle ABC = \frac{1}{2} \cdot AB \cdot CH $$
$$ \frac{3\sqrt{3}}{2}a^2 = \frac{1}{2} \cdot 2a \cdot CH = a \cdot CH $$
これを $CH$ について解くと、
$$ CH = \frac{3\sqrt{3}}{2}a $$
解説
座標空間における原点と座標軸上の点で構成される四面体(直角三角錐)の典型的な問題である。 直角が集まっている頂点 $O$ を基準にし、$OA, OB, OC$ の長さを変数に置いて三平方の定理から連立方程式に帰着させるのが定石のアプローチである。 (2) は「空間図形の体積を2通りの底面と高さで表して方程式を立てる(等積変形)」という頻出の手法を用いている。 (3) は $OH$ を経由して三平方の定理で求めるのが自然な流れだが、解法2のように三垂線の定理を用いると、図形的な意味が明確になり計算量も大幅に削減できる。空間図形における直角の連鎖を見抜く力が問われている。
答え
(1) $\frac{\sqrt{2}}{2}a^3$
(2) $\frac{\sqrt{6}}{3}a$
(3) $\frac{3\sqrt{3}}{2}a$
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