東京大学 1972年 理系 第3問 解説

方針・初手
互いに外接し、共通接線を持つ2つの円の間に挟まれるように接する小円の半径に関する性質を利用する。共通接線上の接点の距離に注目し、$r_n$ と $r_{n-1}$ の関係を表す漸化式を立式して一般項を求める。
解法1
半径 $a, b$ の2つの円が互いに外接し、直線 $l$ に接しているとする。直線 $l$ 上の接点間の距離を $d$ とすると、中心間の距離が $a+b$、中心から $l$ に下ろした垂線の長さがそれぞれ $a, b$ であるから、直角三角形における三平方の定理より以下の関係が成り立つ。
$$ d^2 + (a-b)^2 = (a+b)^2 $$
$$ d^2 = 4ab $$
$$ d = 2\sqrt{ab} $$
この性質を用いて、各円の直線 $l$ 上の接点の関係を考える。
円 $C, C'$ は直線 $l$ に接し、互いに外接している。円 $C_1$ は $C, C', l$ に接し、図より $C, C'$ の間に位置する。円 $C, C', C_1$ の $l$ 上の接点をそれぞれ $\text{P}, \text{P}', \text{P}_1$ とすると、$\text{P}_1$ は線分 $\text{PP}'$ 上にある。したがって、接点間の距離について次が成り立つ。
$$ \text{PP}_1 + \text{P}_1\text{P}' = \text{PP}' $$
これに前述の性質を適用すると、次が得られる。
$$ 2\sqrt{R r_1} + 2\sqrt{R' r_1} = 2\sqrt{R R'} $$
両辺を $2\sqrt{R R' r_1}$ で割ると、次の式になる。
$$ \frac{1}{\sqrt{R'}} + \frac{1}{\sqrt{R}} = \frac{1}{\sqrt{r_1}} $$
同様に、円 $C_n$ は円 $C, C_{n-1}, l$ に接し、図より $C_n$ は $C$ と $C_{n-1}$ の間に位置する。円 $C_n, C_{n-1}$ の $l$ 上の接点をそれぞれ $\text{P}_n, \text{P}_{n-1}$ とすると、$\text{P}_n$ は線分 $\text{PP}_{n-1}$ 上にあるので、次が成り立つ。
$$ \text{PP}_n + \text{P}_n\text{P}_{n-1} = \text{PP}_{n-1} $$
$$ 2\sqrt{R r_n} + 2\sqrt{r_n r_{n-1}} = 2\sqrt{R r_{n-1}} $$
両辺を $2\sqrt{R r_n r_{n-1}}$ で割ると、次の漸化式が得られる。
$$ \frac{1}{\sqrt{r_{n-1}}} + \frac{1}{\sqrt{R}} = \frac{1}{\sqrt{r_n}} $$
これは、数列 $\left\{ \frac{1}{\sqrt{r_n}} \right\}$ が初項 $\frac{1}{\sqrt{r_1}}$、公差 $\frac{1}{\sqrt{R}}$ の等差数列であることを示している。したがって、一般項は次のように求められる。
$$ \frac{1}{\sqrt{r_n}} = \frac{1}{\sqrt{r_1}} + (n-1) \frac{1}{\sqrt{R}} $$
$$ \frac{1}{\sqrt{r_n}} = \left( \frac{1}{\sqrt{R'}} + \frac{1}{\sqrt{R}} \right) + \frac{n-1}{\sqrt{R}} $$
$$ \frac{1}{\sqrt{r_n}} = \frac{n}{\sqrt{R}} + \frac{1}{\sqrt{R'}} $$
これより、$r_n$ は次のように表される。
$$ r_n = \frac{1}{\left( \frac{n}{\sqrt{R}} + \frac{1}{\sqrt{R'}} \right)^2} $$
求める極限値 $\lim_{n \to \infty} n^2 r_n$ を計算する。
$$ n^2 r_n = \frac{n^2}{\left( \frac{n}{\sqrt{R}} + \frac{1}{\sqrt{R'}} \right)^2} $$
分母分子を $n^2$ で割って整理すると、次のようになる。
$$ n^2 r_n = \frac{1}{\left( \frac{1}{\sqrt{R}} + \frac{1}{n\sqrt{R'}} \right)^2} $$
ここで、$n \to \infty$ のとき $\frac{1}{n\sqrt{R'}} \to 0$ であるから、極限値は次のように求まる。
$$ \lim_{n \to \infty} n^2 r_n = \frac{1}{\left( \frac{1}{\sqrt{R}} + 0 \right)^2} = R $$
解説
直線に接する2つの外接円に関する有名事実 $\frac{1}{\sqrt{r}} = \frac{1}{\sqrt{a}} + \frac{1}{\sqrt{b}}$ を背景とする典型的な問題である。この公式自体を無証明で用いると論理の飛躍とみなされる恐れがあるため、三平方の定理を用いた接点間の距離の導出を簡潔に示しておくことが望ましい。漸化式を立てたあとは、分母と分子の次数を揃えて極限を計算する標準的な処理である。図の状況から接点の位置関係が内分点になることを読み取ることがポイントとなる。
答え
$R$
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