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大阪大学 2016年 理系 第5問 解説

数学A/図形の性質数学C/平面ベクトル数学B/数列テーマ/漸化式テーマ/面積・体積
大阪大学 2016年 理系 第5問 解説

方針・初手

正五角形は多くの図形的性質(相似、平行、黄金比など)を持つ。まずは内角の大きさや対角線の長さに注目し、相似な三角形や円に内接する四角形を見出して長さを求める。ベクトルについては、図形の対称性から平行な線分を見つけ、実数倍で表現することが基本となる。後半は、入れ子構造になった正五角形の相似比から面積比を求め、無限等比級数の和に帰着させる。

解法1

(1)

正五角形 $R_1$ の頂点 $A, B, C, D, E$ は同一円周上にある。 円に内接する四角形 $ABCD$ において、トレミーの定理を用いると以下が成り立つ。

$$ AC \cdot BD = AB \cdot CD + BC \cdot AD $$

正五角形の性質から、各辺の長さは等しく、各対角線の長さも等しい。 したがって、$AB = BC = CD = x$、$AC = BD = AD = y$ である。 これらを定理の式に代入する。

$$ y \cdot y = x \cdot x + x \cdot y $$

$$ y^2 = x^2 + xy $$

これを $x^2$ について解く。

$$ x^2 = y^2 - xy = y(y - x) $$

よって、$x^2 = y(y - x)$ が成り立つことが示された。

(2)

正五角形の対称性から、対角線 $AD$ と辺 $BC$ は平行である。 したがって、実数 $k$ を用いて $\overrightarrow{AD} = k\overrightarrow{BC}$ と表せる。 向きは同じであり、長さの比は $AD : BC = y : x$ であるから、$k = \frac{y}{x}$ となる。

$$ \overrightarrow{AD} = \frac{y}{x} \overrightarrow{BC} $$

また、四角形 $ABCD$ においてベクトルの和を考えると、次のように表せる。

$$ \overrightarrow{AD} = \overrightarrow{AB} + \overrightarrow{BC} + \overrightarrow{CD} = \vec{a} + \overrightarrow{BC} + \vec{c} $$

これら2つの式から $\overrightarrow{AD}$ を消去する。

$$ \frac{y}{x} \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \overrightarrow{BC} + \vec{c} $$

$\overrightarrow{BC}$ について整理する。

$$ \left( \frac{y}{x} - 1 \right) \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \vec{c} $$

$$ \frac{y - x}{x} \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \vec{c} $$

ここで、(1) の結果 $y(y - x) = x^2$ より、$y - x = \frac{x^2}{y}$ である。これを代入する。

$$ \frac{x}{y} \overrightarrow{BC} = \vec{a} + \vec{c} $$

$$ \overrightarrow{BC} = \frac{y}{x} (\vec{a} + \vec{c}) $$

次に $\frac{y}{x}$ の値を求める。(1) の式 $y^2 - xy - x^2 = 0$ の両辺を $x^2$ で割る($x > 0$ より可能)。

$$ \left( \frac{y}{x} \right)^2 - \frac{y}{x} - 1 = 0 $$

$\frac{y}{x} > 0$ であるから、二次方程式の解の公式より以下を得る。

$$ \frac{y}{x} = \frac{1 + \sqrt{5}}{2} $$

したがって、求めるベクトルは次のように表される。

$$ \overrightarrow{BC} = \frac{1 + \sqrt{5}}{2} (\vec{a} + \vec{c}) $$

(3)

対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $P$、対角線 $BD$ と $CE$ の交点を $Q$ とする。 線分 $PQ$ は、内部の正五角形 $R_2$ の一辺である。 正五角形の1つの内角は $108^\circ$ である。 二等辺三角形 $ABC$ において、底角は以下のようになる。

$$ \angle BAC = \angle BCA = \frac{180^\circ - 108^\circ}{2} = 36^\circ $$

同様に、二等辺三角形 $BCD$ においても $\angle CBD = \angle CDB = 36^\circ$ である。 三角形 $BCP$ に注目すると、$\angle PBC = 36^\circ$、$\angle PCB = 36^\circ$ となるため、$BP = CP$ の二等辺三角形である。 また、$\angle BPC = 180^\circ - (36^\circ + 36^\circ) = 108^\circ$ となる。 したがって、三角形 $ABC$ と三角形 $BCP$ は3つの角がそれぞれ等しく相似である。 相似比から以下の関係が成り立つ。

$$ AC : BC = BC : BP $$

$$ y : x = x : BP $$

これを解いて $BP$ の長さを得る。

$$ BP = \frac{x^2}{y} $$

(1) の関係式 $x^2 = y(y - x)$ より、$BP = y - x$ となる。 図形の対称性から、三角形 $CDQ$ も同様の二等辺三角形であり、$DQ = y - x$ である。 対角線 $BD$ の長さは $y$ であり、点 $P, Q$ は $BD$ 上に $B, P, Q, D$ の順に並ぶため、$R_2$ の一辺の長さ $PQ$ は次のように計算できる。

$$ PQ = BD - BP - DQ = y - (y - x) - (y - x) = 2x - y $$

ここで、(2) の途中で求めた $y = \frac{1 + \sqrt{5}}{2} x$ を代入する。

$$ PQ = 2x - \frac{1 + \sqrt{5}}{2} x = \frac{4 - (1 + \sqrt{5})}{2} x = \frac{3 - \sqrt{5}}{2} x $$

(4)

正五角形 $R_n$ と $R_{n+1}$ は相似である。 (3) より、$R_1$ の一辺の長さ $x$ に対する $R_2$ の一辺の長さの比(相似比)は $\frac{3 - \sqrt{5}}{2}$ である。 したがって、任意の自然数 $n$ について、$R_n$ と $R_{n+1}$ の相似比も $\frac{3 - \sqrt{5}}{2}$ となる。 面積比は相似比の2乗になるため、$R_{n+1}$ の面積 $S_{n+1}$ と $R_n$ の面積 $S_n$ の比を $r$ とおくと、以下のように計算できる。

$$ r = \frac{S_{n+1}}{S_n} = \left( \frac{3 - \sqrt{5}}{2} \right)^2 = \frac{9 - 6\sqrt{5} + 5}{4} = \frac{14 - 6\sqrt{5}}{4} = \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2} $$

数列 $\{S_n\}$ は、初項 $S_1$、公比 $r$ の等比数列であるから、$S_k = S_1 r^{k-1}$ と表せる。 求める極限の式にこれを代入する。

$$ \lim_{n\to\infty} \frac{1}{S_1} \sum_{k=1}^n (-1)^{k+1} S_k = \lim_{n\to\infty} \sum_{k=1}^n (-1)^{k+1} r^{k-1} $$

これは、初項 $1$、公比 $-r$ の無限等比級数である。 ここで、$2 < \sqrt{5} < 3$ より $6 < 3\sqrt{5} < 9$ であるから、

$$ -2 < 7 - 3\sqrt{5} < 1 $$

$$ -1 < \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2} < \frac{1}{2} $$

すなわち $0 < r < \frac{1}{2}$ であり、公比 $-r$ の絶対値は $1$ より小さい。よってこの無限等比級数は収束し、その和は次のようになる。

$$ \frac{1}{1 - (-r)} = \frac{1}{1 + r} $$

分母の $1 + r$ を計算する。

$$ 1 + r = 1 + \frac{7 - 3\sqrt{5}}{2} = \frac{9 - 3\sqrt{5}}{2} $$

したがって、求める極限値は逆数をとって有理化すればよい。

$$ \frac{1}{1 + r} = \frac{2}{9 - 3\sqrt{5}} = \frac{2(9 + 3\sqrt{5})}{(9 - 3\sqrt{5})(9 + 3\sqrt{5})} = \frac{18 + 6\sqrt{5}}{81 - 45} = \frac{18 + 6\sqrt{5}}{36} = \frac{3 + \sqrt{5}}{6} $$

解法2

(1)について、三角形の相似を用いる解法

対角線 $AC$ と $BD$ の交点を $P$ とする。 解法1の (3) でも触れた通り、正五角形の性質から $\angle BAC = 36^\circ$、$\angle BDC = 36^\circ$ である。 三角形 $ABP$ に注目すると、$\angle BAP = 36^\circ$ であり、また $\angle ABP = \angle ABC - \angle PBC = 108^\circ - 36^\circ = 72^\circ$ である。 よって $\angle APB = 180^\circ - (36^\circ + 72^\circ) = 72^\circ$ となり、三角形 $ABP$ は $AB = AP$ の二等辺三角形である。 $AB = x$ より、$AP = x$ となる。

次に、三角形 $ABC$ と三角形 $BCP$ が相似であることを用いる(証明は解法1の (3) と同様)。 相似比 $AC : BC = BC : CP$ に、$AC = y$、$BC = x$、$CP = AC - AP = y - x$ を代入する。

$$ y : x = x : (y - x) $$

内項の積と外項の積は等しいから、以下が成り立つ。

$$ x^2 = y(y - x) $$

解説

正五角形に関する頻出問題である。 (1)の対角線の長さを求める過程は、黄金比 $\frac{1+\sqrt{5}}{2}$ を導出する有名な手順である。トレミーの定理を知っていれば計算が非常に楽になるが、相似を用いた解法も図形的直観を養う上で重要である。 (2)では「正五角形の対角線と辺が平行になる」という性質を利用してベクトルをスカラー倍で結びつけるのがポイントである。 (3)と(4)は、図形が入れ子になるフラクタル的な構造を題材にしている。すべての正五角形は互いに相似であるため、一度相似比(長さの比)を求めてしまえば、面積比はその2乗として簡単に計算できる。極限の計算においては、無限等比級数の収束条件(公比の絶対値が1未満であること)をしっかり確認することが求められる。

答え

(1)

解説の通り示された。

(2)

$\overrightarrow{BC} = \frac{1+\sqrt{5}}{2} (\vec{a} + \vec{c})$

(3)

$\frac{3-\sqrt{5}}{2} x$

(4)

$\frac{3+\sqrt{5}}{6}$

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