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東京大学 2020年 理系 第5問 解説

数学1/立体図形数学3/積分法テーマ/空間図形テーマ/面積・体積
東京大学 2020年 理系 第5問 解説

方針・初手

(1) 空間内の線分を媒介変数 $t$ を用いて座標で表し、平面 $z=1$ を代入して $x, y$ の関係式を導く。

(2) 立体全体を直接扱うのではなく、平面 $z=h$ ($0 \le h \le 2$) による切り口を考え、その断面積 $S(h)$ を積分して体積を求める。図形的な性質(凸包)を利用すると見通しよく断面積を求められる。

解法1

(1)

円錐 $S$ の頂点を $\text{V}(0, 0, 2)$ とし、底面を $D$ とする。$D$ は $xy$ 平面上の $x^2+y^2 \le 1$ を満たす領域である。

$S$ を平面 $z=1$ で切った切り口は、頂点 $\text{V}$ と底面 $D$ の $z$ 座標の中点における断面であるから、相似比 $1:2$ により、中心 $(0,0,1)$、半径 $\frac{1}{2}$ の円とその内部となる。

これを同一平面($xy$ 平面とみなす)上に図示するときの領域 $D_S$ は、

$$ x^2 + y^2 \le \frac{1}{4} $$

である。

次に、点 $\text{P}(u, v, 0)$ ($u^2+v^2 \le 1$) が底面 $D$ を動くときを考える。

点 $\text{A}(1, 0, 2)$ と点 $\text{P}$ を結ぶ線分 $\text{AP}$ 上の点を $(x, y, z)$ とすると、媒介変数 $t$ ($0 \le t \le 1$) を用いて次のように表せる。

$$ \begin{cases} x = (1-t)u + t \cdot 1 \\ y = (1-t)v + t \cdot 0 \\ z = (1-t)\cdot 0 + t \cdot 2 \end{cases} $$

平面 $z=1$ における切り口を考えるため $z=1$ とすると、$2t=1$ より $t=\frac{1}{2}$ である。

このとき、$x, y$ は

$$ x = \frac{u+1}{2}, \quad y = \frac{v}{2} $$

となる。これを $u, v$ について解くと、

$$ u = 2x - 1, \quad v = 2y $$

点 $\text{P}$ は底面 $D$ 上の点であるから、$u^2+v^2 \le 1$ を満たす。代入すると、

$$ (2x - 1)^2 + (2y)^2 \le 1 \iff \left(x - \frac{1}{2}\right)^2 + y^2 \le \frac{1}{4} $$

したがって、平面 $z=1$ による $T$ の切り口の領域 $D_T$ は、中心 $\left(\frac{1}{2}, 0\right)$、半径 $\frac{1}{2}$ の円とその内部である。

求める図示は、同一平面上に $D_S$ と $D_T$ を描いたものとなる。($D_S$ は原点を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円の内部、$D_T$ は点 $\left(\frac{1}{2}, 0\right)$ を中心とする半径 $\frac{1}{2}$ の円の内部であり、境界線を含む。2つの円は互いの中心を円周上に持ち、点 $\left(\frac{1}{4}, \pm\frac{\sqrt{3}}{4}\right)$ で交わる。)

(2)

求める体積は、点 $\text{P}$ が円錐 $S$ の内部および境界を動くときの、線分 $\text{AP}$ が通過する領域 $U$ の体積である。

$S$ は底面 $D$ と頂点 $\text{V}(0, 0, 2)$ を結ぶ線分の集合(凸包)である。

線分 $\text{AP}$ が通過する領域 $U$ は、点 $\text{A}$ と立体 $S$ の各点を結ぶ線分の集合であるが、これは点 $\text{A}$、点 $\text{V}$、および底面 $D$ の凸包に等しい。

点 $\text{A}(1,0,2)$ と頂点 $\text{V}(0,0,2)$ はともに平面 $z=2$ 上にあり、線分 $\text{AV}$ 上の任意の点を $\text{W}_s(s, 0, 2)$ ($0 \le s \le 1$) とおくことができる。

領域 $U$ は、すべての $s \in [0, 1]$ に対する「点 $\text{W}_s$ と底面 $D$ を結んでできる円錐」の和集合とみなせる。

平面 $z=h$ ($0 \le h \le 2$) による領域 $U$ の切り口 $U_h$ を考える。

点 $\text{W}_s(s, 0, 2)$ と底面 $D$ を結ぶ円錐を $z=h$ で切った断面は、相似の中心を $\text{W}_s$ とし、相似比 $\frac{2-h}{2}$ で底面 $D$ を縮小した円とその内部となる。

底面 $D$ の中心は原点 $(0,0,0)$ であるから、断面の円の中心の座標 $(x_c, y_c, h)$ は、点 $\text{W}_s$ と原点を結ぶ線分を $h : 2-h$ に内分する点であり、

$$ x_c = \frac{s \cdot h + 0 \cdot (2-h)}{2} = \frac{sh}{2}, \quad y_c = 0 $$

また、円の半径 $r$ は

$$ r = 1 \cdot \frac{2-h}{2} = 1 - \frac{h}{2} $$

である。

$s$ が $0 \le s \le 1$ を動くとき、この断面の円は半径 $r = 1 - \frac{h}{2}$ を保ったまま、中心が $(0, 0, h)$ から $\left(\frac{h}{2}, 0, h\right)$ まで $x$ 軸に平行に距離 $\frac{h}{2}$ だけ移動する。

したがって、切り口 $U_h$ は、半径 $1 - \frac{h}{2}$ の円を距離 $\frac{h}{2}$ だけ平行移動して掃過される領域(中心移動の軌跡を軸とする長方形と、両端の半円を合わせた図形)となる。

この面積 $S(h)$ は、

$$ S(h) = \pi r^2 + 2r \cdot \frac{h}{2} = \pi \left(1 - \frac{h}{2}\right)^2 + 2\left(1 - \frac{h}{2}\right) \frac{h}{2} = \frac{\pi}{4}(h-2)^2 + h - \frac{h^2}{2} $$

求める体積 $V$ は、$S(h)$ を $h=0$ から $h=2$ まで積分して、

$$ \begin{aligned} V &= \int_0^2 \left\{ \frac{\pi}{4}(h-2)^2 + h - \frac{h^2}{2} \right\} dh \\ &= \left[ \frac{\pi}{12}(h-2)^3 + \frac{h^2}{2} - \frac{h^3}{6} \right]_0^2 \\ &= \left( 0 + 2 - \frac{8}{6} \right) - \left( \frac{\pi}{12}(-8) + 0 - 0 \right) \\ &= \frac{2}{3} + \frac{2\pi}{3} \end{aligned} $$

解法2

(2)の別解(数式による立式)

点 $\text{P}$ は円錐 $S$ の領域内を動く。$S$ を平面 $z=k$ ($0 \le k \le 2$) で切った断面 $S_k$ は、中心 $(0,0,k)$ で半径 $1 - \frac{k}{2}$ の円とその内部である。

したがって、点 $\text{P}(u, v, k)$ は

$$ u^2 + v^2 \le \left(1 - \frac{k}{2}\right)^2 $$

を満たす。

点 $\text{A}(1, 0, 2)$ と点 $\text{P}$ を結ぶ線分上の点 $(x, y, z)$ は、媒介変数 $t$ ($0 \le t \le 1$) を用いて

$$ \begin{cases} x = (1-t)u + t \\ y = (1-t)v \\ z = (1-t)k + 2t \end{cases} $$

と表される。

ある高さ $z=h$ ($0 \le h \le 2$) での断面を考える。

$h = (1-t)k + 2t = k + t(2-k)$ より、$t = \frac{h-k}{2-k}$ である。$0 \le t \le 1$ を満たすためには $0 \le k \le h$ が必要である。

このとき、

$$ 1-t = \frac{2-h}{2-k} $$

となるから、

$$ x = \frac{2-h}{2-k}u + \frac{h-k}{2-k}, \quad y = \frac{2-h}{2-k}v $$

これを $u, v$ について解くと、

$$ u = \frac{2-k}{2-h} \left( x - \frac{h-k}{2-k} \right), \quad v = \frac{2-k}{2-h}y $$

点 $\text{P}$ の条件 $u^2 + v^2 \le \left(\frac{2-k}{2}\right)^2$ に代入すると、

$$ \left\{ \frac{2-k}{2-h} \left( x - \frac{h-k}{2-k} \right) \right\}^2 + \left( \frac{2-k}{2-h}y \right)^2 \le \left(\frac{2-k}{2}\right)^2 $$

両辺に $\left(\frac{2-h}{2-k}\right)^2$ をかけると、

$$ \left( x - \frac{h-k}{2-k} \right)^2 + y^2 \le \left(\frac{2-h}{2}\right)^2 $$

これは、高さ $k$ の断面上の点と点 $\text{A}$ を結ぶ線分が、平面 $z=h$ において作る領域 $D_{h,k}$ であり、中心 $\left(\frac{h-k}{2-k}, 0\right)$、半径 $1-\frac{h}{2}$ の円とその内部を表す。

点 $\text{P}$ が $S$ 全体を動くとき、$z=h$ における線分 $\text{AP}$ の通過領域 $U_h$ は、$k$ が $0 \le k \le h$ を動くときの $D_{h,k}$ の和集合である。

円の半径は $k$ に依存せず $1-\frac{h}{2}$ で一定である。

中心の $x$ 座標 $c(k) = \frac{h-k}{2-k}$ について、

$$ c(k) = \frac{h-2 + 2-k}{2-k} = \frac{h-2}{2-k} + 1 $$

であり、$0 \le k \le h$ において $c(k)$ は単調減少する。

$k=0$ のとき $c(0) = \frac{h}{2}$、$k=h$ のとき $c(h) = 0$ であるから、円の中心は $(0, 0)$ から $\left(\frac{h}{2}, 0\right)$ まで連続的に動く。

したがって、$U_h$ は半径 $1-\frac{h}{2}$ の円が距離 $\frac{h}{2}$ だけ平行移動した領域となり、その面積 $S(h)$ は

$$ S(h) = \pi \left(1 - \frac{h}{2}\right)^2 + 2\left(1 - \frac{h}{2}\right) \frac{h}{2} = \frac{\pi}{4}(h-2)^2 + h - \frac{h^2}{2} $$

体積 $V$ は

$$ V = \int_0^2 S(h) dh = \frac{2\pi}{3} + \frac{2}{3} $$

となる。

解説

空間図形における線分の通過領域や体積を求める典型的な問題である。

空間内の通過領域を考える際の基本方針は「ある平面(本問では $z=h$)で切断し、その断面を考えること」である。

(1)は、(2)の $z=1$ における具体的な状況のヒントとなっている。(1)で $\text{P}$ が底面のみを動く場合の切り口が円になることを確認し、(2)で $\text{P}$ が立体内部を動く場合の拡張へ繋げる意図がある。

(2)において解法1のように「凸包」の概念を利用すると、断面の形を整理しやすい。線分の通過領域を考える際、「端点が動く領域の凸包」として形状を捉える見方は、本問でも役に立つ。

解法2のように数式で立式して追う方法でも求められる。その際、どの変数が固定され、どの変数が動くのかを意識して式を整理するとよい。

答え

(1)

同一平面上に、境界線を含む以下の2つの領域を図示する。 ・$S$ の切り口:中心 $(0, 0)$、半径 $\frac{1}{2}$ の円の内部 $\left(x^2+y^2 \le \frac{1}{4}\right)$ ・$T$ の切り口:中心 $\left(\frac{1}{2}, 0\right)$、半径 $\frac{1}{2}$ の円の内部 $\left(\left(x-\frac{1}{2}\right)^2+y^2 \le \frac{1}{4}\right)$

(2)

$$ \frac{2\pi + 2}{3} $$

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